まもなく開幕ラグビーW杯を楽しもう! 代表選手名鑑 第1弾プロップ編

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まもなく開幕ラグビーW杯を楽しもう! 代表選手名鑑 第1弾プロップ編

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令和元年9月20日の開幕が待ちきれないラグビーW杯。この機会にラグビーを見てみようという方も多いかと思われます。そこでW杯までの5か月間で日本代表候補選手を知ってもらい、ラグビーをより身近に感じてほしいというのが本記事の趣旨です。

1チーム15人で戦うラグビーですが、ポジションは何個あるかご存知でしょうか。15人ですから当然15個のポジションがあるのですが、右ロック・左ロック、右ウイング・左ウイングというように左右に2人いるポジションもあります。それを1つと計算すると合計10個のポジションがあります。
 
ポジションごとの代表有力選手を10回に分けてご紹介して行きます。

TOP写真 Photo by Matt Taylor

まずは背番号 1番、3番 「プロップ」

「スクラム組んで頑張ろう」なんてことを日常会話でも聞かれたことがあるかと思います。力を合わせて前へ進もうといった意味で使われます。しかしラグビー選手の半分はスクラムを組んだことがないとご存知でしょうか。

選手15人のうちスクラムを組むのはFW(フォワード)背番号1番から8番までの8人と決まっています。背番号9番から15番までのBK(バックス)が組むことはありません。下の写真のように、スクラムは屈強な男8人が組んで押し合うガチンコの力勝負の場。中でもスクラムに命をかけているのが、支柱という意味を持つ「プロップ」、背番号1番と3番、敵と向かい合う最前列3人のうちの両端です。

プロップの仕事の中でも最も重要なのがスクラムで、彼らは試合に負けてもスクラムで押し勝っていれば満足そうにしていたりします。

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心優しい力持ち

プロップの2人は80分の試合中にボールに1度も触らないことが多々あります。ラグビー人生で1度もトライ(サッカーでいうゴール)せずに引退する人もいます。プロップの選手に注目が集まることは少なく、だったらせめて体力的に楽なら救いもありますが、最もキツくしんどいポジションなのです。

誤解を恐れずに言うとラグビー史上、プロップのスター選手はいないと思います。彼らは決して主役のように目立つ役柄ではありませんが、組織を支える縁の下の力持ちで、絶対に無くてなならない渋すぎるポジション、それがプロップなのです。

なので、好きな選手はプロップの〇〇選手と言えば、「おっ、ラグビー知ってるね!」となる上、絶対に好感度もアップします。
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体格がよければプロップ、餃子耳もプロップ

中学、高校でラグビーを始めると、体格がいいだけで有無を言わさずプロップにされます。なぜだか分かりますか?答えは簡単、プロップには体重が求められるからです。下の写真はスクラムを組む直前の1枚です。敵と直接組み合って押し合う最前列の3人のうちの両端がプロップですので、当然身体が大きく重い方が有利です。

代表クラスとなると、FW8人の平均体重は、110~120キロ。つまり敵8人900キロ以上の重みを体で受け止めなければなりません。加えて味方の後ろ5人から押されます。その体重だけで550~600キロ。

まるでハンバーガの肉のように、両側から押しつぶされそうになりますが、それに耐えうる強い身体と首の強さが必須です。ラグビー選手で首が太いのは、ほぼプロップです。耳がつぶれているのも、たいがいはプロップです。敵の耳と擦れて餃子耳になってしまうのです。

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愛すべき存在「プロップ」の日本代表候補選手を順にご紹介

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1.稲垣啓太選手
経歴:新潟工業高校 ⇒ 関東学院大学⇒パナソニックワイルドナイツ所属
身長186㎝ 体重116㎏ 28歳 
日本代表キャップ(代表試合出場数:25)

顔は怖いけど案外オチャメ、インスタのフォロワー数12万3千を誇る稲垣選手は、スーパーラグビーでオーストラリアから参戦するレベルズでもプレーした、日本を代表するプロップの1人。背番号1番の最有力候補と言っていいと思います。

