開幕直前のWRC2019シーズン!ドライバーラインナップや見どころなどをおさらい!
WATCH開幕直前のWRC2019シーズン!ドライバーラインナップや見どころなどをおさらい!
1月にWRC(世界ラリー選手権)の開幕戦が迫ってきました。
昨シーズンは3メーカー、3名のドライバーによって最終戦までチャンピオン争いが繰り広げられました。最後まで予想できない展開に加え、わずか復帰2年目のトヨタが、19年ぶりにマニファクチャラーズチャンピオンを獲得したことで、私たち日本のファンにとって特別なシーズンになったのではないでしょうか。
去年は、近年稀に見る大激戦が繰り広げられたWRC、今年は一体どんなドラマが待っているのでしょうか?今回は、WRCの紹介に、2019年シーズンの展望、さらにはラリージャパンについても触れていきたいと思います。そもそも「WRCってなに?」という方にも必見です!
メイン写真 photo by kyn_chung
WRC(世界ラリー選手権)とは?
WRCの前に、まずはラリーについてご紹介しましょう。ラリーとは、モータースポーツの一種で、決められたルート、決められた指示にしたがってタイムを競う競技です。
モータースポーツというと、レース専用のサーキットで抜きつ抜かれつのロードレースを想像する方が多いと思いますが、ロードレースとは違ってラリーは、一般道(舗装された道、未舗装の道、雪道、林道など)を走ります。
ルートに設置されているSS(スペシャルステージ)と呼ばれる競技区間で一台ずつタイムアタックし、その総合タイムで勝敗を競います。
競技が行われるSS区間や、SSとSSの間の移動区間(リエゾン)は、普段私たちが利用する一般道を走行します。なのでその国の道路交通法に基づき移動をする為、マシンにはナンバーがついています。
ラリーは、各SSの距離が50km以上の場合もあり、総合距離は300kmほどと走行距離がとても長いです。サーキット(日本の鈴鹿サーキットは全長5.807km)であれば、コースを覚えることができますが、距離が長いラリーでは選手でもコースを完璧に覚えるのは不可能です。
その為ラリーではドライバーだけではなく、ナビゲーターを担当するコ・ドライバーが同乗し、2人の力を合わせてラリーを走り抜きます。
長く、難しいSS区間をもの凄いスピードで走り抜ける(一般道ですが競技中のSS区間は封鎖されているので法的速度は適用されない。移動区間であるリエゾンでは法的速度に従う)のは、世界最高峰のドライビングテクニックを持つドライバーだけではなく、正確に道やコンディションを伝えるコ・ドライバーがいるからこそ!
ドライバーとコ・ドライバーのチームワークにも是非注目してみてください!
※約10年前の映像ですが、迫力のプロモーションビデオをご覧ください。
ラリーの最高峰といえば、WRCです。1973年から始まったWRCは、世界中のラリーイベントをシリーズ化した世界最高峰のモータースポーツ競技の一つです。
各イベントごとの総合順位にポイントが与えられ、年間でもっとも多くポイントを獲得したドライバー、コ・ドライバー、チームに世界チャンピオンの称号が与えられます。世界トップクラスの走りは見るものを魅了し、世界中のファンを虜にしています。
WRCは世界の一般道を走るため、一般車をラリーカーに改造して行います。見た目は市販車の面影が多く残っていることから、マーケティングに直結したカテゴリーとも言われます。
険しい悪路を壊れず、速く走るマシンは良いクルマであるという証明にもなります。WRCで活躍するということは、メーカーにとっても大きな意義があるのです。
今シーズン注目のドライバー&チーム
今シーズンは全14戦で行われ、Mスポーツ(フォード)、トヨタ、ヒュンダイ、シトロエンの4チームが参戦します。今年は、ドライバーラインナップが大きくシャッフルされ、何人がチャンピオン争いに加わるのかに注目が集まります。
さらにあの大物がWRCに戻ってくるなど今シーズンは見どころが盛りだくさん。気になる主なドライバーとチームを紹介します。
「Mスポーツフォード」
2018年は三つ巴の大激戦を制し、セバスチャン・オジエを擁しドライバーズチャンピオンを獲得したMスポーツ。2019年はチーム体制が大きく変わりました。
チャンピオンのセバスチャン・オジエがチームを去り、去年オジエのチームメイトだったエルフィン・エバンスがエースドライバーとなりました。WRC5年目となるエバンスは2017年に初優勝を記録。今年はチームを引っ張っていく存在となりますが、コンスタントな成績を残せるかに注目です。コ・ドライバーは新たにスコット・マーティンを迎え入れ、2019シーズンに臨みます。
Episode six of my Rally Australia 2018 documentary is out. On this episode we hear some memories from UK´s leading rally journalists as well as few words from my race engineer. pic.twitter.com/vKGUmOQRWL
— Teemu Suninen Racing (@TeemuSuninenRac) 2019年1月5日
チームメイトは昨年と同じくテーム・スニネンが残留。若手期待のスニネンは表彰台に入るなど速さを見せており、チームプレーでも貢献してきました。今年は常に表彰台圏内で走れるかが課題といえるでしょう。そしてWRC初優勝にも期待したいところです。スニネンも新しいコ・ドライバーとしてマルコ・サルミネンを起用しています。
また開幕戦と2戦目には今年WRC初参戦となるポンタス・ティデマンドがサードカーに乗ります。WRC直下のカテゴリーでチャンピオンを獲得してきたティデマンドがどのようなパフォーマンスを見せてくれるのかにも注目しましょう!
