舞台裏を覗く!レクザムボールパーク丸亀
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舞台裏を覗く!レクザムボールパーク丸亀
多くの感動するプレーを間近で見ることができる野球場。昨今は立派な球場が各地にも整備され、アマチュアの大会だけではなくプロ野球の試合が開催される球場もあります。今回は、そんな感動の舞台となる球場の「裏側」を紹介します。紹介するのは香川県丸亀市にあるレクザムボールパーク丸亀(丸亀市民球場)です。
市民にも親しまれる野球場
香川県の西讃地域に位置し瀬戸内海に面した人口約10万人の町、丸亀市。高松市に次いで県下第二の都市です。かつては城下町として栄え、市街地を中心とした平野部はため池も多く温暖な気候に恵まれています。高松からJR予讃線の快速列車で約30分、岡山から瀬戸大橋線で四国方面行の特急列車に乗れば約40分で丸亀に到着します。
レクザムボールパーク丸亀(丸亀市民球場)が現在の場所に整備されたのは2015年。丸亀市郊外にある丸亀市総合運動公園内です。総合運動公園内には体育館や競技場、多目的グラウンドなどがあり、市民にひろく利用されています。総合運動公園内の施設のうち競技場のみ県の施設になっています。体育館はBリーグの香川ファイブアローズが主催試合を行い、競技場はJリーグのカマタマーレ讃岐がホームグラウンドとして使用しています。
野球場のグラウンドは内野が黒土、外野は天然芝、ファールグラウンドは人工芝となっており、中堅は122メートル、両翼100メートル、収容人員は内外野合わせて1万人です。6基の照明塔とLEDフルカラースコアボードのほかにバーベキュー可能な「ピクニックデッキ」が一塁側スタンド上に設置されています。レクザムボールパーク丸亀は高松市にあるレクザムスタジアム(香川県営球場)にも決して引けを取らない素晴らしい野球場です。
プロ野球ファームの試合は毎年開催され、昨季は阪神タイガース対くふうハヤテベンチャーズとのウエスタンリーグ公式戦のほか、フレッシュオールスターも開催されました。かつては阪神タイガースや北海道日本ハムファイターズなどがオープン戦でも使用しています。オープン当初から四国アイランドリーグの香川オリーブガイナーズが準本拠地的な位置づけで使用し、また高校野球香川県大会や四国地区大学野球連盟の試合、中学生や少年野球の大会など幅広く利用されています。また、2024年1月にはNPB初心者向け審判講習会も開催され、多くの参加者が訪れました。
球場オープン当初は別の企業がネーミングライツを取得していましたが、現在は大阪市に本社を置く株式会社レクザムが同球場のネーミングライツを取得し、親しまれています。筆者が訪れた12月のある日、総合運動公園に隣接するため池で鴨の群れが休んでいました。この鴨が球場の芝生に飛来することもあるそうです。
限られた人員で総合運動公園を維持・管理
今回、レクザムボールパーク丸亀の球場内を案内してくれたのは公益財団法人丸亀市スポーツ協会の中村直人さん。球場も含め総合運動公園内のスポーツ施設は県の施設である競技場を除き、丸亀市スポーツ協会が管理、運営しています。大きな大会開催時を除いて通常は中村さんを含めわずか3人の職員で総合運動公園内の施設を担当するため、日常的に多くの業務をこなしています。今回は野球場についてのお話をお聞きしました。
レクザムボールパーク丸亀のグラウンドは内野が黒土、外野が天然芝となっており、スタンドから眺めても一流の球場であることが分かります。外野の天然芝の管理は外部に委託し、自前での管理は内野の黒土部分になるとのこと。
グラウンド整備についても技術を身につけて行えるようになるまでは経験を要するそうです。表面を平らにし硬さも均一にしなければなりませんし、ライン引き一つとっても難しいのです。さらに中村さんによるとマウンドの整備が最も難しいとのこと。十年余りの経験がある中村さんでもまだまだ分からないことがあるそうです。試合のある日の夜間に雨が降れば、グラウンド状態が気になり朝早くに球場へ出てきたこともあるといいます。
そんなグラウンド管理も限られた人員でこなさなければならないため、非常に大変。NPBが本拠地として使用する球場は専門の熟練した整備スタッフが多数いて一斉に整備できる環境です。甲子園球場の阪神園芸は非常に有名ですが、自治体管理の施設ではNPBと同様の体制を確保するのはなかなか難しいのです。
また、昨年夏も非常に暑い日が続きました。グラウンドを管理する立場の中村さんもこたえるとのこと。高校野球で選手に対する暑さ対策は近年叫ばれるようになり対策も取られるようになりましたし、7イニング制の導入も検討されることになりました。しかし、球場を管理するスタッフも同様、選手がプレーする環境を整えるため連日炎天下でも作業をしているのです。
NPBの地方開催は現在ではかなり減少しました。しかし、レクザムボールパーク丸亀でNPBの試合開催時には1週間~10日程度前から他団体への貸し出しは行わず念入りにグラウンド整備を行ったそうです。NPBの試合はなくても「市民球場」であるため、地域の団体の利用は多いのが特徴。筆者が取材に訪れた日も中学生の団体の利用が予定されているとのことでした。「プロ」が使用する球場である前に「地域」のための球場。地域の人々に使われてこそ価値がある球場なのです。
スタンド内には何がある!?
スタンドから見えないスタンドの内部にも様々な施設があります。
まず、一塁側のスタンド内には広いスペースの屋内練習場、ブルペン、素振りスペースやトレーニングスペースがあります。三塁側のスタンド内には屋内練習場がなく、かわりに屋外の芝生広場があり、一塁側と三塁側のスタンドは非対称になっています。屋内練習場やブルペンなど屋内の施設も試合開催時には選手らが使用します。しかし、試合がない日には屋内練習場などに加え三塁側の芝生広場も貸し出しており、地域の人々に利用されています。このオフシーズンには四国アイランドリーグplusの選手が自主トレで使用することもあるそうです。また、キャンプがはじまる2月には例年、天理大の硬式野球部が同球場を使用しています。
軟式のボールを使用しての練習ができるグラウンドや広場は各地域にあっても硬式のボールを用いた試合や練習ができる場所は非常に限られます。各地でグラウンドの確保の競争が激しいという話を聞くことは多いですが、野球場の屋内練習場などの設備を使った練習ができるのは「市民球場」ならでは、市民のための施設だから可能なのだといえます。
このほかにも選手用の更衣室やシャワールームなども完備。そして審判室や音響・映像機器を備えた放送室に記録室、本部室、さらには筆者がお世話になる記者室も整備されています。会議室もあり、貸し出しもしています。屋内の設備やグラウンドなど、「市民のための施設だから」と可能な範囲で見学ができると中村さん。試合観戦だけではなく実際に見学してみること、練習してみることから野球人気、さらに競技人口の増加につながっていけばと願うばかりです。
※県立競技場は2026年1月から愛称が「四国化成MEGLIOスタジアム」になりました。

