マラソンのパフォーマンスが高まる1週間前からのグリコーゲンローディング

マラソンのパフォーマンスが高まる1週間前からのグリコーゲンローディング DO

マラソンのパフォーマンスが高まる1週間前からのグリコーゲンローディング

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マラソンを走ったことがある人なら、一度は感じる「30kmの壁」。「30kmの壁」は、名前の通りスタートから30km程走った時に急激に疲労を感じる現象のことを言います。今回はこの「30kmの壁」に打ち勝ち、マラソンのパフォーマンスを高めるグリコーゲンローディング(カーボローディング)という食事の方法を紹介します。

「30kmの壁」の原因はグリコーゲンの枯渇が原因だった。

そもそも、なぜ「30kmの壁」が起こるのでしょうか。
私達は、運動をする時、体内に蓄えられたエネルギー源を使い、エネルギーを作り出し、体を動かしています。体内に蓄えられたエネルギー源には、主に二種類あります。一つは脂肪、もう一つはグリコーゲンです。

グリコーゲンは、体内における糖質のことです。糖質を摂取すると、糖質を構成する最小単位であるグルコース(ブドウ糖)に分解され、体内に取り込まれます。体内に入ったグルコースは、グリコーゲンという物質に、形を変えて筋肉や肝臓に蓄えられるのです。これらのエネルギー源には貯蔵量に違いがあります。太った人をイメージすれば、分かる通り、脂肪は体内に無限に貯蔵することができます。一方で、グリコーゲンは貯蔵量に限りがあり、カロリーで示すと、一般的な成人男性で、筋肉に約1500kcal、肝臓に500kcalしか蓄えることができません。

脂肪とグリコーゲンは、使われ方にも違いがあります。グリコーゲンは脂肪とは違い、使いやすいエネルギー源なので、特に強度の高い運動を行う際には優先的に使われます。また、脂肪を完全に使うためにはグリコーゲンも一緒に使わなければならない、という特徴もあります。

グリコーゲンは運動中に使いやすいエネルギー源ですが、貯蔵量に限りがあるということになります。このことが「30kmの壁」という現象を引き起こす原因となっているのです。
つまり、走り続けていると筋肉の中のグリコーゲンが使われるため枯渇し、エネルギーを作り出せなくなってしまっているのです。

長時間の運動では筋肉のグリコーゲンの量が重要

実際に、筋肉のグリコーゲン量と持久的運動パフォーマンスを調べた実験が、1960年代に行われました。その結果、筋肉のグリコーゲン量が多いほど持久的運動パフォーマンスが高かった(一定強度で、長い時間自転車を漕ぎ続けることができた)ことが報告されています。この頃から、長時間運動を行うような競技では、運動前にどれだけグリコーゲンを蓄えることができるかが重要であるという考えが広がりました。そして、どのようにすれば、試合前に筋肉のグリコーゲンを最大限に蓄えることができるのか、ということに焦点を当てた研究が行われるようになりました。
その方法の一つとして、「グリコーゲンローディング」という食事の方法があります。

筋肉のグリコーゲン量を高める食事 〜グリコーゲンローディング〜

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グリコーゲンローディングの方法は、非常に単純です。ズバリ、糖質をたくさん食べることです。ただ、糖質を食べる量や期間を調整しなければいけません。グリコーゲンローディングは、以前は完全にグリコーゲンを使い切ってから、グリコーゲンを蓄えるという方法が行われていましたが、選手への負担が大きく、実践するにはリスクがありました。しかし最近は、その方法を改良し、負担が少なく、かつ効率良くグリコーゲンを蓄えることができる方法が広まっています。

グリコーゲンローディングを開始するのは、試合の1週間前からです。といっても始めはいつもの練習の強度を少なくするだけです。食事はいつも通りの食事で大丈夫です。食事を変えるのは試合の3日前からになります。試合3日前からも運動強度は落としていきます。そして食事から摂取する糖質の割合を増やします。日本人は通常摂取するエネルギーの内60%は糖質から摂取していますが、試合3日前からはエネルギー全体の内、糖質が占める割合を80%程度まで上昇させます。運動強度を落とし、3日間このような食事を摂取することで、少ない負担で筋肉に多くグリコーゲンを蓄えることができます。

朝食には、食べやすいコーンフレークや食パン、あんぱんなど、昼食には、手軽に作れるラーメンやうどん、パスタなどの麺類、夕食には、しっかりと食べられるカツ丼や親子丼などの丼ものがオススメです。間食として、どらやきやクッキーなどのお菓子を食べるとより糖質を摂取することができます。

また、注意点として、グリコーゲンを蓄えるために水分が必要なので、その分体重が1kg程増えることが挙げられます。
マラソンを走るには、それほど影響は大きくないですが、メインのレースの前に一度シミュレーションとしてグリコーゲンローディングを実践しておくことをお勧めします。