ビッグデータでどこまで分かる?リオオリンピック、メダル予想答え合わせ!

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ビッグデータでどこまで分かる?リオオリンピック、メダル予想答え合わせ!

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先日ついに幕を閉じたリオデジャネイロ・オリンピック。東京のプレゼンテーションを兼ねた閉会式では、スーパーマリオに扮した安倍総理も登場し、早くも2020年に向けて期待が高まっています。今大会、日本選手団は史上最多となる41個のメダルを獲得。競技史上初のメダル獲得や数十年ぶりの快挙などが多く、予想を超える活躍で我々に感動を与えてくれました。

予想といえば、今大会の開幕前に各競技のメダル獲得予想をしていた企業がいくつかあります。その中でもアメリカの大手データ会社「Gracenote(グレイスノート)」は、各競技における膨大なデータを分析し、客観的な予想を行うことで有名な会社です。今回は、そのGracenoteが発表していた予想の答え合わせをしつつ、リオでの日本選手の活躍を振り返っていきたいと思います。

見事的中したメダルの数は〇個!

先にGracenoteの実績について補足すると、2014年W杯ではベスト4を全て的中。前回ロンドン五輪では、メダルを獲得した上位20ヶ国のうち16ヶ国において獲得総数の誤差が4個以内と高い精度を誇ってきました。今大会の予想でも日本は合計37個(内訳:金14、銀10、銅13)のメダルを獲得するとしており、その誤差を4個に止めています。

それでは、各種目について詳しく見ていきましょう。結論から言うと、メダルの色まで完璧に的中させたのは14種目。日本選手団を勢いづけたと言われる競泳男子400m個人メドレーの萩野公介や体操男子団体の金メダル、内村航平の個人総合連覇、そして伊調馨の4連覇は大方の予想と同じように金メダルと予想されていました。


逆転勝利で金メダルを手にした登坂絵莉22歳。東京オリンピックでの活躍にも期待がかります。

驚きなのが卓球男子の予想。男子団体の銀メダルと水谷隼のシングルス銅メダル獲得は、日本の歴史上初の快挙として連日のようにテレビで放送されていましたが、Gracenoteはこれを見事に的中させています。男子シングルスに関しては、水谷選手の銅メダルだけでなく、1位2位の選手まで予想通りの結果になっているのが驚きです。日本中を沸かせた快挙も、ビッグデータの前には当然の結果だったのでしょうか。

この他の種目では、バドミントンのタカマツペア、レスリングの登坂絵莉、柔道のベイカー茉秋の金メダルが見事的中。柔道の原沢久喜、競泳男子200m個人メドレーでの萩野公介の銀メダル、海老沼匡、羽賀龍之介、山部佳苗の柔道3選手の銅メダルがGracenoteの予想通りの結果となりました。

<表1>Gracenote社の予想が的中した種目
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日本のお家芸は予想が難しい!?

次に予想が外れた種目を見てみると、予想を超える色のメダルを獲得した種目が4つ。予想を下回ったのが19種目で、そのうちメダルを獲得したのが8つと予想が大きく外れています。

予想を下回った代表的な例は、やはりレスリングの吉田沙保里でしょう。4連覇をかけて挑んだ今大会、決勝でアメリカのヘレン・マルーリスに敗れ銀メダルに。マットに突っ伏して動かない吉田沙保里と喜びの涙を流すマルーリスの対照的な姿が、今大会で最も印象的なシーンの1つとなりました。

その一方で同じ女子レスリングでは、川井梨紗子と土性沙羅が銅メダルの予想に反し見事金メダルを獲得。伊調馨、登坂絵莉とともに女子レスリング全6階級中4種目で金メダルを獲得する、まさに日本のお家芸といえる活躍を見せてくれました。

多くの人に衝撃を与える敗戦となった吉田沙保里。4連覇こそ逃したものの”13大会連続世界一”の記録はまさに伝説です。

日本のお家芸といえばレスリングの他に、柔道や競泳が挙げられます。これらの競技の予想はどうだったのでしょうか。

Gracenoteは日本が柔道で、金3個、銀4個、銅5個の計12個のメダル獲得と予想。結果は、前述した4選手を除くと、銅メダル予想とされていた大野将平こそ金メダルを獲得したものの、同じく銅メダル予想の田代未来は惜しくも3位決定戦でメダルを逃すことに。この他、金メダル予想だった高藤直寿、永瀬貴規、銀メダル予想だった松本薫、中村美里、近藤亜美の5選手が予想を下回る銅メダルに終わりました。

昨年の世界王者6人を揃えて臨み、金メダルの数が3個というのはやはり一筋縄ではいかないオリンピック特有の雰囲気があるのでしょう。

競泳では、男子400m個人メドレーで萩野公介とワンツーフィニッシュと予想されていた瀬戸大也は惜しくも3位。序盤こそ萩野公介らと競える位置にいましたが、最後の自由形で大きく離されてしまいました。


