ラグビーはまるでビジネスだ! 3分で分かるラグビーの見方

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ラグビーはまるでビジネスだ! 3分で分かるラグビーの見方

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新国立競技場問題が世間を賑わせている中、この問題をきっかけに、2019年に日本でラグビーワールドカップが開催されることを知った方も多いでしょう。しかし実は、2015年の今年もワールドカップイヤーということを知っている人はどれだけいるでしょうか。

8回目を数える「ラグビーワールドカップ2015」は、2015年9月15日から約1カ月半にわたってラグビーの母国イギリスで開催され、我らが日本代表も8大会連続8度目の出場が決まっています。2019年の日本大会を前に、ぜひ今大会にも注目してほしいところです。というわけで、今回はラグビー観戦初心者のために、ラグビーを中心に取材・執筆を行なうスポーツライターの斉藤健仁氏、ラグビー関連の書籍を発行する東邦出版株式会社の酒井陽氏の協力を得て、初心者でも「すぐに」ラグビー観戦が楽しめるルールや試合の見所を説明したいと思います。

各ポジションが役割を果たし、相手陣内(インゴール)を目指す

ここから実際の試合の流れに沿って、ラグビー観戦の勘所を見ていきましょう。ラグビーの試合は40分ずつの前後半制、1チーム15人ずつで行なわれます。まずチームAがチームBの陣内に向かってボールを蹴る(=キックオフ)ことで、試合がスタート。チームBはボールを持ってチームAの陣内に侵入してきます。 ラグビーではボールを持った選手がパス、キック、ランと何でもできます。またアメフトと違って、このボールを持った相手にしか相手(=ここではチームA)の選手はタックルができません。いずれにせよチームBのチームがボールをつないで、チームAの一番後ろのエリア(インゴール)にボールを置けばトライ(5点)となります。

トライの後は必ず、トライをした場所の延長線上からボールをキックしてH形のポールを狙う、「ゴール」を行うことができます。これはコンバージョンとも呼ばれ、入れば2点となります。 密集戦や、スクラムやラインアウトなどの「セットプレー」でのボール争奪戦でボールをキープしたり、奪ったりするのが主に「フォワード」です。そのボールをハーフバックというポジションの選手が、パスやキックでバックスと呼ばれるポジションの選手に供給します。そして、 バックスがパスなどでボールをつないだり、 サインプレーなどを駆使したりして相手の陣内にボールを運ぶ(トライ)を取るというのが、ラグビーの基本的な流れです。

ラグビーのラインアウト

ラグビーのラインアウト

ここではポジションを大きく3つに分けて説明していますが、実際には15人それぞれに固有のポジション名があり、もっと細かく役割も分かれています。

ラグビーのポジション

ラグビーのポジション

フォワード

背番号では1〜8番。ボールを持った相手をタックルで止めたり、スクラムで相手を押しこんだり、バックスが相手に捕まった際にフォローしたり、時には自身でボールを持って突進することもある。屈強なパワータイプの選手が多く、縁の下の力持ちとしての役割を持つ。

スクラムを組むフォワード

スクラムを組むフォワード

ハーフバック

背番号では9、10番。キックやパスでゲームをコントロールする。9番は主に密集からボールを出す役目、10番は9番から出たボールをパスやキックでバックスに展開する。冷静かつ的確な判断力が求められる、司令塔的なポジション。

スクラムからボールを出すハーフバック

ボールを出すハーフバック

バックス

背番号では11〜15番。フォワードが奪取し、ハーフバックが展開したボールを持ってグラウンドを駆け上がったり、パスを回したりして、ボールを前に進める役割を担う。相手を翻弄するための賢さとスピードが求められる。

ボールを持って突進するバックス

ボールを持って突進するバックス

言うなれば、ラグビーは相手の陣内にボールを運ぶ「陣取り合戦」なわけですが、各ポジションの選手が、それぞれの役割を果たしながらチーム一丸となって1つの目的に突き進むわけです。「One for All, All for One(一人は皆のために、皆は一人のために)」というのはよく聞く言葉ですね。

複雑なラグビーのルールは1つの「大前提」を理解すれば分かりやすい

さて、フォワードがボールを奪ってバックスにつなげて攻撃に転じるわけですが、ボールを前に運ぶ方法は「持って走る」「横・後ろへのパス」「キック」しかありません。前に向かって投げてはいけないのは知っている人も多いことでしょう。こうした独特のルールをはじめ、ラグビーにはほかのスポーツでは見られないタイプの反則が多々あり、さらに何の反則なのか一見して分からないことが初心者を悩ませます。しかし、ある「1つの大前提」を理解すれば、ラグビーの見方はガラッと変わります。

