短時間に集中して機能的に全身を鍛える!人気急上昇中のクロスフィットとは?
DO短時間に集中して機能的に全身を鍛える!人気急上昇中のクロスフィットとは?
クロスフィットとは1990年代にアメリカ・カリフォルニア州で生まれた比較的新しいトレーニング・メソッドで、2010年代に入ってブレイクしました。今では世界中に公認ジムが1万箇所以上あります。
日本でも少しづつ公認ジムが増えてきましたし、テレビや雑誌などで取り上げられる機会も増えましたので、名前ぐらいは見たことや聞いたことはあるよ、って人もいるかもしれません。しかし一体全体クロスフィットって何?という疑問を抱く人がほとんどでしょう。
私は地元カリフォルニアでクロスフィットを始めて7年、2年前からは趣味が高じてインストラクターにもなりました。実践者と指導者の両方の視点からクロスフィットの魅力をご紹介したいと思います。
クロスフィットのジムは実用本位
クロスフィットのジムに足を踏み入れると、普通のフィットネス・ジムとは少し様子が違うのに気がつくでしょう。トレッドミルがありません。固定サイクリングも並んでいません。チェスト・プレスとかレッグ・カールとかのウエイト・トレーニング系のマシーンもありません。テレビも鏡もありません。
代わりにあるのが、鉄棒、跳び箱、ケトルベル、バーベル、ダンベル、メディシンボール、縄跳び、ロウイングなどです。どれも電力を必要としない自力で動かすものばかりです。
それらが整然とだけど無愛想に壁に沿って並べてあります。中央部は広くスペースがとってあり、床はウエイトを落としても大丈夫なようにマットが敷いてあります。
クロスフィットは毎回異なるトレーニングでオールラウンダーを目指す
クロスフィットのクラスは1時間以内です。
公式なクロスフィットの定義は“constantly varied, high-intensity, functional movement.”「常に変化する、高い強度の、機能的動作」を行うことですが、これをより具体的にわかりやすく嚙み砕きますと、クロスフィットのトレーニングの特徴は
1)毎日日替わりで変わる、
2)きつい全身運動を、
3)短時間で集中して行う
クロスフィットが目指すアスリート像はオールラウンダーです。筋トレはやりますが、ボディビルダーやパワーリフターにはなりません(なれません)。短距離も長距離もよく走りますが、陸上競技選手にはかないません。鉄棒や逆立ちもやりますが、体操競技のように難しいことは要求されません。
クロスフィットは「専門化しないことが我々の専門だ」なんて言います。心肺持久力、スタミナ、筋力、 柔軟性、パワー、スピード、連動性、俊敏性、バランス、正確性を10 種類の基礎的身体能力と呼び、それら全てを満遍なく向上させることを目標にしています。
ジムのホームページに当日のメニューがアップされることはありますが、多くの場合メンバーはその日がどんなメニューになるのか、自分がどんなトレーニングをするのか、ジムに行くまでわかりません。その場で与えられたワークアウトをこなします。少し大げさですが、クロスフィットではそれを「予測不可能な未知的状況への対応」と言っています。
効率的で飽きのこないクラス
クラス時間になったらまずは5分から10分ぐらいかけてウォーミングアップをトレーナーの指示に従って皆で一斉に行います。動的ストレッチ、軽いランなどが中心で、静的ストレッチはあまり行いません。
ウォーミングアップが終わると、前半20~30分ぐらいは筋トレか、ある動作のテクニック練習に充てられます。
筋トレの場合はバーベルスクワットやスナッチ、ジャーク、デッドリフトなど複合的な筋肉を使用する動きの大きなメニューから1、2だけ指定されることが多いです。テクニック練習の場合は懸垂や縄跳び2重跳び、あるいはマッスルアップと呼ばれる難易度の高い動作を習熟度に応じて段階的に練習します。
どちらにおいても、インストラクターはフォームをかなり厳格にチェックします。ここでは重さより正しいフォームを重視し、説明の時間も長くなります。回数や重さを指定されますが、自分の好きなペースで休みながら行いますので、ここまでは体力的にはあまりキツクありません。
クラス後半になりますと、WOD – Workout of the Day と呼ばれるその日のメイン・メニューを行います。メンバー全員でスコアを競うわけですが、スコアのつけ方は大きく分けて2種類です。
•一定時間内に決められたメニューを何セットこなすか(回数を競う)
•決められたメニューをどれだけ速くこなすか(時間を競う)
女性は指定されるウェイトが軽いだけで、男女とも同じメニューです。仮にケトルベルを15回スイングするというメニューがあるとして、男性は24キロ、女性は16キロ、という風に扱うケトルベルの重量を指定されます。指定された動作が出来ない人は別の似た動作をコーチから指定されます。例えば、縄跳び2重跳びが出来ない人は、1回づつ跳んでよいけど、その代わり回数は2重跳びの3倍になったりします。
クロスフィットはコミュニティー
クロスフィットのトレーニング内容がバラエティーに富んでいるように、ジムに通ってくるメンバー達の理由や動機も様々です。ダイエットのためという人もいますし、健康になりたい人も、仲間が欲しい人も、クロスフィットの競技そのものに挑みたいという人もいます。
その他、格闘技選手やフットボール選手など、クロスフィットのトレーニングを通じて、専門とするスポーツのパフォーマンスを上げることを目的とする人もかなりの数だけいます。10代から70代まで幅広い年齢層の人がいて、男女の比率もほぼ同じぐらいです。
クロスフィットは新鮮で楽しいトレーニングとは言え、決してラクなわけではありません。それどころか、殆どの人が今までやった中で一番きつかったという感想を持ちます。だからこそでしょうか、クロスフィッター同士達は皆とても仲が良いです。出張や旅行などで他の土地に行くと、当地にあるクロスフィットのジムを探して、飛び入りでクラスに参加することを「ドロップイン」と呼び、それは頻繁に行われます。世界中何処でもクロスフィッターというだけで仲良くなれます。クロスフィットはコミュニティーでもあるのです。
クロスフィットに興味を持たれた方は是非一度ジムを見学してみて下さい。