フォーティーナイナーにナナヨンマル?セーリング競技の種目紹介!

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フォーティーナイナーにナナヨンマル?セーリング競技の種目紹介!

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オリンピック競技の中では、どちらかというとマイナー競技であるセーリング。その名の通り、セール(帆)のついた船艇を使い、順位を競うスポーツです。種目を見てみるとRS:X級や49er級など見慣れない英数字が並んでいます。今回はそんなセーリング競技について、ルールや各種目の読み方などを紹介していきます!

これがわかればセーリング通!ルールと勝敗を決するポイントをおさえよう


セーリングは、海面に設置されたブイを、種目によって決められた船艇で規定数周回するまでの順位で決まります。

リオ五輪ではまず10回のレース※を行い、それぞれのレースの順位をポイント化。この時、順位が高い人ほど低いポイントがもらえる方式で、合計ポイントが低い人が総合での順位が高くなります。フライング時や失格時のペナルティは、高いポイントを与えられてしまうため、全レースが真剣勝負。その後、10レース合計で上位の選手がメダルを懸けた最終レースを行います。
※後述する49er級のみ14回レースを行い、その後最終レースを行います。

セーリングにおいて、最も勝敗を左右するポイントが、風や波、潮流といった自然条件。当日の天候を見ながら最大限のスピードを引き出すセッティング技術が求められます。またセーリングで使用する艇体はいわゆる帆船ですから、風向きも勝負の行方に大きく関係してきます。追い風なら問題ないのですが、向かい風を受けると斜め45度までしか進むことができません。単純にコースの最短ルートを進めないので、瞬時に風向きとコース取りを考え、いかにして向かい風で速く進むか、その決断力と技術が勝負のポイントになります。

種目名が複雑すぎてわからない?種目名とその特徴をご紹介!

これまでオリンピックにおけるセーリング競技の種目は、大会ごとに変更されています。リオ五輪で行われるセーリング競技は全10種目。分かりにくいと言われる種目名は、船艇(ボード)の大きさにより分類されています。

男女ボードRS:X(アール・エス・エックス)級は、いわゆるウィンドサーフィンのこと。セーリング競技の中ではボードが軽量なので、微風でもスピードが出ることが特徴です。微風の時にはセール(帆)を腕力で前後方向に漕ぐように進ませるため、体力と持久力が必要な種目です。一方、強風時には最高時速が50kmにもなるスピードをコントロールするテクニックも求められます。

RS:X級の船艇

男子1人乗りのレーザー級(一人乗り)と、レーザー級をひと回り小さくした女子1人乗りのレーザーラジアル級の船艇は、重い割にセールが小さいのが特徴です。風にあたる面が少ないので失速しやすく、繊細なハンドリングとバランスが肝心。その一方で、強風の時にはレーザー級同様に体力と気力の勝負になります。

2人乗りの470級と49er級とは?読み方や特徴をご紹介

ボードの全長が4.7mであることから名付けられた470(ヨンナナマル)級。舵とメインの帆(セール)を操るスキッパー、前帆(ジブセール)を操るクルーの2人乗り競技ヨットです。乗員の適正体重は2人の合計で130kg前後と、比較的小柄な日本人に適している470級。そのため、国内では強化種目として最も盛んに行なわれている種目です。


470級の練習風景。クルーは船艇から大きく体を乗り出すことでバランスをとります。

続いてボードの全長が4.90mであることから、呼称される49er(フォーティーナイナー)級。スキッパー、クルーの2人ともにワイヤーで体を支え、ボードの外に体を乗り出してバランスを取りながら操船する、五輪種目の中で最も操船が難しいボートです。大きな帆と独特な船型が特徴で、スピードは平均で時速20km超と、五輪種目では最速のスピード。その驚異的なスピードと操船のアクションは見ごたえ十分です!

そのほかに日本選手の出場はないものの、リオ五輪では、男子1人乗りフィン級と男女混合2人乗りマルチハル・ナクラ17があります。


49er級の練習風景。クルーが2人でバランスをとるハードな競技。

男子1人乗りフィン級

マルチハル・ナクラ17級では男女ペアで船艇を操ります。

リオで活躍する日本選手を応援しよう!

最後にリオ五輪に出場するセーリングの日本代表選手を紹介していきます。

男子RS:X級の代表は3大会連続の五輪出場の富沢慎。2人乗り男子470級は、初出場の土居一斗と今村公彦ペア。スキッパーの土居は高校大学とタイトルを獲得した若手の実力派です。

男子49er級はアジア選手権優勝の牧野幸雄と高橋賢次ペア。五輪3度目の牧野と2度目の高橋との実力派ペアです。女子RS:X級はTOP10を目指す伊勢田愛。女子レーザーラジアル級の土居愛実は、男子470級土居一斗の妹で慶應義塾大学に在学中。2012年に18歳でナショナルチーム入りを果たし、ロンドンオリンピックでは日本人として初めてレーザーラジアル級に出場しました。

2人乗り女子470級は、吉田愛と吉岡美帆の身長差17cmペア。3度目の出場となるスキッパーの吉田が、初出場で身長177cmもある吉岡をリードします。

女子49erFX級は今回リオ五輪から追加された新種目。49er級の船艇を女子用に改良したものを使用します。そんな女子49erFX級はアジア選手権で優勝した宮川惠子と高野芹奈ペア。高野はセーリング史上最年少、競技歴わずか3年4カ月で五輪切符をつかんだ才能の持ち主です。

なおリオ五輪セーリング競技は、8月5日と8月21日に実施されます。

男子49er級に出場予定の牧野・高橋ペア

過去に銀メダル1個、銅メダル1個を獲得したセーリング。メダルを期待されるだけに、競技日程は要チェックです。競技は現地時間で8月8日~18日、連日13時より行われます(日本との時差はリオ+12時間)。海上での天候に柔軟に対応した緻密な作戦と、大迫力の争いに目が釘付けになるでしょう!

(Photo by Ministry of Foreign Affairs of the Republic of Poland and Singapore 2010 Youth Olympic Games

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