そして去年までチームを引っ張ってきたマルコム・ウィルソンがチーム代表から退き、マネージングディレクターとしてPR面でチームをサポートすることを発表。
チーム代表にはリチャード・ミルナーが就任。チーム体制が大きく変わったMスポーツ、今年はどんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。
「シトロエン」
9年連続世界王者のセバスチャン・ローブを擁し、黄金時代を築き上げたシトロエンですが、近年チャンピオン争いに絡めずにいます。しかし今シーズンの布陣はまさに最強と言っても良いでしょう。
去年までMスポーツに所属しており、6年連続世界王者となったセバスチャン・オジエがシトロエンに復帰しました。WRC初優勝を記録したチームに復帰したオジエですが、古巣にタイトルをもたらすことができるのでしょうか。コ・ドライバーはジュリアン・イングラシアと最強のコンビで古豪復活を目指します。
チームメイトには去年までトヨタから参戦していたエサペッカ・ラッピが移籍。レーシングカート出身で速さを見せつけてきたラッピはWRC初優勝も記録しました。トヨタのマニファクチャラーズチャンピオンにも貢献した期待の若手はシトロエンでどのような活躍を見せてくれるのでしょうか。またチームメイトのオジエから学び、成長すればもの凄いドライバーになることでしょう。コ・ドライバーは去年同様ヤンネ・フェルムとなっています。
「トヨタ」
2018年シーズンは惜しくもドライバーズチャンピオン獲得はならなかったものの、マニファクチャラーズチャンピオンを獲得したトヨタ。今年はもちろんドライバーズチャンピオンも含め、ダブルタイトルを目指します。
去年最多勝を記録し、ランキング3位となったオット・タナック、最終戦では見事優勝し、ランキング4位になったヤリ-マティ・ラトバラが残留。
惜しくもチャンピオンにはなれなかったタナックでしたが、シーズン中に見せた圧倒的なスピードは特にシーズン後半を盛り上げてくれました。今年は自身初、そしてチームにドライバーズチャンピオンをもたらすことができるのでしょうか。コ・ドライバーは去年同様マルティン・ヤルヴェオヤが務めます。
長年WRCを盛り上げてきたドライバーの1人でもあるラトバラは去年も優勝し、デビューしてから毎年優勝を記録しています。トヨタの復帰2戦目での優勝もラトバラが記録するなどトヨタになくてはならない存在でもあります。そんなラトバラですが、まだチャンピオンにはなれていません。今年もトヨタと共に悲願のワールドチャンピオンを狙います。コ・ドライバーは不動のミーカ・アンティラです。
そしてラッピが抜けた穴を埋めるのは、シトロエンで走っていたクリス・ミークです。去年は相次ぐクラッシュが原因でシーズン途中に解雇になってしまいました。しかし、ミークの要望をシトロエンが受け入れなかったこともある為、ミーク好みのセッティングをトヨタが見いだせるかにかかっています。
ミークは優勝経験もある速いドライバーなので、今年のトヨタは強力なドライバーラインナップとなりました。コ・ドライバーは新たにセブ・マーシャルが務めます。
「ヒュンダイ」
去年は常に速さをみせ、チャンピオンまであと一歩というところまで迫ったテイリー・ヌービルとヒュンダイ。今年も間違いなくチャンピオン候補になってくるであろうチームです。昨シーズンランキング2位のヌービルは残留、コ・ドライバーのニコラ・ジルスールとのコンビも継続し、チャンピオン獲得に照準を合わせます。
チームメイトには昨年同様アンドレアス・ミケルセンとなっています。ミケルセンはフォルクスワーゲン時代にWRC初優勝を達成し速さを見せるものの、昨シーズンはミスが続くなど結果に伴っていません。戦闘力のあるヒュンダイでの2年目ということで、今年が勝負の一年となるでしょう。コ・ドライバーはアンデルス・ヤーゲルが務めます。
そしてオフシーズン最大のニュースだったのが、セバスチャン・ローブのヒュンダイ加入です。
2004年から9年連続世界チャンピオンに輝いたWRC最高のドライバーが再びWRCに戻ってきました!
