3年で1兆円超!プレミアリーグのテレビ放映権料の仕組み

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3年で1兆円超!プレミアリーグのテレビ放映権料の仕組み

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プレミアリーグのテレビ放映権料は、ドイツの2倍!

2016-17シーズンからの3年で、国内約69億ユーロ(約8200億円)、総額約95億ユーロ(約1兆1300億円)!
来季からプレミアリーグのテレビ放映権料が、とてつもない額に膨れ上がります。これだけ大きい数字になると、高いのか安いのかピンとこない方もいるでしょう。

そこで、同時期の他国リーグの契約料を併せて紹介すれば、いかにプレミアリーグが巨額かがわかるでしょう。リーガ・エスパニョーラが「モビスター」「メディアプロ」と結んだ2016年からの3シーズンの放映権料は、約26億5000万ユーロ(約3550億円/未定分あり)。ドイツのブンデスリーガと「スカイ」「ユーロスポーツ」「ZDF」の契約は、2017-18シーズンからの4シーズンで、約46億4000万ユーロ(約5620億円)となっています。

国内の放映権料に絞って年間額をユーロで比較すると、プレミアリーグは23億ユーロ、ブンデスリーガが11億6000万ユーロ、リーガ・エスパニョーラは8億8000万ユーロ。こうしてみると、プレミアリーグの放映権料がいかに突出しているかがよくわかります。

さて、この巨額の放映権料が各クラブに分配されるわけですが、そのルールはどうなっているのでしょうか。プレミアリーグでは、全体の50%が均等配分、残りの50%のうち25%が最終順位による傾斜配分、25%が放映試合数に応じた配分となっています。212の国・地域で放送され、47億人が観戦を楽しんだ2015-16シーズンの総額は17億3000ポンド(約2700億円)でしたが、昨季の分配金を例にとって、具体的に解説していきましょう。

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人気、実力ともトップクラスだったアーセナルが放映権料収入は1位

放映権料の分配金は、均等配分+順位や放映回数の傾斜配分

全体の50%を占める均等配分は、2015-16シーズンでは1クラブあたり5550万ポンド(約83億3000万円)。25%にあたる最終順位配分は、優勝したレスターに2500万ポンド(約37億5000万円)が入り、2位アーセナルは2370万ポンド、3位トッテナムが2250万ポンド、以下マンチェスター・シティが2120万ポンド、マンチェスター・ユナイテッドは2000万ポンド。19位に終わったノリッジは250万ポンド、20位アストン・ヴィラは120万ポンド(約1億8000万円)となり、トップと最下位で35億円の開きがある急角度の傾斜となっています。

残りの25%となる放映回数配分は、27回でいちばん多かったアーセナルが2180万ポンド(約32億7000万円)。以下、26回で2位のマンチェスター・ユナイテッドが2100万ポンド、25回のマンチェスター・シティ、23回のリヴァプール、22回のチェルシーと続き、8回しか放映がなかったワトフォードとボーンマスは、750万ポンド(約11億2500万円)に留まります。

順位ほどの傾斜はないものの、テレビでの露出が多い人気クラブとチャンピオンシップ(2部相当)から昇格したばかりのクラブでは20億円強の開きがあり、ファンが多いクラブや話題性が高いクラブにお金が集まる仕組みです。

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最も分配金が少なかったノリッジでも100億円弱が転がり込む

さあ、これらすべてを足して20クラブを上から並べてみましょう。

2015-16シーズンにおけるテレビ放映権料の分配金1位は、アーセナルで1億100万ポンド(約151億円)。ヴェンゲル監督のチームは、史上初めて1億ポンドの壁を突破したクラブとなりました。2位はマンチェスター・シティで約9700万ポンド(約146億円)、3位は約9600万ポンドでマンチェスター・ユナイテッド。

優勝したレスターは、約9300万ポンド(約140億円)でトッテナムの次となる5位。アーセナルを順位配分で上回りながらも、テレビ放映回数が15回とアーセナルより12も少なく、10億円の差をつけられることとなりました。とはいえ、昨季は14位だったレスターは、大幅なジャンプアップで2160万ポンド(約32億4000万円)も増収しており、来季はチャンピオンズリーグ出場という話題性も手伝って、国内の放映回数も増える見通し。2シーズン連続でクラブの金庫に巨額の資金が貯まることが確実視されているため、この夏はインターナシュナルクラスの新戦力を獲得し、選手層を厚くするはずです。

分配金額が最少となるノリッジでも約6600万ポンド(約99億円)が入ってくるプレミアリーグ。1年前、ブンデスリーガで優勝したバイエルン・ミュンヘンは4000万ユーロ(現在のレートで約48億円)しか受け取っていません。最下位がドイツの王者を凌ぐ「テレビ放映権バブル」が、世界各国の代表選手がプレミアリーグの中堅・下位クラブに買われていく下地となっているのです。

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2009年にマンチェスター・ユナイテッドからレアル・マドリードに移籍したクリスティアーノ・ロナウドの移籍金は、当時史上最高といわれた8000万ポンド。テレビ放映権料の高騰で、選手の値段はどうなる!?

最下位クラブでもクリスティアーノ・ロナウドを買える!?

さらに!冒頭でお伝えした通り、2016-17シーズンよりプレミアリーグの放映権料は新契約になることが決まっており、各クラブへの分配金額は1.5倍になると想定されています。

この数字をあてはめてみると、昨季最も収入が多かったアーセナルは約1億5300万ポンド(約229億円)、最下位のノリッジでも約1億ポンド(約150億円)。2009年にマンチェスター・ユナイテッドからレアル・マドリードに移籍したクリスティアーノ・ロナウドや、2013年に同じくマドリードに渡ったガレス・ベイルの移籍金は8000万ポンド相当といわれているので、来季のプレミアリーグは、最少分配金クラブでもテレビ放映権料だけで世界最高クラスの選手が買える計算になります。

グアルディオラ、モウリーニョ、クロップ、ヴェンゲル、コンテ、ポチェッティーノ、マッツァーリ、ラニエリ、クーマン…。既に世界屈指の監督が集まってきているプレミアリーグは、補強によって全体のレベルが上がり、優勝候補が最下位のクラブにも楽に勝たせてもらえないとんでもないリーグになりそうです。

ユーロが終わり次第、本格始動する移籍市場で、中堅や下位のクラブが獲得する選手の顔ぶれにもぜひ注目してください。昨季のパイェ、カンテのような凄い選手が、ワトフォードやストークにさりげなく加わっている可能性大です。

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