頭脳的ゲームとトレイルランの融合!知られざる競技「オリエンテーリング」とは。

頭脳的ゲームとトレイルランの融合!知られざる競技「オリエンテーリング」とは。 DO

頭脳的ゲームとトレイルランの融合!知られざる競技「オリエンテーリング」とは。

スポーティ

「オリエンテーリング」の団体を主宰し、自身も各地の大会に出場し続けている親子が三重県伊勢市にいます。オリエンテーリングと聞けば、学校の遠足などでやったことがあるレクリエーションをイメージする人が強いと思います。実は私もそうでした。

ところが、それは大きな間違いで、オリエンテーリングとは競技スポーツなのだそうです。地図を読み取り、自分でルートを決め、山の中の道なき道を走って、タイムを競う、いわば頭脳的ゲームとトレイルランが融合したようなスポーツなのだそうです。

トレイルランやアウトドア・スポーツをこよなく愛する筆者にとっては魅力的なキーワードが並んでいます。俄然オリエンテーリングなるものに興味が湧いてきました。

そこで、伊勢志摩オリエンテーリングクラブの会長である牧戸和之氏と、息子の牧戸悠生君(中3)に競技について聞くことにしました。悠生君は中学生ながら同クラブ部長でもあります。どうやらクラブ活動の中心は、むしろ悠生君のようで、和之氏は、父親としてクラブ運営に手を貸していて、競技者としての実力も悠生君の方が上、ということらしいです。なにしろ悠生君は2018年度インターハイ個人全国9位、団体1位の実績を持つバリバリの現役選手なのです。

オリエンテーリングに関するウィキペディア的知識

「オリエンテーリングってお遊びでしょ?」という反応が世の中の大多数でしょうが、むしろそんな風に思っている人間が率直に尋ねるからこそ、この知られざるスポーツの輪郭が浮かび上がってくるだろうと考えました。

2人にインタビューをする前に、オリエンテーリングを知る上で最低限の知識を調べてみました。そこでわかってきたことを箇条書きに挙げてみると、以下の通りです。

•競技者は、レース直前にコース地図を渡される。
•コース地図には、通過しなくてはいけない複数のポイントと最終ゴール地点が示されている。
•競技者は、コース地図とコンパスのみを持って走る。
•競技者は、指定された順番でポイントを巡り、ゴールするまでの所要時間を競う。
•ポイントを通過さえすれば、どこを走るかは競技者の自由。
•コースの走行距離や所要時間は、レベルによって様々。短いものからスプリント、ミドル、ロングと分かれている。


地図とコンパスを使って、自分が走るルートを決める。

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通過ポイント(コントロールと呼ばれる)にパンチ・イン。

この知識を頭に入れた上で、牧戸和之氏・悠生君とのインタビューに臨みました。

日本代表選手を目指しています

ーーレースでは一斉にスタートするのでしょうか?

悠生君:競技者は1分ごとに順々にスタートします。

ーー地図を読めないけど走るのは得意って人は、分かっていそうな人の後ろについて行ったらダメなのでしょうか?

悠生君:ルール違反ではありませんが、走力が合わなかったり、その人がルートを間違えたら共倒れになるリスクがあります。

ーーコース付近の地形に詳しい人は、有利ですよね?

悠生君:そうですね。地元の人は有利です。

ーー競技者は、レース前にコース付近を立ち入り禁止になるってことですけど、監視は出来ませんよね?

悠生君:例えば、開催者がコース試走などをしているときに競技者を見つけてしまったら、その競技者は失格になります。

和之氏:完璧に監視するのは無理ですね。暗黙の了解というか、競技者の良心に任されている部分はあります。

ーー競技者は、普段どんなトレーニングを積んでいるのでしょうか?

悠生君:ぼくは陸上部で走力を鍛えています。体幹トレーニングもやります。

和之氏:心肺能力を鍛えるためにインターバル・トレーニング、色々な地形や障害物に対応するためのアジリティ・トレーニングやトレイル・ランをよくします。
*和之氏は、クロスフィット伊勢のオーナー兼コーチでトレーニングの専門家です。

ーー地図読みの能力ってトレーニングで鍛えられるものなのですか?

悠生君:経験を積むのが一番です。地図を読んで実際の地形とを見比べてみたり、地図を読みながら走る練習もします。

ーーレースを主催されたこともあるそうですが、コース作りってどれぐらいの手間がかかるものなのですか?

悠生君:難易度と安全性を考えてコースを作らないといけないので、最低でも2~3週間、長いときは1か月以上かかります。協会からダメ出しが出て、一度作ったコースをやり直すこともあります。実際に通過ポイントを設定するのはレース前日です。

和之氏:コース設定って本当に大変な作業で、これも広く一般に普及するためにはマイナス材料ですね。


手作りでコース設置

ーー最後に悠生君にお聞きします。オリエンテーリング競技者としての目標を教えてください。

最終的な目標は日本代表選手になって、世界選手権大会に出ることです。身近な目標はインターハイ個人6位入賞、団体戦2連覇です。


右端が牧戸悠生選手。目指せ日本代表!
「ぜひオリエンテーリングを広めて下さい」と語る悠生君の真剣な言葉が印象的でした。もう子供にはかないませんと言いながらも、多大なサポートを続ける父親の和之氏にも頭が下がります。

オリエンテーリング、ますますやってみたくなりました。興味を持たれた方はぜひ一度試してみては如何でしょうか。

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