WRCを退いてからも、※WTCC(世界ツーリングカー選手権)やダカールラリー、世界ラリークロス選手権で活躍していたローブでしたが、去年のWRCスペインでスポット参戦ながら見事優勝!!ラリーでも全く衰えていないことを証明しました。
ローブはヒュンダイと2年契約で2019年は6戦だけ出場し、残りはダニ・ソルドがステアリングを握ります。開幕戦はローブがドライブし、第3戦はソルドが担当します。
全戦出場ではないものの、出場イベントでは大量のポイントをチームにもたらすであろうローブ。チームにとって最高のドライバーが加入しました。同時にライバルたちにとって最も手ごわい存在になります。
多くの勝利を積み上げてきたコ・ドライバーのダニエル・エレナと共に、今年も優勝をかっさらっていくのでしょうか。※現WTCR
期待が膨らむラリージャパンの開催
2004年から2010年まで日本の北海道でラリージャパンが開催されていました。それ以降日本での開催がありませんでしたが、トヨタがWRCに復帰したこともあり、2018年に2019年のラリージャパン開催に向けて誘致準備委員会が発足され、2019年のラリージャパン開催に向けて誘致活動を積極的に行ってきました。
しかし、2019年のカレンダーに日本はありませんでした。主な理由は「コスト」にあります。年間のレース数の上限はないものの、一戦に参加するだけでもかなりのコストがかかるWRC。追加で一戦増えるのはコストがかかりすぎると参戦チームが難色を示したそうです。
さらに日本への輸送費もあり、コストが膨れ上がるので、主戦場であるヨーロッパ、南米から遠い日本での開催は見送りとなってしまいました。
今シーズンのラリージャパンの開催は、叶いませんでしたが、誘致準備委員会は、2020年の日本開催に向け動いています。WRCのプロモーターも国内ラリーの視察の為に来日しました。
トヨタのお膝元というだけではなく、ラリーも行われており、近隣住民のラリーへの理解もあることから、プロモーターは愛知県での開催について高く評価しました。
今回開催が見送られたように、輸送費や参加費といったコスト面の課題はありますが、2020年に世界最高のモータースポーツイベントが日本で、目の前で見られるかもしれません!
今月末に伝統のモンテカルロで開幕する「WRC2019シーズン」。今年も見逃せないシーズンになること間違いありません。日本のトヨタが参戦していますし、今後日本での開催の可能性もあるWRC、見たことがない方も今年はWRCに注目してはいかがでしょうか?
スポーツ専門テレビ局JSPORTSではWRCを初日から表彰台まで楽しむ事ができます。WRC開幕戦ラリーモンテカルロは1月25日からスタート。25日は録画ではなくライブ中継ですので、リアルアイムでWRCを楽しみましょう!
1月22日に同じくJSPORTSで開幕戦の見どころを紹介するWRCラリーモンテカルロプレビューが放送されますので、こちらもチェックしてみてください。
WRC 2019 開幕戦ラリーモンテカルロ日程
視聴可能チャンネル:JSPORTS
1/22(火):20:00~20:30 | ラリーモンテカルロ プレビュー |
1/25(金):3:20~5:30 | ラリーモンテカルロ ライブステージ(LIVE) |
1/26(土):22:00~22:30 | ラリーモンテカルロ DAY1 |
1/27(日):19:30~20:00 | ラリーモンテカルロ DAY2 |
1/27(日):20:00~22:00 | ラリーモンテカルロ パワーステージ(LIVE) |
尚、WRCを視聴するには、JSPORTSへの加入が必要です。
JSPORTSでの視聴方法はこちらから>> https://www.jsports.co.jp/subscribe/