世界3カ国の代表を率いた国際野球監督「色川冬馬の挑戦」

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世界3カ国の代表を率いた国際野球監督「色川冬馬の挑戦」

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2020年東京五輪で金メダルを狙う新生侍ジャパンが、稲葉篤紀監督のもとついに始動しました。日本球界のトップ選手が集まる侍ジャパンを率いる稲葉監督は、いわば世界で戦う日本人監督の頂点かもしれません。しかし、それ以外にも世界を舞台に戦う日本人監督がいます。

今回は27歳にして3カ国の代表を率いり、その全てで歴代最高の成績を収めてきた日本人監督、色川冬馬氏にスポットを当てます。国際野球監督としてのこれまで、そして目指す先を伺いました。
TOP写真:2017年香港代表を率いた色川冬馬

23歳、イランで始まった指導者への道

選手時代の色川冬馬は、高校を卒業し、地元仙台の大学でプレーをしていました。しかし、色川はその環境や日本人野球選手としての在り方に疑問を抱き、退部をし、2009年、19歳の時にMLBを目指しアメリカに渡ります。主に大学の休みを利用し、アメリカの独立リーグのトライアウトを受け続け、2年後の2011年、ある独立リーグでプロ契約をすることになります。以来、アメリカだけではなく、プエルトリコやメキシコ、プロからアマチュアまで様々なチームでプレーをしました。しかし2013年に、選手としての限界と同時に選手以外の生き方にも可能性を感じ、指導者を志すようになります。

監督としての色川冬馬はイランから始まります。指導者を志したタイミングで、イランでの野球普及活動への参加者を公募していました。本来持っていた海外志向と、選手時代に培った海外で生き抜く力を評価され、最終的にイランへ渡ることになります。

現地での3ヶ月間の指導プログラムが評価され、まずはユース代表監督、そして最終的にイラン代表の監督になりました。当時のイラン代表は16年間で1勝しかできないチームでしたが、2015年2月には西アジアカップという国際大会で準優勝を果たします。そしてその大会で、イラン代表を倒し、優勝したパキスタン代表からオファーをもらい、8月にパキスタン代表監督に就任します。


台湾代表との試合に臨むパキスタン代表

25歳、パキスタンから香港、そして世界の舞台へ

当時のパキスタン代表の目標は、アジアの4番目である中国を倒すことでした。代表には軍人や警察官が多く、またクリケット強豪国ということもあり、近隣諸国の中ではフィジカル、技術共に一つ抜けた存在でした。しかしながら、まだまだ野球の立場は弱く、練習や代表をとりまく環境はとても厳しいものがありました。

2015年9月、アジアの4強入りを目指した大会では、5位に終わります。しかし、結果的に翌年にアメリカで開催されたWBC予選への出場権を獲得しました。パキスタン野球23年の歴史で初めての世界大会への出場を果たし、それも世界最大の大会であるWBCの予選ということもあり、色川冬馬は代表監督として、2カ国目のパキスタンでも一定の成果を収め、その責務を終えました。

監督として次の展開を色々と練っていた2016年9月のある日、Facebookで香港棒球協会からメッセージが届きます。内容は香港代表を次のレベルに押し上げる為、日本人指導者を探しているとのことでした。事前に客員指導者として代表チームを指揮した後、2017年3月、正式に香港代表監督となりました。目標は2017年5月に開催される4年に1度の「全国運動会」です。

香港はイランやパキスタンとは違い、経済発展豊かな、アジアを代表する先進国です。しかし、国内にプロリーグがないため、多くは学生生活を終えると、皆野球から離れ就職をします。国土も小さく、総人口、野球人口も少ない国です。この全く新しいアジアの野球に挑戦することになります。


台湾から世界を目指す「アジアン アイランダース」を始動

3カ国で感じたこと、そして日本の野球界ができること

目標としていた中国最大の大会、「全国運動会」では10チーム中7位に終わります。香港にとっては過去最高の成績でしたが、目標を下回り、少し残念な結果となりました。香港のような都会人の持つスマートさ、ハングリー精神の薄さが、中国本土のチームとの差だったのかもしれません。

これまで色川冬馬は監督として3カ国で戦い、それぞれの野球、そして野球人の在り方を見てきました。その3カ国と日本を比べた時、日本は経済、野球の環境、実力、全てトップクラスです。ただ、国としての存在感と、個々の選手の世界での存在感には、大きなギャップがあります。ごく一部の有名選手を除き、世界の舞台で戦っている選手は本当にわずかです。色川冬馬は、日本は世界の野球界を牽引する立場であるならば、今以上に世界で戦い、国際野球貢献を果たすべきだと話します。

2018年1月、海外を目指す選手を台湾に集め、トライアウトチーム「ASIAN ISLANDERS(アジアンアイランダース)」を結成して試合を行います。台湾に、世界を目指す選手、スカウトを集め、世界中の野球リーグとの契約のチャンスを提供するプロジェクトです。

チームでは、現在も引き続き参加者とサポートスタッフを募集しています。挑戦心のある野球人は是非チェックしてみてください。

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