風と高温のポルトガルからスタート ーブエルタ・ア・エスパーニャ24ー

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風と高温のポルトガルからスタート ーブエルタ・ア・エスパーニャ24ー

スポーティ

8月17日、ポルトガルのリスボンから、2024年のブエルタ・ア・エスパーニャがスタートしました。今年のコースは全長3304㎞、スペインのマドリードを最終ゴールとする3週間のレースです。この記事では、最初の3ステージが開催されたポルトガルでの様子をレポートします。

TOP写真:第1ステージの個人タイムトライアルをスタートする直前の地元ポルトガル出身のネルソン・オリベイラ選手。Photo by Yukari TSUSHIMA

個人タイムトライアルでレースがスタート

今年で引退のルイス・アンヘル・マテ選手が、世界遺産のジェロニモス修道院の前からスタート。Photo by Yukari TSUSHIMA

今年のブエルタ・ア・エスパーニャは、ポルトガルの首都・リスボンでの個人タイムトライアルからスタートしました。世界遺産であるジェロニモス修道院の前からスタートし、同じく世界遺産であるベレンの塔の前を通過する、約12㎞のコースです。

このコースについて、スペインのチームであるモービスターを率いるパブロ・ラストラス監督は、レース前に

「去年(バルセロナ)や一昨年(オランダ・ユトレヒト)の第1ステージとは異なり、市内中心部ではなく、ちょっと郊外を走るコースになりました。リスボンから西に向かって走る今回のコースは、道が広くて上りやテクニカルなカーブもない、本当にシンプルなコースです。コース自体ははシンプルですが、こうしたコースの場合選手一人一人が決めた自分の戦略を100%完全に遂行する事が必要になります。また、海沿いを走るので、選手は風の影響を受けることになるでしょうし、同時に夕方の時間帯に西に向かって走るので、選手は太陽に向かって走ることになります。つまり、太陽をまともに正面から受けて走る選手はかなりまぶしいと思うので、そのことも選手の負担になりますね。」

と分析していました。

実際に第1ステージの個人タイムトライアルが始まると、会場ではスタート地点の防護柵が倒れるくらいの強烈な風が吹きました。また、夕方にも関わらず気温は40度近くまで上昇するなど、厳しい環境の中での初日のレースとなりました。

ポルトガル人選手への大声援

ポルトガル人サイクリストのホアン・アルメイダ選手(写真右から2人目)。残念ながらブエルタの第8ステージでレースを棄権。Photo by Yukari TSUSHIMA

今年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、第1ステージから第3ステージまでの3ステージは、ポルトガル国内での開催となりました。ポルトガルがブエルタ・ア・エスパーニャのスタート地点になるのは、今回が初めてではなく、27年ぶり2回目となります。

そんな今年のブエルタ・ア・エスパーニャには3人のポルトガル人選手が出走していました。スタート地点に、ポルトガル人サイクリストが立つと、会場から地響きのような声援が沸きあがります。

ポルトガル人のルイ・コスタ選手(写真右)。第5ステージ終了後、ブエルタをリタイア。Photo by Yukari TSUSHIMA

ポルトガルは、ヨーロッパのほかの国と同様に自転車選手を多く輩出していますし、自転車レースも多数開催されています。とはいえ、ブエルタ・ア・エスパーニャのような世界でもトップレベルのレースに出走できるポルトガルの選手は、いまでも決して多くはありません。

今回出走した3人のポルトガル人サイクリストへ向けられた応援は、ポルトガルに暮らす自転車レースファンの熱い思いが込められていたものでした。

ベテラン選手の走りに注目

ベルギー人ベテランサイクリストのトーマス・デ・ゲント選手。Photo by Yukari TSUSHIMA

また、今回のブエルタ・ア・エスパーニャでは、ラストランになる可能性のあるべテラン人サイクリストが数多く出走しています。

今年40歳を迎えたスペイン人のルイス・アンヘル・マテ選手は、すでに今シーズン終了後の現役引退を表明しています。昨年から2年連続でポルトガル国内でのレースで勝利を上げているマテ選手は、今回のブエルタ・ア・エスパーニャの第2ステージと第3ステージでは大逃げを決め、山岳ジャージを獲得しました。ブエルタ後半に向けて、再度逃げ集団に乗ることを考えていることでしょう。

ベルギー人ベテランサイクリストのトーマス・デ・ゲント選手は、このブエルタ・ア・エスパーニャ第20ステージで、グランツール出走500日の記録を達成する予定です。グランツールと呼ばれることもある3週間の自転車レースは、世界でもジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャの3レースだけで、この3レースを全部走ったとしても90日間というレース日程となります。そうした条件を考えると、通算500日もグランツールに出走していたデ・ゲント選手のキャリアの長さが、異例中の異例であることがわかるのではないでしょうか。

コロンビア人サイクリストのリゴベルト・ウラン選手、残念ながら第6ステージの落車でブエルタをリタイア。Photo by Yukari TSUSHIMA

コロンビア出身のリゴベルト・ウラン選手も今年での引退を表明している選手の一人です。残念ながらこのブエルタ・ア・エスパーニャの第6ステージで転倒し、レースを棄権することになりました。

今年のブエルタ・ア・エスパーニャの後半では、スペイン北部がレースの舞台になります。暑さを乗り切った選手たちが、北の山岳地帯でどのようなレースを見せるのか、注目されます。

スペイン ブエルタ・ア・エスパーニャ ロードレース