ブラインドサッカーならぬ、ロービジョンフットサルとは?

ブラインドサッカーならぬ、ロービジョンフットサルとは? SUPPORT

ブラインドサッカーならぬ、ロービジョンフットサルとは?

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6月9日土曜日に「CA SOLUA」の練習が東京都立葛飾盲学校の体育館で行われました。「CA SOLUA」はロービジョンフットサルのチームとして葛飾区を拠点に活動しています。

ロービジョンフットサルとは、視覚障害者がプレーするフットサルを指す言葉です。視力が弱く、視野が狭い、弱視のプレーヤーを対象としたフットボールです。

この日は、梅雨真っただ中。じっとしていても汗ばむくらいの蒸し暑さでしたが、体育館の中からは、フットサルシューズのキュッというグリップ音、ボールを蹴る音、ボールが壁にぶつかる音、そして監督からのアドバイスや選手同士のコミュニケーションの声が響いてきました。

ロービジョンフットサルのことをもっと知ってもらいたい

クラブ名の「SOLUA」は、ポルトガル語の太陽(Sol)と月(Lua)を組み合わせた造語です。カタカナ表記にすると「ソルア」となります。その名前には「太陽からの光を反射し輝く月のように、一人ひとりが太陽のように明るく輝き活躍できる場をつくる」との思いが込められており、クラブの公式サイトで紹介されています。

視覚障害者のフットボールは(全盲のプレーヤーによる)ブラインドサッカーが大きく取り上げられるようになりましたが、ロービジョンフットサルについては全く知られていないのが現状です。ほとんどの視覚障害者は弱視であり、全盲の人は1割から2割(参考:日本眼科医学研究班報告2007年)です。つまり、弱視の人たちはブラインドサッカーのカテゴリーに該当しないことから、フットサルやサッカーに興味があっても『自分たちは参加できない』と諦めてしまうケースがあります。だからこそ、ロービジョンフットサルのような弱視の人たちでも楽しめるフットサルの存在を知ってもらいたいと活動をしています。

ブラインドサッカーは2004年のパラリンピック・アテネ大会から正式種目に採用され、2020年のパラリンピック・東京大会に向けて注目も集まっています。

ただし、視覚障害者が競技者としてブラインドサッカーを目指そうとしても、ゴールキーパーを除いたフィールドプレーヤーは視覚障害の中でも全盲の方に限られます。少しでも視力がある(視覚情報を得ることができる)と国際競技の大会では参加資格がありません。

一方で、弱視のプレーヤーを対象としたロービジョンフットサルは、パラリンピックの正式種目ではありません。日本国内でブラインドサッカーは20チーム前後ありますが、ロービジョンフットサルはわずか4チームしかありません。

ロービジョンフットサルは一般的なフットサルとほぼ同じルールで試合が運用されます。特別な用具も必要ありません。それでも競技人口がなかなか増えないのは「ロービジョンフットサルという存在が、世間一般の認知はもちろん、視覚障害者や盲学校の関係者といった視覚障害者を支援する側にも知られていないからなのでは」と丸山選手は話してくれました。

視覚障害の子どもたちがスポーツをあきらめることのない世界を!

こうした状況の中、CA SOLUAの古川将士監督は、視覚障害の子どもたちの可能性を広げるべく、CA SOLUAの活動を通してロービジョンフットサルの知名度を高めていきたいと話します。

CA SOLUAの古川将士監督

CA SOLUAのようにロービジョンフットサルのチームを知ってもらうことで、視覚障害のある子どもたちが、競技として日本代表を目指したり、スポーツを楽しんだりできる環境を作りたいと考えています。視覚障害を持つことを理由にスポーツを諦めなくてもよいのです。子どもたちの未来の可能性を広げるためにも、CA SOLUAは、ものすごく大きな役割を担うチームになると思っています。

CA SOLUAの発起人であり、ロービジョンフットサル・日本代表ではキャプテンの岩田朋之さんも、「今は弱視の人たちがフットサルをプレーする場がありません。このチームを立ち上げた大きな要因として、次の世代に環境を残したいという思いがありました。」と話します。

子どもたちを対象にしたクラブの運営や指導はまだスタートしていませんが、フットサルに限らず、たとえば、ダンスでも相撲でも鬼ごっこでもいいと思いますが、体を動かす楽しさをロービジョンの子どもたちに伝えていきたいのです。やがて子どもたちが『フットサルもやってみたいな!』と思ってくれたら運動の中にサッカーやフットサルの要素を加えていけばいいのです。中学生や高校生であれば、いきなり自分たちと一緒にフットサルの練習を始めるよりも、少しずつ段階を踏んでフットサルの楽しさを感じてくれたらいいと思います。あとは子どもたちの個性を配慮してあげられればと思っています。自分たちも、子どもたちとのふれあいを通じて様々なことを吸収しながら、お互いに成長していければいいですね!



CA SOLUAの発起人であり、ロービジョンフットサル・日本代表ではキャプテンの岩田朋之さん

岩田さんの話を聞いているとき、チーム名のSOLUAに託した「一人ひとりが太陽のように明るく輝き活躍できる場をつくる」を連想することができました。

2018年2月に立ち上がったばかりのCA SOLUA。今はロービジョンフットサルをベースに様々な活動を模索している最中です。そのためにもまずはロービジョンフットサルの競技の世界で活躍しようと選手たちは練習に励んでいます。


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