桑田が投げて、清宮が打つ!? “そっくりさん”が集う野球チーム

桑田が投げて、清宮が打つ!? “そっくりさん”が集う野球チーム WATCH

桑田が投げて、清宮が打つ!? “そっくりさん”が集う野球チーム

スポーティ

グラウンドで野球をしているのは、桑田真澄? 原辰徳? 清宮幸太郎?……ではありません。思わず笑ってしまうほど似ている“そっくりさん”です。

彼らが所属しているのは、草野球チーム『錦糸公園ものまねプロ野球』。週末を中心に錦糸公園野球場(東京都墨田区)で試合や練習を行っています。

『錦糸公園ものまねプロ野球』は、桑田真澄さん(元巨人)をまねる『桑田ます似』さんが、2014年に結成しました。

顔が似ていることから桑田真澄さんのものまねを始めたものの、野球経験のない自分に納得がいかなかったという、ます似さん。「野球をやらなければ!」と思い立ち、仲間4人でキャッチボールを始めたのが最初の一歩でした。

その後、交友関係やインターネットを通じて“野球選手そっくりさん”が続々と集まり、今『錦糸公園ものまねプロ野球』は、町の名物になりつつあります。


トミージョン手術後、2年振りの登板前。ひざまずき、右ひじをプレートに当てる感動的なシーンを再現

個性豊かな“そっくりさん”を紹介!

6月のとある土曜日。“そっくりさん”たちに話を聞こうと錦糸公園へ行ってきました。

お馴染みの“グータッチ”で迎えてくれたのは『原寅徳』さん。ます似さんと共に結成当時からチームを支えてきたメンバーです。


子供から大人まで、一度はやってみたい原監督との“グータッチ”

野球観戦に行った時、車いすに乗った少年が僕にグータッチを求めてきたんです。僕が応えてあげるとすごく喜んでくれました。偽物でも人を勇気づけることができるんだなと思って、その日からものまねを継続しようと決めました。

東北の被災地へ足を運び、野球少年と触れ合った時には、「涙が出そうになった」と話す原寅徳さん。最近では心臓移植を必要とする埼玉県のサッカー少年・秋也(しゅうや)君のために募金活動をしています。この日もチームを応援している方からの募金が集まりました。
※「秋也くんを救う会」 http://saveshuyakun.com/

原寅徳さんの隣にいたのは、巨人の高橋由伸監督……ではなく『高橋よしのB』さん。巨人が球団ワースト記録の13連敗から脱出した直後の気持ちを聞いてみました。

Facebookに『勝たせてくれ』っていうメッセージがたくさん来ました。もう、大変でしたよ。でも連敗脱出できてよかった(笑)。あと、去年の3月に(高橋よしのBとして)テレビに出たら、『似てないからやめろ』とか、『マジむかつく』ってネットで炎上したんです。おかげで心が強くなりました!


巨人の新旧監督がガッチリと握手。「頑張れ、由伸」と聞こえてきそう

チームメイトから「よしのBに野球のことは聞かなくていいですよ」という声が上がったところで、「あ、行かなきゃ」とよしのBさんが向かったのは右打席(由伸監督は左打ち)。“そっくりさん”と言っても形は様々で、顔が似ていても、みんながプレーをまねるわけではないのです。

そんな中、顔も打撃フォームも本物にそっくりな選手を見つけました。南海時代からのホークスを知り巨人でも活躍した大道典良(現ソフトバンクコーチ)に似ている『大道ノリ良し』さんです。

もともとバットは長く持つタイプだったんですが、大道選手に似せようと、短く持って、前かがみになって打つようになりました。

『ノリ良し』さんは、試合で必ずやることがあります。それはユニフォームの早着替え。試合中盤までは巨人のユニフォームでプレーしていたのに、気づけばソフトバンクのものに替わっています。『錦糸公園ものまねプロ野球』は、プレーだけではなく、エンターテインメント性も大切なのです。


普段は歯科技工士として働くノリ良しさん。この後ソフトバンクのユニフォームへ早着替え

エンターテイナーと言えば、『新丼貴浩』さんを忘れてはいけません。字面から分かるように新井貴浩選手(広島)に似ていると人気上昇中で、球場へ観戦に行けば、周りには人だかりができるほど。売りは身長・体重が新井選手と全く同じ(189cm・96kg)の“等身大そっくりさん”であることです。それに加え動きも似せて、きっちりと笑いを持っていきます。


内角を攻められ大げさによける新井さんをまねる新丼さん。本当は(?)実力派

野球は小学生の時からやっていました。でも高校2年の時に野球部の人数が足りなくなって廃部になってしまったんです。その後は、草野球が“しっかりと野球をやれている場”ですね。

ものまねを始めたのは、去年の4月、このチームにヘルプで入った時に、『新井さんに似ている』と言われたのがきっかけです。でも、すぐに加入したわけではありません。まず、ユニフォームを着て、そして、動画を見ながら家で研究をして、できるかなと思ってきた10月に、ます似さんに『準備ができました』と連絡をしました。

今は、『新丼』になった自分に追いつけない部分もありますけど、野球好きの友達が増えたり、球場で『また会えるのを楽しみにしています』って言ってくれる人がいたりするのは、ありがたいことです。


足のケガを押して出場したリトル清宮さん

清宮幸太郎選手(早稲田実業)のそっくりさん『リトル清宮』さんも、野球経験豊富なメンバーのひとり。幼い頃から大学の途中まで続けていたそうです。また、高校野球が大好きで、甲子園はもちろん、清宮選手が出場する公式戦は何度も見に行っているのだとか。

高校卒業というのは、ひとつの区切りではありますけど、これからも応援します。ものまねは、清宮君がメジャーリーグに行くのを見届けるまで続けようかな。


リトル清宮さんは広島出身。試合中なのに気を抜いているかのように見える広島つながりの2人


デッドボールを受けた鈴木第一さん。しつこく(?)、“当たったアピール”を続けます

野球には、人と人をつなぐ力がある

この日の先発投手で、途中からキャッチャーも務めた鈴木大地選手(ロッテ)ならぬ『鈴木第一』さんは、就職活動中の大学生。

「どうやって今の仕事(ライター)に就いたんですか?」
「記事を配信するのはどんな会社ですか?」
と、逆に質問をされました。ます似さんの言葉を借りるならば『錦糸公園ものまねプロ野球』は、人と人をつなぐ場所。第一さんのように、将来を模索中の人にとっても得られるものがある場所なのかもしれません。

そんな“野球の力”を実感しているのが、ます似さんです。

試合後に時間をもらってじっくりと話を伺うことができました。


カーブで空振り三振を奪った桑田ます似投手。手術跡(手描き)が痛々しい

夢は『錦糸公園ものまねプロ野球』を墨田区の観光名所にすること

僕が野球経験を積みたくて始めたことなのに、今では三重県から『いっしょに野球をやりたい』と週1回の休みを使って来てくれる人もいるんです。僕はこんな格好をして野球をやっているだけなのに、人が集まってくれる。人が集まるということには、何かしらの意味があると思っています。

今日も原さんが打席に立っているのを大勢の子供たちが見て喜んでくれていたし、僕らの前にグラウンドを使っていたチームも残って試合を見てくれていました。人が集まったおかげで募金も集まりました。こういうことがあると、自分たちの存在意義を感じることができるんです。まだまだ探している最中ではありますけど…。

今の夢は『錦糸公園ものまねプロ野球』を墨田区の観光名所にすることです。秋葉原に行けばアイドルに会えると言われているみたいに、錦糸公園に行けば“そっくりさん”に会えることを多くの人に知ってほしいですね。


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