ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 後半戦 レースレポート

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ブエルタ・ア・エスパーニャ2024 後半戦 レースレポート

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2024年のブエルタ・ア・エスパーニャは9月8日に最終日を迎え、プリモ・ログリッジの総合優勝でポルトガル・リスボンから始まった3週間のレースに幕を下ろしました。今回の記事では、今年のブエルタ・ア・エスパーニャ後半戦での出来事を振り返ります。

TOP写真:最終第21ステージ終了後、マドリードの表彰台にて。写真右から総合第2位のベン・オコーナー(デカスロン・AG2R・ラモンディアル)、総合優勝のプリモ・ログリッジ(ボーラ・ハンズグロエ)、総合第3位のエンリク・マス(モビスター)。Photo by Yukari TSUSHIMA

5分差を着実に詰め、総合優勝したプリモ・ログリッジ

総合優勝したプリモ・ログリッジ。Photo by Yukari TSUSHIMA

今年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、第6ステージで120㎞の大逃げを決めてステージ優勝したベン・オコーナーが、同時にこの日リーダージャージを獲得し、その後12日間リーダージャージを着用することになりました。その間、オコーナーとのタイム差が最大で5分以上開いたログリッジでしたが、着実にタイム差を縮め、第19ステージでステージ優勝すると共にリーダージャージをオコーナーから取返し、そのまま総合優勝することになりました。

今年のブエルタを盛り上げた、オコーナーとデカスロン・AG2R・ラモンディアル。Photo by Yukari TSUSHIMA

しかし、最終ステージでオーガナイザーによる公式の表彰式が終わった後、一番最初にステージに上がったのは、選手・スタッフほぼ全員でオコーナー選手の表彰を見守っていたデカスロン・AG2R・ラモンディアルでした。今年はチームとして30の勝利を上げ、最後にブエルタを盛り上げたデカスロン・AG2R・ラモンディアルの選手とスタッフのレース後の表情には笑顔があふれ、この結果に満足している様子が伺われました。

若いスペインチームの大活躍

マドリードのグランビアを走るケルン・ファルマの選手たち。Photo by Yukari TSUSHIMA

今年のブエルタでは、若い選手を抱えるスペインチーム、ケルン・ファルマの活躍が目立ちました。まず第12ステージと第15ステージでは同チームのパブロ・カストリーリョ選手がステージ優勝、また第18ステージではウルコ・ベラーデ選手がステージを制しました。

2020年にチームを設立して2回目のブエルタ・ア・エスパーニャ出走となった今回は、各ステージの逃げ集団に選手を送り込み積極的なレースを展開、その結果3回のステージ優勝につながりました。

なお、このブエルタで2回ステージ優勝をしたパブロ・カストリーリョ選手のお兄さんも現役の自転車選手で、かつてケルン・ファルマとモビスターに所属していたことがあります

ティラノザウルスの登場

ブエルタの期間中、各ステージのスタート・ゴール地点に現れたティラノザウルス。Photo by Yukari TSUSHIMA

ブエルタの期間中だけチーム名をT-Rex クイックステップに変更し、レースをしていたていたソウダル・クイックステップ。一時的に変更されたチーム名の通り、毎日のスタート・ゴール地点にはチームのマスコットであるティラノザウルスの姿が見られました。

このティラノザウルスの正体は、重さ約50㎏のゴム製の着ぐるみで、中に大人の男の人が入っています。ティラノザウルスの後方部分に扇風機がついている「空調服」ですが、それでも中の暑さはかなりのもので、中に入って30分でサウナのような大汗をかくそうです。

もちろん、このティラノザウルスは、子供たちに大人気。毎日恐竜好きの子供たちに囲まれていました。

日本のチームへ移籍を発表した選手の姿も

日本のキナン・レーシングへ移籍を発表したレイン・タラマエ選手(写真中央)。 Photo by Yukari TSUSHIMA

9月1日、ブエルタ・ア・エスパーニャに出走していたレイン・タラマエ選手(インターマルシェ)が、日本のキナン・レーシング・チームに移籍することが発表されました。

タラマエ選手は今年37歳、ベテラン自転車選手の一人です。昨年、宇都宮のジャパンカップとさいたいまクリテリウムに出走しており、その時に経験した日本社会の秩序正しさが非常に印象に残っており、「もしアジアのレースを走るなら、日本のチームで走りたい」と考えていたそうです。

山岳ステージはもちろん、タイムトライアルのステージでも実力を発揮できるタラマエ選手。来年のキナン・レーシング・チームでの活躍が期待されます。

2025年はイタリア・ピエモンテからスタート

また、最終第21ステージ終了後、2025年のブエルタ・ア・エスパーニャのスタート地点は、北イタリアのピエモンテ地域となることが正式に発表されました。北イタリアで3ステージを走った後、選手たちはスペイン国内に移動し、レースを続ける予定です。