ドジャー・スタジアムでスパルタン・レース!参加体験記
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ドジャー・スタジアムでスパルタン・レース!参加体験記
2月21日にロサンゼルス・ドジャースの本拠地ドジャー・スタジアムでスパルタン・レースが開催されました。メジャーリーグの春季キャンプがアリゾナ州とフロリダ州で始まり、WBC開幕まで2週間を切っていました。
野球シーズンが近づきつつあったそんな時期、あのドジャー・スタジアムに入ることができる。大谷翔平選手がプレイするフィールドに立ち、同じ目線でスタンドを眺めることができる。これは見逃すわけにはいかないと思い、参加してきました。
スパルタン・スタディオン
スパルタン・レースは一般的にOCR(Obstacle Course Race、障害物レース)に分類されます。
OCRとは壁を乗り越えたり、縄を登ったり、匍匐前進で泥だらけになったり、大きな石や砂袋を抱えながら歩いたり、いくつもの障害物をクリアしながら走るレースのことです。2000年代になってから人気が出てきた比較的新しいジャンルのスポーツですが、2028年のロサンゼルス・オリンピックでは近代5種競技の馬術に代わって採用されることが決まっています。スパルタン・レースはそのなかでも世界最大手のシリーズです。
スパルタン・レースではコース距離と障害物の数によって種目を分けています。これまでに日本で開催されたことがある種目は以下の3つ。他にキッズ部門もあります。
- スプリント:5km、20個の障害物
- スーパー:10km、25個の障害物
- ビースト:21km、30個の障害物
巨大な雲梯もスパルタン・レースでお馴染みの障害物のひとつ。
今回ドジャー・スタジアムで行われたレースの距離は5㎞です。スパルタンとしてはもっとも短いスプリントと同じ距離で、障害物の数も同じ20個なのですが、英語の公式ウェブサイト(https://www.spartan.com/en/race/stadion)ではスタジアムを会場にしたレースを”Spartan Stadion”(スパルタン・スタディオン)と呼び、ひとつの独立したグループに分類しています。
世界最大の野球スタジアム
ドジャー・スタジアムの最大収容人数は56,000人。MLB球場としては最多を誇ります。それより大きなアメフトやサッカーの会場はたくさんありますが、野球専用のスタジアムとしては世界でも最大ではないでしょうか。
2026年現在、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希の日本人選手3人を擁するドジャースは日本でもっとも人気と知名度が高いMLBチームでしょう。ドジャー・スタジアムは全米でも日本からの訪問客をもっとも多く集める観光スポットかもしれません。
ビッグ・スクリーンに映し出される参加者たち。
そんなドジャー・スタジアムを舞台にするスパルタン・レースですが、出てくる障害物は他のレースとほぼ同じです。木の壁も3角ネットも雲梯も縄登りもつり輪も、私はすべて他のスパルタン・レースで見たことがありました。
私見では、スパルタン・スタディオンのもっとも際立った特徴は階段を嫌と言うほど上り下りすることにあります。5kmの距離に20個の障害物。平均すると、障害物から障害物まで約250mの移動があるわけですが、その大半をスタンドや非常階段が占めるからです。
なにしろドジャー・スタジアムは5階席までありますので、フィールドから最上階まではかなりの高低差があります。それを何度も往復する羽目になるのです。
正確な数字ではないでしょうが、この日の参加者が踏破した階段数は合計で1,000段を超えるそうです。東京タワー(600段)より多く、東京スカイツリー(2,552段)より少ない。単に階段を走るレースとしても容易なことではありません。
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とくにこれはキツイ!と私が思ったのは、砂袋を担いで階段を上り下りするパートでした。砂袋の重量は男性用27kg、女性用18kgということです。大体、小学1年生の体重くらいはあるでしょう。それくらいの子どもを肩車して階段を昇り降りすることをどうか想像してみてください。
砂袋担ぎの距離はたぶん数100m程度だったと思いますが、参加者の唸り声や悲鳴がもっとも大きく聞こえてきたのはここでした。踊り場で砂袋を放棄して、途中リタイヤする人もいました。
最大の難所。砂袋を担いで階段を昇り降りする。
もうひとつの特徴はスパルタン・レースではお約束の匍匐前進がなかったことでした。さすがにドジャー・スタジアム内にそれ用のコースは作れなかったようです。非常階段に腰くらいの高さにテープが張られていて、そこを潜って進むという中途半端なパートはありましたけど。
有刺鉄線の下を潜って、田んぼのような地面を参加者が這う。OCRを紹介する画像や動画ではよく使われるシーンです。元々は”Mud Race”(泥んこレース)とも呼ばれることが多かったくらいなのですが、最近はそうではないOCRイベントが増えています。
泥んこになるのはたしかに面白いと言えば面白いのですが、個人的にはなくてもいいかなと思っています。何度もやっていると飽きてきたからです。洗濯も面倒ですし。
MLB選手気分を味わった最後の約200m
レース最大の山場はゴール直前にやってきました。レフト側の外野ファールグランドからフィールドに入り、そこからダグアウトの前を通り、ホームベース後方を周って、ライト側に設置されたゴールにたどり着くまでの最終部分です。
フィールド上にもいくつかの障害物があるにはあるのですが、とくにタイムを競うわけではない一般参加者にとっては、はっきり言ってどうでもよいことです。それよりもMLB球場の芝生を踏めることに大きな意味があります。多くの人がダグアウトを覗きこみ、ダイヤモンドをバックにしたセルフィ―撮影に興じていました。私もそのひとりです。
スパルタン・レースにはガチの競技者部門もありますが、人数で言えば少数派です。大抵の人はほどほどに疲れる程度に、この高度に演出された非日常性を楽しみます。
ゴール直後の筆者。
スパルタン・スタディオンはドジャー・スタジアム以外でも行われています。公式ウェブサイトによると、2026年もロサンゼルス・エンゼルスの本拠地エンゼル・スタジアム(9月12日)、ボストン・レッドソックスの本拠地フェンウェイパーク(11月7日)など、日本でもお馴染みのMLBチーム本拠地でのレースが予定されています。ドジャー・スタジアムでのイベントも恒例ですので、たぶん来年の同時期に開催されるでしょう。
日本ではまだスパルタン・スタディオンが行われた前例がないようです。たとえば甲子園球場や東京ドームなどでスパルタン・レースが開催されるなんてことになったら、さぞかし魅力を感じる人は多いのではないでしょうか。オフシーズンの球場を有意義に活用するひとつのアイデアとして、関係者の方々にはご一考をお勧めします。