1日7000キロカロリーを摂取する稲垣選手は、カレー1.5キロ、牛丼なら特盛3杯を軽く平らげるという大食いが自慢です。それを武器に日本テレビの有吉ゼミに鳴り物入りで登場したものの、ギャル曽根にあっさり負けるという茶目っ気を見せたシーンを見た方もいるでしょう。

普通のプロップはズボンが入らなかったりするためオシャレを諦めるのですが、稲垣選手のインスタにはオシャレな私服姿も多くアップされていて、それも女性ファンが多い理由かも知れません。ラグビーのフィールド上で暴れまわる彼のプレーに是非ご注目下さい。

2.コンバートでW杯を目指す中島イシレリ選手

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中島イシレリ選手
経歴:流通経済大学⇒NEC⇒神戸製鋼所属
身長186㎝ 体重120㎏ 29歳 
日本代表キャップ(代表試合出場数 :2 )

出身地のトンガで高校を卒業後、流通経済大学に入学。2014年に日本人の奥様と結婚し、2015年に日本国籍を取得。日本名を中島イシレリとしました。

大学時代から強烈な突破を武器としており、相手チームを震え上がらせていました。足のサイズ32㎝の巨漢は、所属する神戸製鋼でスクラムの最後尾に位置する花形ナンバー8のポジションをゲット。

ところが昨年、代表合宿に呼ばれジョセフ監督から与えられたポジションが「プロップ」でした。慣れないスクラム練習で「押しつぶされる空き缶の気分」と語り、そのキツさにほとほと疲れ果て、沖縄合宿では好物のラフテー(豚足)を食べることだけが楽しみだったそうです。

果たして最終31名の日本代表に残れるのか。是非応援してあげてください。

3.韓国出身のイジられキャラ 具 智元選手
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具 智元選手
経歴:日本文理大付属高校⇒拓殖大学⇒ホンダ所属
身長183㎝ 体重122㎏ 24歳 
日本代表キャップ(代表試合出場数:7)

太い眉毛に細い目、純朴そうな癒し系の笑顔で女性ファンからの人気もじわじわ上昇中、それが日本代表のスクラムを背負うのが韓国出身の若き支柱、具智元(グ・ジウォン)選手です。

筆者は以前「よしもとラグビー新喜劇」の構成台本を書かせて頂いた際、出演者の一人として具選手も舞台に来てくれました。ニコニコした気の優しそうなキャラでラグビー選手とは思えないほど。その日が初対面だった田中選手ら先輩から、いきなり「グーくん」「グーちゃん」「グー、グー」と呼ばれイジられていました。エドはるみさんもブッキングしておけばよかったと後悔したほどです。

具選手のお父さんはアジア最強と呼ばれた伝説のプロップで、彼はその血を譲り受けたサラブレッド。冷蔵庫のような四角い身体で突き刺さる強烈なタックルと、凄まじいスクラムプッシュは一見の価値ありです。

4.帰って来た勝利の使者 山下裕史選手
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山下裕史選手
経歴:都島工業高校⇒京都産業大学⇒神戸製鋼所属
身長183㎝ 体重120㎏ 33歳 
日本代表キャップ(代表試合出場数:51)

前回のW杯で優勝候補の一角だった南アフリカから大金星を挙げた日本。そのゲームにも出場し奇跡の勝利を手繰り寄せた最後のスクラムを組んでいたプロップ3番が山下選手です。

ラグビー王国ニュージーランドのチーフスでも即レギュラーを獲得。日本代表からは退いていたのですが、昨年、ジョセフ監督からのラブコールを受け、33歳にして代表に返り咲きました。

「ヤンブー」の相性で親しまれているベテランは、中学までは野球少年でしたが、高校でラグビー部に入ると、その体型からポジションはプロップで即決。以来プロップ一筋18年。ジャージのサイズは聞いた事もない5XO。
恐らく最後になると思われるW杯での活躍を目に焼き付けて頂きたいものです。

ラグビーのルールが分からなくても、スクラムの勝った、負けたは誰でも分かります。是非、スクラムに注目してW杯を楽しんでみて下さい。

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プロップ ラグビー 日本代表