補強上手、若手急成長…近年好調!知られざるトッテナムの世界

補強上手、若手急成長…近年好調!知られざるトッテナムの世界 WATCH

補強上手、若手急成長…近年好調!知られざるトッテナムの世界

スポーティ

8億5300万ユーロ(約1120億円)のマンチェスター・シティは、パリSGを僅差でかわして欧州1位になりました。マンチェスター・ユナイテッドは、7億8400万ユーロ(約1030億円)で3位、チェルシーは6億4400万ユーロ(約843億円)で4位。これらの数字は、フットボール専門に扱うスイスの調査機関「CIES Football Observatory」が夏の移籍市場が締まった直後に発表した「クラブ所属選手の移籍金総額」です。

若手育成と効率のいい補強に定評があるトッテナムは、3億6100万ユーロ(約473億円)で10位。8位リヴァプールの4億3700万ユーロ(約572億円)より100億円ほど少なく、4億1600万ユーロ(約545億円)の9位アーセナルにも水をあけられているクラブが、昨季の2位に続いて2017-18シーズンも4位に食い込んでいるのは大健闘です。
(メイン写真 Photo by Ardfern)

やりくり上手のレヴィ会長が今季も貴重な即戦力をゲット!

巧みな移籍交渉で、原石を買い付けるダニエル・レヴィ会長は、夏のトランスファーマーケットを黒字で着地しています。アヤックスから3600万ポンド(約53億3000万円)で獲った21歳のCBダヴィンソン・サンチェスを筆頭に、セルジュ・オーリエ、ジョレンテと即戦力を揃える一方で、カイル・ウォーカー、ベンタレブ、ヴィマー、ヌジエを安売りせずに放出しています。これらの取引で、500万ポンド(約7億4000万円)を金庫に収めたやり手の会長は、1月にパリSGのルーカス・モウラを2560万ポンド(約3800万円)で獲得をしました。

売った選手たちの前シーズンのプレミアリーグ出場試合数を見ると、カイル・ウォーカーを除く3人はトータルで5試合しか出ておらず、さほどお金をかけずに補強に成功したといっていいでしょう。「安価で手に入れた若い選手を育てて高く売る」のは中堅・下位クラブが生き残るための手段のひとつですが、スパーズは同じ手法で経営を安定させながら、プレミアリーグで優勝を争うクラブに成長しているのです。


イングランド代表でも主力に成長したエリック・ダイアー(PHOTO by @cfcunofficial (Chelsea Debs) London)

ポチェッティーノ監督はなぜ若手を育てられるのか?

やり手の会長が連れてきた選手たちを、しっかり戦力化しているのがマウリシオ・ポチェッティーノ監督です。特に素晴らしいのが若手の育成で、2014-15シーズンにハリー・ケイン、ライアン・メイソン、エリック・ダイアーをブレイクさせると、冬に獲得した19歳のデル・アリは翌シーズンにはレギュラーに定着をさせました。ベンタレブ、トム・キャロルらは育てて売り、トッテナムユース出身のハリー・ウィンクスは、2016-17シーズンに大きく成長を遂げて中盤の一員として活躍しています。

ポチェッティーノ監督が、ライバルクラブよりも多くの若手を世に出せるのは、オフシーズンに選手たちに怖れられるほどの厳しいトレーニングを課し、見どころある選手は欧州の舞台でも抜擢して経験を積ませているからでしょう。プレミアリーグとヨーロッパリーグで11人全員を入れ替える大胆起用を就任当初からできたのは、チームのコンセプトがすべての選手に浸透している証拠です。


ハリー・ケインは2年連続得点王と欧州トップクラスのストライカーに大化け(PHOTO by CFCUnofficial (Chelsea Debs))

できるだけ前でボールを奪い、直線的にゴールに迫る。前線の選手がマークされているときは、後ろから長いボールをサイドに集め、横からの崩しを徹底する。プレッシングをさぼらない前線、激しく上下動しながらミドルレンジを埋める中盤、細かくラインを調整しながらクロスやシュートを入れさせないDF陣。ポチェッティーノ監督の堅守速攻を支えているのは、TOP6のクラブではNO.1の運動量です。SBをそれぞれのサイドに2人ずつ配して競争を促し、CBはアルデルヴァイレルト、ダヴィンソン・サンチェス、フェルトンゲンを軸として3バックと4バックを併用。中盤のセンターには、守備に長けたエリック・ダイアーとワニャマのいずれかを置いて速攻やミドルシュートをケアさせています。2014-15シーズンのプレミアリーグで53失点だった守備は、2016-17シーズンには26失点と大きく改善されました。後ろが安定していれば、前で多少思い切った起用をしても大丈夫というわけです。

次の目標はタイトル。今季はFAカップに期待


ハリー・ケインの穴を埋めるのは、CLで大活躍したソン・フンミンか(PHOTO by Дмитрий Голубович)

ポチェッティーノ監督の指導の下、プレミアリーグ2位、FAカップセミファイナル、リーグカップは決勝進出と善戦できるようになったスパーズ。次の目標は、タイトルを獲得することでしょう。レアル・マドリードとのホーム&アウェイを1-1、3-1と圧倒して期待された今季のチャンピオンズリーグは、百戦錬磨のユヴェントスにホームで逆転負けを喫して無念の敗退。プレミアリーグはマンチェスター・シティの独走を許し、来季CLの出場権確保にミッションを切り替えるしかありません。最大のチャンスは、下部リーグのクラブと再試合を繰り返しながらベスト8に進んだFAカップです。

マンチェスター・シティは既に敗れ、ライバルはチェルシーとマンチェスター・ユナイテッド。セミファイナル以降は、新スタジアム建設のために、今季間借りしているウェンブリーで戦うことができるというアドバンテージがあります。ハリー・ケインの負傷が気になりますが、全治1ヵ月なら4月下旬のウェンブリーに間に合います。このチャンスを活かして、タイトルを獲得できれば、主力選手のクラブに対するロイヤリティや期待感が上がり、新しいスタジアムで戦う次のシーズンをいい形で迎えられるのではないでしょうか。欧州の強豪と互角に戦えるポチェッティーノ監督のチームの奮闘を最後まで見届けたいと思います。


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