フットボールを始めるために知っておきたいチームやスクールの選び方

フットボールを始めるために知っておきたいチームやスクールの選び方 DO

フットボールを始めるために知っておきたいチームやスクールの選び方

スポーティ

4月。新年度を迎えたこのタイミングでお子さんにサッカーやフットサル(以下2つを併せてフットボールと呼びます)を始めさせようと考えている方が多いと思います。

とはいえ、一昔前だったら「学校のクラブ(少年団)か地域のクラブチームか」程度の選択肢しかありませんでしたが、現在はプロクラブのジュニアチームやスクール、海外の有名クラブのスクールなど、小学生年代向けのチームやスクールは無数に存在します。また近年では、フットサルのクラブやスクールも数を増やしています。

これだけ多くの選択肢の中から、一体どこを選べば良いのか?どこなら子供が楽しくプレーできるのか?

そんな世のお父さんお母さんたちの疑問を少しでも解消できるよう、お子さんの初めてのフットボール環境を選ぶ上でのポイントを紹介します。

IMG_4486

少年団?クラブ?スクール?その違いとは

フットボールを習う、と言ってもそれができる場所には様々な形態のものがあります。なので、まずはその違いを整理して比べてみましょう。以下にお子さんがフットボールを習える場所は大きく3つに分類しました。入団テストやスカウトを経なければ入れないプロクラブのジュニアチームは、非常に狭き門なので、ここでは除外しました。

①少年団
小学校の校庭や市営のグラウンドを拠点に活動する地域に根差したクラブチームです。コーチやクラブの運営はボランティアで、選手やOBの親御さんが務めていることが多いです。最近ではサッカーだけでなく、学校の体育館を使ってフットサルの練習を行うクラブも増えています。

月謝が安い(2,000円前後)、近隣の小学校やグラウンドで活動しているので同じ学校や幼稚園の友達が多く集まる、などが少年団のメリットとして挙げられます。しかし、運営がボランティアなので保護者の手伝い(試合時の会場設営や審判、経理など)が必須な場合がほとんどのようです。

②町のクラブチーム
少年団と同じく、地域の小学校やグラウンドで活動していますが、運営会社があり、チームには複数の専任コーチがいるので保護者の手伝いは必要ありません。チームによってはバスを出して、お子さんの送り迎えもしてくれます。

ただ、その分会費は割高。少年団の倍近くは掛かります。また、専任コーチがいるといっても、ヘッドコーチ以外は学生のアルバイトであることが多く、チームに帯同するコーチによって指導の質が全く違うということがよくあります。

③スクール
「サッカー塾」のようなものです。協会登録を行っていないので、チームに所属しながら通うことができます。近年、急激に増加しており、プロクラブ系列ものもあれば、FCバルセロナなどの海外クラブのスクール、日本全国で展開している大きなスクールもあります。スクールはどこも技術や判断力の向上を謳い文句にしているので、細かい指導をしてくれます。なので、平日はスクールで技術を磨き、週末はチームで試合、というパターンの子が最近は多いです。

協会登録をしていないので、対外試合はほとんどありません。料金はピン切りで、海外クラブのスクールの場合は入会費用だけで数万円を覚語しなければなりませんが、フットサルコート主催のフットサルスクールなど少年団並の会費で通えるところもあります。

これらがフットボールを習える場所の分類とその特徴です。それぞれの特徴とご家庭の事情やお子さんの性格、フットボールをやる目的(プロになりたい、友達と一緒に試合に出たい等)を照らし合わせてみれば、どういった場所にお子さんを通わせるべきかがある程度はっきりしてくるのではないでしょうか。

IMG_4789

みんな家の近くで探している?

それでは、ここからチームやスクールを選ぶ上でのポイントを紹介していきます。「自宅から近い」「友達がいる」などはどなたでも考慮すると思うので、ここでは深く言及しません。とはいえ、筆者が以前勤めていたスクールで保護者全員にアンケートを取ったところ、そこは元代表選手がコーチをしているスクールであったにも関わらず入会理由の大半が「家から近いから」であったということはご参考までに書き記しておきます。

IMG_4479

試合に出られるかをまず確認

少年団、クラブチーム、スクール、それぞれの特徴を説明しましたが、この3つの中でどれが良いかということはありません。ご両親の都合やお子さんの気持ちを考慮して、通いやすい、通わせやすい場所をリストアップして下さい。

通えそうな場所の目星がついたら、体験練習に行きましょう。どんなクラブでもスクールでも1~2回は無料で練習に参加できます。体験練習に行ったら、まず確認してほしいこと。それは「試合に出られるかどうか」ということです。スクールの場合は、練習に試合形式のメニューはあるのかを確認しましょう。

サッカーもフットサルもプレーすることでしか上手くなりません。どれだけ練習を一生懸命やっても、試合に出られなければ成長の幅は限られてしまいます。それに、お子さん本人もご両親もリフティングやドリブルの練習をするためだけにチームを探しているわけではないですよね。

