予測不可能な未知的状況に挑む超人たちークロスフィット・ゲームズ2018
WATCH予測不可能な未知的状況に挑む超人たちークロスフィット・ゲームズ2018
世界最大のフィットネス競技イベント、クロスフィット・ゲームズが今年は8月1~5日にアメリカ・ウィスコンシン州マディソン市で行われます。世界中で50万人以上が参加したオンライン予選から始まって、地域予選を勝ち抜いた男女40人の選手がフィットネス世界一を競います。キャッチフレーズはThe Fittest On Earth。
観戦チケットは数秒で売り切れると言われ、競技は全てネット中継されます。最終日はESPNで生中継されるほどの人気イベントなのです。
何が起こるかわからない、このワクワク感がたまらない
例えばグーグルの画像検索で「Crossfit Games」をキーワードにすると大量の画像がヒットします。出てくるのはやたら筋肉隆々の男女たちですが、彼ら彼女らがやっていることはまちまちです。バーベルを持ち上げていたり、鉄棒で懸垂をやっていたり、縄登りをやっていたり、逆立ちして歩いていたり、何やら重そうなソリを押して走っていたりしています。一体全体、これは何の競技なのだろうと疑問が生じて当然なのですが、その問いに明確な答えがないのがクロスフィット・ゲームズです。
クロスフィット・ゲームズは4~5日間に渡って、1日平均して2~3個の競技を行います。つまり大会期間中に10~15個ぐらいの競技があって、合計得点で順位が決まるわけですが、その競技内容が毎年変わるのです。そして、その内容は大会直前になるまで明らかにされません。早くて1週間前、なかには当日になってから発表される種目もあります。
この記事を書いているのが7月11日で、大会初日までちょうど3週間前なのですが、現時点で全ての競技種目が未定となっています。
例年、メイン会場で行われるクロスフィット競技の他に、いきなり海で泳がされたり、山道を走らされたりもします。ほとんどカナヅチの選手が海での遠泳に挑み、あえなく棄権なんてこともありました。今年はどうも自転車レースがあるとの噂ですが、真偽のほどはわかりません。
見ている方はわくわくしますが、やっている選手たちは大変です。通常のスポーツであれば、種類の違いはあっても、競技選手はみな大事な試合に向けて、試合当日に気力体力のピークを迎えるように調整します。ですが、クロスフィット・ゲームズに出場する選手は「いつ」は大体わかっていても、「何を」目指して調整するべきなのかがはっきりしません。
誰でも挑戦できる最も過酷な種目-Murph
例として、1つだけ競技種目を紹介します。2016年度5個目のイベントに採用された”Murph”です。
Murph:
1600m走
鉄棒懸垂100回
腕立て伏せ200回
スクワット300回
1600m走
これを全部やってタイムを競います。尋常な回数ではないことは一目瞭然ですが、さらに男子選手は約9キロ、女子選手は約6.4キロの重量ベストを着用します。難しいテクニックは必要なく、問われるのは筋持久力と心肺能力、ありていに言うならば根性の勝負です。
”Murph”はある戦没者にちなんだワークアウトで、米国戦没者記念日に皆でこれをやるのがクロスフィットの伝統です。ですからクロスフィッターなら多くの人が一度は経験したことがある競技種目です。普通の人なら1時間はかかりますが、トップ選手達は35分程度で終わらしてしまいます。
そしてそれだけではありません。2016年のクロスフィット・ゲームズでは、この過酷な持久力系の種目をこなした後、同じ日にあと2つ、重量挙げを中心としたパワー系の競技が待っていました。
5千人に1人。クロスフィット・ゲームズは狭き門
クロスフィット・ゲームズはクロスフィットの最高峰、世界大会の本選です。ここに出場する男女は世界中のクロスフィッターから選ばれたスーパーマン、スーパーウーマン達です。
まずは全世界中のクロスフィッター達がインターネット上に集って行われる5週間のオープン予選というものがあります。オープン予選の参加者数は毎年増え続けていて、2018年度はついに全世界で50万人を突破しました。次の段階は地域予選です。世界を8つの地域に分け、それぞれの地域でオープン予選の男女上位40名が地域予選で競い、さらにその各地域予選のトップ男女5名づつ、合計で男女40名の選手がクロスフィット・ゲームズにやってきます。
2018年度の一般部のオープン予選参加者は男女ともおよそ20万人でした。その中からのトップ40名だけが出場できるクロスフィット・ゲームズ、およそ5千人に1人の狭き門です。
一般男女の部の他にチーム競技やマスター部門やティーン部門があり、それらの部門は一般部とは選出過程が異なるのですが、クロスフィット・ゲームズに出場出来るのは、極めて狭き門を突破してきたスーパー・アスリート達であることには変わりありません。今までのところ、一般男女の部に出場を果たした日本人は過去に出ていません。
史上2人目の3連覇なるか。今年の注目選手達
クロスフィット・ゲームズ史上最も有名な選手と言えば2011~14年に4年連続男子の部で優勝したRich Froning Jr.です。年々右肩上がりで競技者が増え続け、さらに毎年異なる競技種目で、トップの座を守り続けるのは、至難の業であろうと想像しか出来ないのですが、今年もその偉業に挑戦する選手達がいます。
男子の部で過去2年連続で優勝しているMathew Fraser、女子の部で昨年優勝のTia-Clair Toomeyです。Mathew Fraserはオープン予選を世界全体1位で通過していますし、Tia-Clair Toomeyは2018年度コモンウェルスゲームズの重量挙げで金メダルを獲得しています。
Embed from Getty Images
Tia-Clair Toomey選手
この両ディフェンディング・チャンピオンだけでなく、大会常連の上位選手達、あるいはルーキー選手達が今年もクロスフィット・ゲームズでしのぎを削ります。
全ての競技はネットで視聴可能
クロスフィット・ゲームズの大会公式サイトで全ての競技がネット視聴できます。最終日にテレビ中継されるものを除けば、全てライブ中継です。過去の大会の様子を知りたい人はYoutubeで簡単に見ることが出来ます。
ひょんなことからクロスフィット・ゲームズの動画をネットで見かけたことがきっかけで、その後どっぷりとクロスフィットにはまった人は世界中に数多くいます。具体的な例を挙げるなら私です。予測不可能な未知的状況に挑む超人たちークロスフィット・ゲームズをぜひ多くの人に見て頂きたいと思います。
INFORMATION
クロスフィット・ゲームズ大会
公式サイト:https://games.crossfit.com/