その大前提とは、ラグビーが「紳士のスポーツ」であることです。ラグビーは防具をつけずに激しいコンタクトプレーが伴うスポーツのため、「常に紳士たれ」「卑怯なことはしてはいけない」という精神が根底にあります。そのため、常にボールがいちばん先頭になくてはならず、待ち伏せして攻めることはできません。ボールより前にいる選手がプレーに関与すると反則(オフサイド)、 同じくボールより前にいる選手が相手を妨害しても反則(オブストラクション)となります。

また正々堂々と立ってプレーしなくてはいけないため、倒れたままプレーに関与してしまうことも反則になります。 さらに反則と定められているルール以外に、危険なタックルをしたり、空中でコンタクトしたり、相手を殴ったりとスポーツマンシップに背くような行為に関しても「不正なプレー」として「シンビン」という警告対象になり、10分間の一時的退場となります。

ラグビーにおける代表的な「反則」

軽め(スクラムで再開)

  • スローフォワード(ボールを前に投げてしまう)
  • ノックオン(ボールを前に落としてしまう)

重め(相手にペナルティキックを与えてしまう)

  • オフサイド(オフサイドラインより前でプレーに関与してしまう)
  • ノットリリースザボール(倒れている状態で、ボールを離さない)
  • オーバーザトップ(倒れている状態で相手のプレーを妨害してしまう)
  • ホールディング(タックル後、倒れているのに相手を離さない)

得点の華形「トライ」と息を呑む「キック」での得点

相手の妨害や反則を乗り越え、フォワードとハーフバック、バックスが連携し合ってボールを前に進め、第一に目指すのはラグビーにおける得点の華形である「トライ(5点)」です。バックスが快速を飛ばして、あるいは牛若丸のごとく相手をかわして奪うトライ、または屈強なフォワードが相手をなぎ倒して奪うトライ。いずれもラグビー最大の見所と言えます。

ラグビーの華形「トライ」

ラグビーの華形「トライ」

そして前述のようにトライが成功したら必ず「ゴール(2点)」のチャンスが与えられます。また試合の流れの中でのキック「ドロップゴール(3点)」や、ペナルティ時に与えられる「ペナルティゴール(3点)」によっても得点できます。 キックでのゴールもまた見どころのひとつで、時には50メートルを超える位置から勝負がかかったキックを蹴る場合もあります。楕円が弧を描き、静寂を切り裂いた後の会場の盛り上がりはぜひ一度体験してほしいですね。

もう一つの見どころ「キック」によるゴール

もう一つの見どころ「キック」によるゴール

そして前後半の80分が経過した後、1点でも多く得点したチームが勝利します。ただ、これまで激しいぶつかり合いをしていたチーム同士も、試合が終われば敵味方を区別せず検討をたたえ合う「ノーサイドの精神」もラグビーを語るうえで欠かせない要素の1つでしょう。ラグビーとはなんて素晴らしいスポーツかと、見ているこちらも清々しい気持ちになります。

ラグビーがビジネスに似ている多くの理由

こうしてラグビーのルールを見返してみると、「ラグビーはビジネスに似ている」と言えます。日々戦う企業戦士の皆さんにとっても、共感できるポイントが多々あったのではないでしょうか? さながら新しい市場を、ライバル社と奪い合っているようなイメージ。プロジェクトチームには、まるでハーフバックのような指揮官のプロジェクトマネージャーがいて、フロントエンドにはバックスのように勇猛果敢に飛び込む営業部隊、バックエンドにはフォワードのようにチームを支えるマーケティングや経理・事務部隊がおり、チーム一丸となって市場のシェアを取りに行く。

相手チームのタックルは、ライバル企業の新商品・新サービスというだけでなく、実は社内調整の壁でもあったりします。横に後ろにパスを回して稟議を通すみたいな(笑)。また、もちろん違法なことはできません。法律やコンプライアンスに反することは厳しく罰せられます。 幾多の困難を乗り越えて成果を出したときには(トライ)、思わぬボーナスが舞い込む可能性もあります。そして競い合っているライバル企業も、実は同じ市場を活性化させるよき友人であることもあります。 なんだか急にラグビーに親近感が湧いてきませんか?

ラグビー観戦を楽しむ入り口として、同じポジション(職種・部署)の選手に自分を置き換えてみても楽しいかもしれません。ラグビーワールドカップは間もなく開催。この記事を参考にして、ぜひラグビー観戦を楽しんでみてください。

監修:斉藤健仁(スポーツライター) 1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビー部だった高校時代はタックル好きのFB。大学では西洋史を専攻。印刷会社の営業を経て、スポーツライターの道へ。新聞や雑誌、Web でラグビーやサッカーといったフットボールを中心に執筆する。 Twitter アカウント:@saitoh_k

取材協力:東邦出版株式会社


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