最近は減ってきていますが、小学生カテゴリーでもレギュラー組と控え組をはっきりと分けて、上手い子しか試合に出さないチームというのは少なからず存在します。運動神経に自信のある子や負けん気の強い子であればそれでも心配ないかもしれませんが、そうでない場合、練習を頑張っているのに試合に出られないというのはお子さん本人にとってもご両親にとっても辛いものです。

IMG_4293

子供のレベルに合ったチームを選ぶ

そういった状況を避けるためにも、体験に行った際にはまず担当のコーチに試合に出られるのかを聞いてみて下さい。最近では試合の前後半でメンバーをそっくり入れ替える、人数が多ければ大会には2~3チームでエントリーするなどして、子供たち全員に試合の出場機会を与えようと考えているクラブやコーチが増えていますので、そういった場所でしたら、お子さんはモチベーションを保ちながらフットボールを楽しみやすいと思います。

「子供とはいえある程度の競争はさせるべきでは?」と思う方もいると思います。確かに上手くなるためには、チームメートと切磋琢磨することも重要です。しかし、その競争に負けたら全く試合に出られない、というのはリスクがあまり大きすぎます。ですので、お子さんの運動能力にもよりますが、最初は初心者でも試合に出場できそうなチームに入って、お子さんがそこで力を付けて、よりレベルの高い環境を望み始めたら強豪チームへの移籍を検討する。それで十分ではないでしょうか。

IMG_3588

コーチも一緒に楽しんでいるか?

体験に行ったチームやスクールの練習内容そのものはそこまで気にする必要はありません。専門的なことは分からないご両親が多いでしょうし、お子さんが他の子供と楽しそうにプレーできていれば、それで良いと思います。ただ、練習の内容は気にしなくも、練習中のコーチの動きや言動は少し気に掛けておきましょう。

良い指導者とは何かなどとはっきり定義付けすることはできませんが、小学生のクラブやスクールでしたら、練習やミニゲームに一緒に入ってプレーしてくれるコーチがいるのが望ましいと思います。技術や戦術を口で説明するより、実際にプレーでお手本を見せてくれる大人がいた方が、子供には遥かにわかりやすいからです。

もちろん子供たち全員がコーチの真似をできるわけではありませんが、上手い子がコーチの真似をして、他の子はその上手い子を真似る、という良い循環はチームに生まれやすくなります。

またミニゲームなどでは、低学年の子供たちでも、コーチと同じチームになれば、良いパスが来るので、ゴールを狙える場所に自分からどんどん走り出し、逆に相手チームの時はコーチ相手ではドリブルが通用しないので、自然とパスをプレーの選択肢に組み込みます。

それに何より、子供は自分と一緒に楽しんでプレーして(遊んで)くれる大人が好きなものです。なので、お子さんが体験練習をしている時は、コーチが一緒にプレーしているか、もしくは動かずにグラウンドの外や中央で指示をしているだけなのかを気にしてみましょう。

質問で子供を導くコーチなら安心

声掛けに関しては、良く言われるようにとにかく子供を褒めてくれるコーチが良いと思います。そしてもう1つは子供たちによく質問をするコーチ。

「子供はただ子供なだけであって馬鹿ではない」というのは、ミゲル・ロドリゴフットサル日本代表監督が指導者講習会で言っていた言葉ですが、練習でも試合でもどうプレーすべきかを子供に質問すると、矢継ぎ早に答えが帰ってきます。子供は子供なりに色々考えているのです。

子供は情報を持っていないので、コーチは基本的な技術・戦術はしっかりと教えなければなりません。とはいえ、全てのプレーをコーチが決めつけては、判断力や決断力が上手く伸びていってくれません。

さも子供たちが自分で答えを出したかのように、上手く質問して子供たちを導ける、もしくは導こうとしているようなコーチでしたら、お子さんのフットボール人生のスタートを任せても大丈夫だと思います。

IMG_4399

お子さんがサッカーを嫌いにならない環境選びを

指導者同士で話をしたり、講習会に出たりすると思わず眉をひそめたくなるようなチームや指導者の噂を耳にします。今回は、読者の皆さんがお子さんをそういったチームに入れてしまわないよう、指導者・スクール運営者の視点から、お子さんのサッカー環境を選ぶ上でのポイントを紹介しました。

色々書いておいて何ですが、お子さんが楽しくプレーできてさえいれば、細かいことは正直どうでも良いかとも思います。ただ、最初のチームやそこのコーチはお子さんにとってのサッカーの入り口です。お子さんが素晴らしいフットボール人生を踏み出し、サッカーやフットサルへの情熱や希望を保ったまま成長していくことに、この記事が少しでも参考になれば、同じくサッカーに魅せられている者として、これほど嬉しいことはありません。

スクール フットサル ・サッカー 子供