魚油がマラソンに効果的!そのメカニズムや飲み方を紹介!
DO魚油がマラソンに効果的!そのメカニズムや飲み方を紹介!
トレーニングを行うと、運動のパフォーマンスは向上します。スポーツでは、やはりトレーニングが大切になります。
それと同じくらい大切になってくるのが、食事です。食事で摂取したものが体を作るので、食べるものによっても運動のパフォーマンスは変わってきます。
たくさんある食べ物の中で、運動のパフォーマンスを高めてくれるものもあります。その一つに、魚油が挙げられます。
魚油を摂取すると、マラソンなどのような持久的運動パフォーマンスが向上します。
今回は魚油を摂取することでどうして持久的運動パフォーマンスが向上するのか、どのように魚油を摂取するといいのかを紹介します。
マラソンは最大酸素摂取量とランニングエコノミーが大切
まずは、マラソンなどの持久的運動パフォーマンスで重要となる運動能力を紹介します。
持久的運動パフォーマンスは、主に最大酸素摂取量とランニングエコノミーというもので決まります。最大酸素摂取量とは、体に取り込める酸素の最大量のことで、車で例えるとタンクの大きさにあたります。
ランニングエコノミーとは、走っている間に消費する酸素の量で、車で例えると、燃費にあたります。ランニングエコノミーが小さいほど少ない酸素摂取量、つまり少ないエネルギー消費量で走れているので、持久的運動パフォーマンスは高くなります。
持久的運動パフォーマンスを高めるにあたって、最大酸素摂取量とランニングエコノミーを高めていく必要があります。
魚油はランニングエコノミーを改善させる
ランニングエコノミーは、フォームなどの影響も受けますが、体内でどのようにエネルギーが使われているかということも影響します。
実は魚油を摂取することでランニングエコノミーが改善される可能性があることが分かってきています。
人を対象にして魚油を摂取する群としない群に分けて運動中の酸素摂取量を測定するという実験では、魚油を摂取しない人よりも魚油を摂取した人の方が、酸素摂取量が少ない傾向にあり、主観的な運動強度も低下しました。
*参考学術:(Kawabata et al., 2014)
それではどうして魚油を摂取するとランニングエコノミーが改善されるのでしょうか。
赤血球やミトコンドリアを変化させる
魚油を摂取した人とそうでない人の血液を採取し、詳しく調べたところ、酸素を運搬する役割を果たす赤血球に変化が起きていることが分かりました。
赤血球は、ドーナッツのような形をしており、外側には膜があります。この膜は、リン脂質と呼ばれる物質で構成されています。
私たちは、食事から脂質を摂取します。脂質は、胃や小腸で脂肪酸とグリセリンという2つの物質に分解され体内に吸収されます。
脂肪酸は、リン脂質を構成する物質でもあるので、体内に取り込まれるとリン脂質に形を変えて赤血球の膜として使われます。
脂肪酸は、炭素がたくさん結合した細長い物質で、結合する炭素の数や結合の様式によっていくつかの種類があります。
魚油を摂取すると、魚油の中に多く含まれているエイコサペンタエン酸(EPA)という脂肪酸が赤血球の膜の中に多く含まれていることが分かりました。
赤血球は、血管を通り全身の筋肉に酸素を運びますが、中には赤血球の大きさよりも小さい毛細血管と呼ばれる血管もあります。こうした血管を通過する際赤血球は形を変えて細い血管を通ります。
細胞の膜を構成するものとして、コレステロールも挙げられます。コレステロールは硬い構造になっていて、コレステロールが膜の中に多いと膜の形を変えにくいです。
しかし、EPAの場合は柔らかい構造をしているので膜の形を変えやすく、毛細血管を通り抜けて多くの筋肉に酸素を届けることができます。
他にもEPAは、筋肉でエネルギーを作るミトコンドリアという器官の膜にも取り込まれます。
ミトコンドリアは、外側と内側に膜を持っています。内側の膜は、エネルギーを作る際に、必要な酵素を安定させる役割があります。
魚油を摂取すると、ミトコンドリアの内膜にもEPAが多く取り込まれ、それによりミトコンドリアでより多くのエネルギーが作れるようになることも知られています。
魚油を摂取すると、赤血球の形が変わりやすくなり全身の筋肉に多く酸素を供給でき、ミトコンドリアの膜にも変化が起きて同じ酸素の量でもより多くのエネルギーが作れるようになるので、ランニングエコノミーが改善されたと考えられます。
1日に鯖缶1缶
それでは、持久的運動パフォーマンスを改善させるには、どれくらいの魚油を摂取すればいいのでしょうか。ズバリ、1日に鯖缶1缶を意識して摂取しましょう。
魚油は、名前から分かるように魚に多く含まれています。その中でも鯖やイワシなどの青魚に多く含まれています。
魚油は、サプリメントとしても販売されています。極力食事から摂取するのが望ましいですが、どうしても補えない場合は、サプリメントからの摂取も検討しましょう。
サプリメントから摂取する場合は1日に2〜3gを摂取しましょう。魚油やサプリメントの効果はすぐには現れません。3ヶ月くらいは継続して摂取するように意識しましょう。
【参考文献】
■Kawabata et al., Supplementation with eicosapentaenoic acid-rich fish oil improves exercise economy and reduces perceived exertion during submaximal steady-state exercise in normal healthy untrained men. (2014)
■ Biosci Biotechnol Biochem. 78, 12, 2081-2088.
■Herbst et al., Omega-3 supplementation alters mitochondrial membrane composition and respiration kinetics in human skeletal muscle. (2014)
■ J Physiol, 15, 592, 1341-1352.