10回10セット合計100回!の筋トレが身体を引き締める
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10回10セット合計100回!の筋トレが身体を引き締める
German Volume Training (GVT)、あるいは「10×10」と呼ばれる筋トレのメソッドを紹介します。その名の通り、10回挙上を10セット行うというものです。
1970年代にドイツの重量挙げ選手たち用に作られたプログラムが起源だとされています。かなり古いものですね。
もともと重量挙げや筋トレは伝統的に東ヨーロッパ諸国が大きな存在感を示す分野です。「ルーマニアン・デッドリフト」、「ブルガリアン・スクワット」のように国名がついた種目があったりしますし、かのアーノルド・シュワルツェネッガー氏もオーストリア出身です。
なかでも10×10は筋力を高めると同時に脂肪燃焼の効果も高いとされています。つまり美しい体作りに向いているのです。
そのせいか、現在では重さを競う選手よりむしろ見た目にこだわるボディビルダーに人気があるようです。むろん、どちらかと言えばというだけの話で、10×10が筋力やパフォーマンスの向上にも効果的であることは変わりません。
5-3-1メソッドとの比較
以前、「5-3-1」と呼ばれるメソッドをこちらで紹介しました。わずか4つの種目(バックスクワット、デッドリフト、ベンチプレス、ショルダープレス)を1日1種目だけ、高重量少回数の3セットのみを行う、というものです。
関連記事:筋トレで伸び悩んでいる人におススメの5-3-1メソッド
10×10は5-3-1とはかなり異なります。対極的と言ってよいかもしれません。まず、10回10セット合計100回という、段違いに多い挙上回数が際立った特徴です。
むろん、回数が多い分だけ扱う重量は軽くなり、最大挙上重量(1RM)の60%以下に抑えます。そしてセット間の休息時間は60~90秒とします。
一般的には、筋トレの重量と回数は目的によって以下のように分類されます。
| 目的 | 重量(1RM比) | 回数(1セット) | セット数 | 休息時間 |
|---|---|---|---|---|
| 1)最大筋力向上 | 85〜100% | 1〜5回 | 3〜6セット | 2〜5分 |
| 2)筋肥大 | 65〜85% | 6〜12回 | 3〜6セット | 60〜120秒 |
| 3)筋持久力向上 | 40〜65% | 12〜20回以上 | 2〜4セット | 30〜60秒 |
5-3-1は明確に1)最大筋力向上タイプに属するわけですが、10×10はどのタイプにも当てはまりません。しいて言えば、2)と3)の中間あたりです。それでも、合計回数が100に届くタイプはどこにもないことから、10×10の特異性が理解できるでしょう。
この圧倒的な総負荷量(volume)によって筋肉は大きな刺激を受けます。とくに後半は疲労が蓄積し、遅筋だけでなく速筋も動員されやすくなります。運動が長時間に渡るため、脂肪燃焼も促されます。
10×10 導入方法
10×10のルールはとてもシンプルです。箇条書きにすると以下の通りです。
- 同じ種目を
- 同じ重量で
- 10回 × 10セット
- セット間の休息は約60〜90秒
たったこれだけです。種目はとくに指定されません。ただし、同じ日に複数の種目を行う場合は同じ筋肉群は避けます。たとえば、スクワット(下半身)の日とベンチプレス(上半身)の日といった具合に分けて行います。
私の場合は1日1種目が精一杯でした。何しろ、このメソッドはやたら疲れますし、時間もかかるのです。分割法で週3,4回以上の筋トレを行う人に向いていると思います。私は基本的に以下のような週間スケジュールを組みました。
- 月:バックスクワット
- 火:ショルダープレス
- 水:休み
- 木:ベンチプレス
- 土、日:休み
バックスクワット。
重量設定は大切なポイントです。教科書的には1RMの60%以下とされています。仮にあなたのベンチプレス1RMが100㎏だとしたら、10×10で設定するのは最大でも60㎏ということになります。1セット目から10セット目まですべて同じ重量で行います。
賭けてもいいですが、上のように書くと、10人中9人は初日から1RMの60%に挑むでしょう。私もそうでした。しかし、それはかなりキツイです。少なくとも私には5セットくらいしかできませんでした。
経験者としてアドバイスさせてもらうとしたら、まずは1RMの40%程度から試してみては、とおススメします。あまりにもカンタンだと感じたのなら、次週からは重量を上げたらよいのです。
重量設定に関してはもうひとつ注意点があります。基準となる1RMは「正確なフォームで挙げることができる最大重量」です。変に反動をつけることも、可動域が狭いレップもカウントしてはいけません。そして、1RMは「現在の」数字であることも重要です。とくに中高年以降のリフターは「昔はこれくらい挙げることができた」数字をつい使いたくなりますが、それは思い出に取っておくべき過去の記録なのです。
セット間休息の長さも厳格に60~90秒ルールを守りましょう。それより短くも長くもならないようにします。私はストップウォッチで正確に計測しました。これをしないと、とくに疲れが溜まる後半は、自分に甘えて休息時間が長くなってしまうからです。
そうすると、動作に30秒くらい、休息に90秒で、1セットにかかる時間は約2分。それを10回繰り返すわけですので、合計で20分くらいになります。これにはウォームアップの時間は含まれません。
他のメソッドと同様、10×10もすぐに効果が現れるというものではありません。ある程度の期間は継続する必要があります。6~8週間程度が推奨されることが多いようです。私は7週間行いましたが、たぶんそれが限界でした。

10×10のもっとも困難な部分は精神にある
あくまで私の場合ですが、10×10を実際に行うと、種目に関係なく、肉体と精神の状態は概ね同じパターンで推移しました。
最初の数セットは楽に感じます。こんなんでいいの?とさえ思います。しかし、5~6セット目あたりからキツクなります。普通のメソッドならこのあたりで終了なのです。まだ半分しか終えていないと思うと、気が遠くなります。8セット目くらいになると、精神的にも筋肉のパンプも限界に近づきます。
終わった後の筋肉痛もひどいものです。とくにバックスクワットのダメージは甚大で、最初の週などは4~5日は脚が重く、階段を登るにも苦労したくらいです。
ただ、肉体は刺激に慣れます。2週目、3週目と続けていくうちに、筋肉痛は軽くなっていきました。重量は少しずつ増やしていったにもかかわらずです。とは言え、最終の7週目になっても、最大値とされる「1RMの60%」にはわずかに届きませんでした。
肉体的な苦しみや痛みより、10×10を続けるための最大障壁はやはりメンタル面にあると思います。
私は自分がとくに根性なしだとは思いませんが、いつも後半セットでは脳が全身に送る「もうヤダ」信号との戦いでした。最後の10セット目、最後の10回目、その日100回目の動作に成功したとき、大きな達成感はあります。それと同時に、「来週もこれをやるのか」と憂鬱な気分も襲ってきます。7週間が限界だったとは、そういう意味です。
そんなわけで、10×10は「無理なくできる」とか「効率よく鍛える」という風におススメできるメソッドではありません。熱意と根性に自信がある方はどうか試してみてください。

