サーフィン全米オープン観戦記。「地元のヒーロー」五十嵐カノア選手は3位入賞

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サーフィン全米オープン観戦記。「地元のヒーロー」五十嵐カノア選手は3位入賞

スポーティ

7月29日から8月6日までの1週間、カリフォルニア州ハンティントンビーチでサーフィンの全米オープン(正式名称:US Open of Surfing)が開催されました。全米オープンは、同時に世界サーキット『ワールドサーフリーグ』最大のイベントでもあります。1959年の第1回大会以来、毎年の夏にハンティントンビーチで開催されています。

ハンティントンビーチはロサンゼルス空港から南へ車で30分くらいに位置する海沿いの街です。市の別名称として『Surf City USA』を公式に商標登録している、サーフィンの聖地として知られています。そして、私が高校時代を過ごした場所でもあり、現在住んでいるアーバイン市からも車で20分くらいしか離れていません。

大会会場入り口に作られた砂の看板

私には自分の実力をわきまえずに無謀なことに挑む悪弊があり、このハンティントンビーチでも波に翻弄されて溺れかけたことが何回かあります。だからと言うわけでもありませんが、ここで競技する選手たちの凄さが少しは分かるような気もします。そのようなわけで、今年もこの全米オープンを観に行ってきました。

地元のヒーロー、五十嵐カノア選手

東京オリンピックで銀メダリストを獲得した五十嵐カノア選手はこの全米オープンでも2連覇(2017, 2018)を達成したことがあります。押しも押されもせぬ、世界的なトップサーファーのひとりです。

そして、五十嵐選手はここハンティントンビーチに拠点を置く「地元選手」でもあるのです。ワールドサーフリーグ公式ウェブサイトのプロフィール動画では、冒頭で「私の名前は五十嵐カノアです。カリフォルニア州・ハンティントンビーチの出身です」と自己紹介しています。英語、日本語、スペイン語、ポルトガル語の4か国語を話すという五十嵐選手ですが、この動画では主に英語で話しています。

大会公式ショップで販売していた五十嵐カノア選手Tシャツ

大会中、五十嵐選手の名前がアナウンスされると、周囲からはひときわ大きな声援が上がりました。今年の大会では準決勝ラウンドで惜しくも敗れ、3位に入賞しました。

レイドバックした雰囲気

言うまでもありませんが、サーフィンとは非常にエキサイティングなスポーツです。見上げるような大きな波に果敢に挑み、ときに大きく空中にジャンプするサーファーたちの勇姿に興奮しない人はいないでしょう。

ところが、その競技を実際に現地で見ると、意外にルールが分かりにくく、また間延びした印象を受けるかもしれません。

サーフィンをやる人は分かると思いますが、波に乗るときより、パドリングして波を待っている時間の方がはるかに長いのです。

Pierと呼ばれる桟橋は絶好の観戦スポット

競技では2~4人が1グループに振り分けられ、20~30分くらいの時間内にひとりひとりが波に乗るわけですが、良い波がなかなかやって来ない時間もあります。自然がフィールドなのですから仕方がないことではあるのですが、そのようなわけでいつでも手に汗を握る場面が連続するというわけにはいきません。

体操競技やフィギィアスケートのようにジャッジの採点で勝負か決まりますが、その判定基準も素人には分かりにくいものです。早い話、私から見れば、誰も彼にも10点満点をつけたくなってしまうのです。

それでも、ビーチに寝転んだり、あるいは散歩したりしながら、トップサーファーたちの神技を眺めるのは得難い経験です。ビーチ観光とスポーツ観戦を同時に楽しむことができます。

気の早いオリンピックの話

サーフィンは東京オリンピックから正式種目として採用されました。そして、来年の2024年パリ・オリンピックでも、さらにその次の2028年ロサンゼルス・オリンピックでも、競技に採用されることが決定しています。

東京オリンピックでは、サーフィンは千葉県長生郡一宮町の釣ヶ崎海岸で競技が行われました。日本におけるサーフィンの聖地ですが、私が見た限りでは波の迫力はハンティントンビーチに比べるとやや見劣りするようでした。

釣ヶ崎海岸

パリ・オリンピックではサーフィン競技の開催場所はタヒチになるそうです。確かにフランスとサーフィンはあまりイメージが重なりませんね。しかし、その分、南太平洋の素晴らしい景色が見られそうです。

ロサンゼルス近辺にはサーフィンが盛んなビーチは数多くありますが(と言うより、サーフィンができないビーチの方が珍しいでしょう)、2028年オリンピックのサーフィン競技開催地は現在のところ未定です。

それでも『Surf City USA』を選ばなくて、一体どこでやるんだ、と少なくとも地元ではすっかりその気になっています。

ハンティントンビーチの桟橋入り口

5年後のオリンピック、この記事を読んでくれた読者とハンティントンビーチでお会いできることを楽しみにしています。

そんな何年も先の話をされてもなあ、と思われる人は日本国内でサーフィンの競技を一度観戦してみてはいかがでしょうか。日本サーフィン連盟のウェブサイトを見ると、全国で毎週のように大会が開かれているようです。

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