筋トレで伸び悩んでいる人におススメの5-3-1メソッド
DO筋トレで伸び悩んでいる人におススメの5-3-1メソッド
筋トレの原則のひとつは、一定間隔の休息を挟みながらワークアウトの負荷を段階的に増やしていくことです。「過負荷の原理」と呼ばれます。
筋トレにおける負荷とは簡単に言えば重量と回数の組み合わせです。もちろん、セット間の休息や動作のフォームと速度などによって負荷は異なりますし、厳密には気温や湿度などの外部環境も影響因子に含まれます。しかし、それらについて触れ始めると収拾がつかなくなる恐れがありますので、ここでは重量と回数のみに話を絞ります。
仮にあなたが100㎏のベンチプレスを5回挙げることができるとしましょう。それと同じ重量と回数を毎回繰り返していると成長は望めません。過負荷の原理に従い、重量か回数のどちらかを増やすか、あるいはその両方を同時に行うことになります。
しかし、それには限界があります。いつかは数字が頭打ちになります。筋トレとは初心者のうちは右肩上がりで負荷を増やしていくことは難しくありませんが、その成長曲線を永遠に続けることはできないものなのです。
そこで、筋トレ停滞期を打破するための様々な方法論が存在するわけですが、今回紹介する「5-3-1メソッド」はそのひとつです。適切なフォームで挙げることができる最大重量(1-rep max)を基準にして、取り組むべき重量と回数を導く計算式がその理論の根幹にあります。つまり、現在の1-rep max数値が分からないことには話は始まりませんので、ある程度は筋トレを経験している人が対象のメソッドです。
5-3-1メソッドの概略
・種目
上半身2種目(ベンチプレスとショルダープレス)、下半身2種目(バックスクワットとデッドリフト)。行うのはこの4種目だけです。
ベンチプレス
ショルダープレス
バックスクワット
デッドリフト
この4種目に共通しているのは、バーベルを用いた複合関節種目であることです。多くの筋肉を同時に鍛えることができ、さらには重量の調節もしやすく、とても便利な種目です。
使用する器具が最低限で済むこともメリットのひとつです。4種目すべてを行うために必要となるのは、スクワット・ラック、バーベル、重量プレート、そしてベンチだけです。
・期間と頻度
週ごとに異なるプログラムを行い、4週間を1サイクルとします。
1日に行うのは1種目のみです。つまり、週に4日のトレーニング頻度ということになります。また、同じ筋肉群に疲労が溜まることを防ぐため、上半身と下半身の種目をなるべく交互の日に行うことを基本とします。
週間スケジュールの例:
- 月曜:バックスクワット
- 火曜:ショルダープレス
- 水曜:休み
- 木曜:デッドリフト
- 金曜:ベンチプレス
- 土、日:休み
・重量と回数
種目ごとの1-rep max数値の90%を基準とし、そこからさらに下記の要領でセットごとの重量と回数を導きます。
表1:セットごとの設定重量と回数
第1セット | 第2セット | 第3セット | |
---|---|---|---|
第1週 | 基準値の65%、5回 | 基準値の75%、5回 | 基準値の85%、5回 |
第2週 | 基準値の70%、3回 | 基準値の80%、3回 | 基準値の90%、3回 |
第3週 | 基準値の75%、5回 | 基準値の85%、3回 | 基準値の95%、1回 |
第4週(Deload) | 基準値の40%、5回 | 基準値の50%、5回 | 基準値の60%、5回 |
仮に、あなたのバックスクワットの1-rep maxがちょうど100㎏だとします。すると基準値は90㎏です。第1週第1セットの重量は基準値の65%である58.5㎏。これを5回行います。以下、すべてこの方式で計算します。
もちろん、重量プレートの最小単位は2.5㎏か1㎏のことが多いので、ぴったりの数字でなくても構いません。58.5kgにできなければ、57.5㎏か60㎏に重量を設定します。
見ての通り、第1~3週までは段階的に重量が増え、回数は減っていきます。そして第4週は重量が大幅に軽くなります。あえて負荷を減らすことで筋肉の回復を促す「Deload」と呼ばれるテクニックです。
1サイクル、つまり4週間を終えると、次サイクルはやや重量を増やします。上半身種目は2.5㎏、下半身種目は5㎏、それぞれ1-rep maxに足し、同じ方式で再計算します。上の例では、バックスクワットの1-rep maxを105kgと仮定し、基準値は94.5kg、第1週第1セットの重量は61.4㎏となります。
5-3-1メソッドを4サイクル続けてみると
私自身も5-3-1メソッドを実行してみました。より正確に述べるなら、実行中です。この記事を書いている現在、4サイクルを終え、5サイクル目に入ったところだからです。
サイクルごとに少しずつ重量を増やしていった結果、かつての1-rep maxを僅かながらも上回る重量が挙がるようになりました。
最初に抱いた感想は「こんなにラクでいいのか?」でした。重量も回数も、まったく物足りないと感じたのです。実際、筋肉痛になることは皆無でしたし、現在もそうです。
その物足りなさが実はこのメソッドを継続しやすくしている最大の理由ではないかと思います。簡単にこなせるセットだからこそ、正しいフォームを心がけるようになります。疲労が溜まらないので、精神的な負担にもなりません。このメソッドを実行しながら、他のスポーツを行う余裕もできます。
筋トレにハマっている人は「追い込む」のが好きです。筋肉がパンパンに張って、これ以上はもう動けないという状態になればなるほど、ようやく「今日はやり切った」と満足するヘンな人たちです。
しかしながら、毎回のように限界を突破し続けることはできないことは冒頭でも述べた通りです。無理を続けると故障を招く恐れもあります。
5-3-1メソッドは短期間で結果を出すことには向いていません。それよりも、じっくりと腰を据えて、時間はかかっても確実に筋力を向上させていきたいと思う人は、いちど試してみてはいかがでしょうか。