アメリカマイナーリーグ奮戦記〜審判員・小石澤進さんインタビュー〜

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アメリカマイナーリーグ奮戦記〜審判員・小石澤進さんインタビュー〜

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2018年秋に紹介した、マイナーリーグでは2人目となる審判員の小石澤進さん(元四国アイランドリーグplus審判員)が、アリゾナリーグ(ルーキーリーグ)より一つ上のパイオニアリーグ(アドバンストルーキー・ショートA)に昇格しました。2019年12月に一時帰国した小石澤さんに再びお話を伺いました。


グランドを見る小石澤さん

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2年目の昨シーズンは昇格

マイナーリーグにデビューして2年目の2019年、小石澤さんはルーキーリーグよりワンランク上のアドバンストルーキー・ショートAのパイオニアリーグに昇格しました。
https://www.milb.com/pioneer

パイオニアリーグの創設は、1939年と歴史があるリーグです。球団数は紆余曲折を経て、現在は8球団、南北2地区に分かれてリーグ戦を行っています。

北地区の4球団がモンタナ州に、南地区の4球団がコロラド州、アイオア州、ユタ州に散らばっています。シーズンは6月半ばから9月初めまで。小石澤さんは「レベルは(ルーキーリーグと)そんなに大差がない」と言いますが、前年ルーキーリーグにいたであろう選手ということを考えれば、彼らを鍛え上げていく場でもあるということでしょう。

このパイオニアリーグに審判員は計8人在籍しており、2人ずつペアを組み2人制で試合を担当します。アリゾナリーグでは宿舎となるホテルから各球場へ車で向かうため、それほど長距離の移動はなかったものの、パイオニアリーグでは移動しながら各球場を回る必要があり、「ロングトラベル」と呼ばれる大掛かりな移動もあったそうです。

最も長い移動ではおよそ850マイル(約1360㎞)を車で14時間かけての大移動もあったそうです。日本に例えると、東京駅から新幹線で西に向かうと熊本駅で1300㎞弱になります。

ナイター終了後に車で目的地に向けて出発しパートナーと交代で運転しながら14時間走り、到着してからホテルで仮眠を取り、試合を担当するのかと考えるとスケールの大きさとタフな精神力が求められるのも当然かと感じます。

そもそも小石澤さんは2年目のシーズンを迎えるにあたって、スプリングトレーニングのあとにマイナーリーグのスーパーバイザーとの面談があり、厳しい査定をパスしての昇格でした。もちろん自動的に昇進できるシステムではないのです。

この時に、知識や技術的なことだけではなく、英語能力、コミュニケ―シン能力も評価されるのです。審判員はリーグを代表してグランド内外で選手や監督、球団関係者とのルールに関することも含めて意思疎通ができなければなりません。

信頼関係を構築していく上で外国人だからと特別扱いされるわけではありません。この点がクリアできた(評価された)からこその昇格だったといえます。

オフの過ごし方は

1年目、そして昨年の2年目のシーズンも日本語の通じないアメリカにて審判員としてハードな職務をこなしている小石澤さんは、タフな精神力と適応能力、且つそれなりに英語能力もあるからこそだと筆者には思えますが、小石澤さん自身はまだまだだと感じています。

そんな小石澤さんは英語能力とコミュニケーション能力を向上させるために1年目のオフにはしばらくアメリカに滞在し、友人を頼ってメキシコでも過ごしました。

英語に加えてスペイン語にも馴染めるようにということもあるようです。メキシコも含めて中南米はほぼスペイン語圏といっていいでしょう。

アメリカと密接な関係にあるばかりか野球熱も高い地域でもあります。アメリカに限らず日本にもスペイン語を母語とする選手がやってくることは珍しくありません。

ところで、小石澤さんが滞在したのは太平洋に面した西部のマサトラン。観光地としても知られる都市です。そこで、メキシカンリーグでもウインターリーグでもない地域のリーグ(地元では「地域の独立リーグ」と呼ばれていた)で審判員として過ごしました。

2年目のシーズン終了後もしばらくアメリカに滞在しており、今回インタビューした後もアメリカで生活し現地での生活に溶け込みたいという意気込みを小石澤さんは語ってくれました。

公私ともに自分の意見を英語で主張できなければならず1年目は自身に対してイライラすることはあったと言いますが、少しでもアメリカ社会に溶け込もうという意欲とメキシコでの異なった社会での経験がさらに3年目の今シーズンでは活かされるのではないかと思われます。

これから3年目に向けて

今回インタビューした2019年12月、小石澤さんは古巣の四国アイランドリーグplusの審判部が主催する講習会で2人制の審判の指導を行いました。

同リーグ審判部は毎年シーズンオフには2人制の審判講習を行っていますが、今回は小石澤さんがマイナーリーグで経験したことを受講生に伝える貴重な場になりました。

小石澤さんは、次のように話してくれました。

アメリカ(マイナーリーグ)でやっている2人制の審判について覚えて持ち帰ってもらいたい。そして、日米で少しではあるものの違いもありますが、最新の技術やフォーメーションを身に付けて役立ててもらいたい。

そしてさらに、このように話をしてくれました。

高校、大学、社会人などアマチュアも様々ありますが、プロになって人生を賭けてみたい、レベルを上げてみたいという方はぜひ四国アイランドリーグplusへ来てください。日本でプロを目指すという道もありますが、アメリカへ来てメジャーを目指すという道もあるので、あとに続く人のためにも『メジャーの審判員』へという道を開拓したい。

審判員を目指したい方にもメッセージも語ってくれました。2018年秋に初めて会った時よりも一回り大きくなって頼もしく思える存在になった小石澤さんの今シーズンに期待したいです。


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