Gracenote社は萩野公介に関して2種目で的中。萩野選手と同じ400m個人メドレーに出場した瀬戸大也は惜しくも3位という結果になりました。

女子200mバタフライに出場した星奈津美は、2015年世界水泳選手権で金メダルを獲得していたためリオでも金予想でしたが、2大会連続での銅メダル獲得にとどまりました。一方女子200m平泳ぎの金藤理絵は、大会前の勢いそのままに見事金メダルを獲得。こちらは銀メダルの予想を上回る結果となりました。

この他の競泳種目では、男子が背泳ぎの100m、200mともに銅予想の入江陵介と男子200m平泳ぎで銀予想の小関也朱篤が、女子が200m平泳ぎ銅予想の渡部香生子が残念ながら予想とは異なり、メダル獲得に至りませんでした。

<表2>Gracenote社の予想を下回る結果になった種目
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予想通りにならないのがオリンピック

大方の予想と同じく、Gracenoteの予想も大きく外れる形となったのが、石川佳純、太田雄貴、内村航平の3選手。まさかの初戦敗退となった石川佳純と太田雄貴は、それぞれ銅メダルと金メダルが予想されていました。体操の種目別鉄棒競技で金メダルと予想されていた内村航平も、予選でまさかの落下。予選敗退となり、決勝の舞台に立てずに終わっています。

この他、銀メダル予想だった卓球団体女子が銅メダルに、テコンドー57kg級で銅メダル予想の濱田真由と体操種目別ゆかで金メダル予想の白井健三がメダル獲得なしという結果でした。


シングルスでまさかの初戦敗退となった石川佳純らが臨んだ卓球女子団体は、実は銀メダルと予想されていました。

ここまで、Gracenoteがメダル獲得を予想した37種目の結果を紹介してきましたが、その中で日本が実際にメダルを獲得したのが27種目。合計で41個のメダルを獲得したことから考えると、実に14種目でメダルが予想されていなかったことになります。

それら予想を超える活躍を見せた種目を見ていきましょう。
まずは競泳種目から。男子200mバタフライに出場した坂井聖人が見事銀メダルを獲得。予想を裏切る活躍で1位のマイケル・フェルプスと0秒04差という大接戦を演じました。男子4×200m自由形リレーでもGracenoteの予想に反して銅メダルを獲得。こちらは1964年東京オリンピック以来となるメダル獲得となりました。

柔道では、激選区と言われた女子70kg級で軒いるライバルたちを破って田知本遥が金メダルを獲得しています。

レスリングでは男子が躍動しました。これまで15大会連続でメダルを獲得してきた男子レスリング。今大会でその記録が途切れるのではと危ぶまれていましたが、終わってみれば太田忍と樋口黎がともに銅メダルを獲得。日本に16大会連続となるメダルをもたらしました。

その他、体操種目別跳馬では白井健三が、重量挙げ女子48kg級で三宅宏実が、シンクロナイズドスイミングではチームとデュエットで銅メダルを獲得しています。

<表3>Gracenote社の予想を超える結果になった種目
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予想されていなかったメダルはまだあります。残るこれらの種目に共通する特徴はどれも数十年ぶりの快挙であったり、日本の歴史上初のメダル獲得であるということです。錦織圭(テニス男子シングルス)は96年ぶり、荒井広宙(男子20km競歩)は日本勢初、奥原希望(バドミントン女子シングルス)は男女を通じてシングルスで初、羽根田卓也(カヌー・スラローム男子カナディアンシングル)は日本のみならずアジア初となるメダル獲得を、全員銅メダルを獲得し達成しています。

最後に、男子4×100mリレーはまさに歴史的な快挙となりました。Gracenoteの予想も陸上二大大国ジャマイカ、アメリカの一騎打ちとなるという当然の予想。そんな中で日本代表は、最後のケンブリッジ飛鳥が迫り来るアメリカの選手を振り切って2位でゴール。37秒60のアジア新記録で、史上初の銀メダルを獲得しています。


まさに歴史的快挙となった男子4×100mリレー。日本の銀メダルを予想した人は世界を見渡してもほとんどいなかったのではないでしょうか。

さて、こうしてみてみるとGracenoteの予想は41個獲得したメダルのうち14個正解と4割弱の的中率。メダルの色を含めないとすると7割弱の的中率です。この割合を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、やはりそう簡単に予想できないのがスポーツ、特にオリンピックの舞台ではなおさらなのではないでしょうか。

2020年には予想の精度がさらに上がっているはずなので、東京オリンピックではこうしたメダル獲得予想にも注目しみると面白いかもしれません!