ルールが分かれば野球が更に面白くなる【記録編】

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ルールが分かれば野球が更に面白くなる【記録編】

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野球の試合には「公式記録員」という存在が欠かせません。試合を進行していく上で審判員が必要なのと同様、プレーによって起こる記録の判断(ジャッジ)が必要だからなのです。

今回は、公式記録員と記録にまつわる話題を紹介します。

公式記録員という存在

メジャーリーグでは、コミッショナー事務局、マイナーリーグでは各リーグ会長が、各リーグの選手権試合、ポストシーズンあるいはオールスターゲームのために公式記録員を任命する。

これは『公認野球規則』の「9.00 記録に関する規則」の冒頭部分です。出だし部分が「メジャーリーグ…」とありますが、日本のNPBはじめアマチュア球界でも同様と考えて差し支えありません。

球場で試合を見ていると、スコアボードに「H」「E」「Fc」などのランプが点灯するのを知っているという方も多いでしょう。これは、公式記録員がヒットかエラーか、それとも野手選択かをジャッジし知らせるために点灯させるのです。ちなみに、NPBには現在22人の公式記録員が在籍しています。

投手が投げたボールが逸れ走者が進塁した場合、それが暴投か捕逸かをジャッジするのも公式記録員ですし、勝利投手が先発投手ではなく後続の投手になる場合、それは誰が該当するか判断するのも公式記録員です。

失点が投手の自責点になるのか否かも難しい解釈が必要となり、かなり悩まされます。

地方球場は記録員泣かせ

筆者はルートインBCリーグで公式記録員を務めています。もちろん、使用される球場は地方球場ばかりです(NPBの地方開催で使用される球場はあります)。NPBの球場では公式記録員はスタンド内の記者席に記録員席があり、そこで記録のジャッジをします。

しかし、ルートインBCリーグで使用される球場は、ネット裏のスタンド内にある放送室内もしくは放送室に隣接して記録員席があるのが一般的です(長野県のオリンピックスタジアムのみNPBと同様、スタンド上方に記録員席があります)。

ルートインBCリーグには現在60人近い公式記録員が在籍しています。公式記録員は、通常2人1組で試合を担当(例外的に1人で試合を担当の場合もあります)し、これとは別にルートインBCリーグでは試合をリアルタイムで配信しており、そのための配信員が1人います。

試合を担当する日は、筆者は遅くても試合開始の1時間前には球場入りします。そして、通算成績や各チームの勝敗、順位に登録選手などを確認していると、その日の試合のメンバー表が公式記録員の手元にも届きますので、記録用紙に選手名を記入していきます。

その後、試合が始まるまでに腹ごしらえなどをし、プレイボールを待ちます。その間に場内放送で選手名がコールされていきますが、審判員とともに公式記録員も名前をコールしてもらえます。試合に私情は入りませんが、少しうれしい瞬間です。

試合終了後、ヒーローインタビューを見るのも楽しいものですが、公式記録員はその試合の記録を全て集計し、リーグへ報告しなければなりませんので、残念ながらヒーローインタビューを見ることができません。しかも、意外とこの作業に時間がかかることもあります。

リーグに報告し、公式記録員は「解放」されますが、早くても試合終了後20分くらい、乱打戦だと40分くらいかかることもあります。

ところで、地方球場は公式記録員泣かせです。それはなぜでしょうか。ネット裏の公式記録員から見るグランドは、選手とほぼ同じ高さの目線でプレーを見ることになるのです。ということは、野手や走者、審判員の動き、ボールの行方が被ってしまい、一瞬、ボールを見失いそうになることがあるのです。

ボールが抜けたのか、それとも野手のグラブに当たって撥ねたのか見づらかったり、更にはイレギュラー気味の微妙なバウンドで野手が捕球し損ねたなんてことはよくあります。

筆者も担当試合の際は、立ち上がったりしてボールを追い、ヒットかエラーかなどジャッジしていきます。球場によっては、ホームプレートの真後ろ付近に席があり、球審と捕手、投手が重なってしまい、グランドが非常に見づらい球場もあります。

記録のあれこれ

公式記録員がヒットやエラーなどのジャッジをしますが、具体的にどのようなプレーならエラーになるのか、それともヒットかの判断はやはり難しいものです。

内野ゴロをはじいた場合、通常の守備範囲なら捕球できたか、一塁へ送球して打者走者をアウトにできたか否かということも含めて判断します。トンネルした場合のように野手がボールに触れていなくてもエラーになるケースもあります。

できる限り客観的に判断するように心がけますが、「あれはヒットじゃないか」「今のプレーはエラーだったんじゃないか」といったクレームがどちらかのベンチから来ることもあります。その場合は、公式記録員としてどういう判断を下したのかをきちんと説明しなければなりませんので、気が休まることがありません。

選手の給料はこれらのプレーの積み重ねや成績で決りますので、公式記録員は客観的でなければならないのです。

試合を担当していて、「なかなかお目にかかれないような貴重なプレーや記録がない方がやりやすい」と感じてしまうのは一種の職業病なのかもしれません。


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