マウンテンバイクにトレイルラン。オフロード志向のトライアスロンとは。

マウンテンバイクにトレイルラン。オフロード志向のトライアスロンとは。 DO

マウンテンバイクにトレイルラン。オフロード志向のトライアスロンとは。

スポーティ

オフロードで行うトライアスロンがあります。海や湖で泳ぐのは通常のトライアスロンと同じですが、自転車は未舗装の道でマウンテンバイクを使用し、ランも自転車同様に山道を走るトレイルランです。クロス・トライアスロンと呼ばれることもあります。

このオフロード・トライアスロンの草分け的存在「エクステラ・シリーズ」のレースが9月9日カリフォルニア州ラグナビーチ市で行われました。

海と山に囲まれた絶好のロケーション

ラグナビーチはロサンゼルスから南へ1時間ほど、白浜の海岸に岸壁が迫った南カリフォルニアでも屈指の美しい土地です。レースが行われたクリスタル・コーブ州立公園は海岸沿いに駐車場とキャンプ場がありますが、それ以外は売店もホテルも殆どありません。そうして大切に保護された海と山の自然が格好のオフロード・トライアスロンの舞台になるのです。


クリスタル・コーブ州立公園内のコースから太平洋を望む

レースは本格派向けのロングコースと初心者向けのショートコースに分かれています。
ロングコース:水泳1500メートル、自転車25キロ、ラン10キロ
ショートコース:水泳500メートル、自転車16キロ、ラン5キロ

波と潮流に翻弄される水泳

水泳は砂浜からのスタートです。まずは波打ち際まで走り、さらに泳げる深さまで行かなくてはいけないのですが、これが思ったより大変です。もともと普段はサーファーで賑わうビーチで、波の高さはかなりのものなのです。波が寄せるタイミングに合わせて水面下に潜り、出来るだけ早く沖に出なくてはいけません。ここで失敗すると時間はロスしますし、体力もかなり消耗します。


スタート直後は波との戦い

泳ぎ始めると、今度は別の難関が待ち構えています。海上にはブイが2つ浮かんでいて、そのブイを左回りで1周するわけですが、なかなか真っ直ぐに泳げないのです。

私も含めて、多くの選手は普段はプールで泳いでいて、海で泳ぐことに慣れていません。当たり前ですが、海の底にはラインは引いてありませんし、潮流で流されることもあります。

気がついたら全然別の方向に向かっていることがしばしばあり、その度にコースを修正しなくてはいけません。直線距離なら1500メートルでも、実はもっと泳いでしまうこともあるでしょう。

テクニックと経済力がモノを言うマウンテンバイク

このように大変ではあるのですが、ここまでは通常のトライアスロンと同じです。オフロード・トライアスロンの独自性が出てくるのはこれからです。

海から上がり、次は自転車が置いてあるトランジション・エリアに向かいます。ウェットスーツを脱ぎ、靴を履き、自転車を押して次なる自転車パートのスタート地点へと急ぎます。


トランジション・エリア。自転車、シューズ、着替えなどを置いておく。

自転車パートは全て山中の未舗装トレイルです。ゴロゴロした岩場があるかと思えば、砂場のようになっている場所もあり、さらには「ええ~マジかよ~」と言ってしまうような急勾配の坂をいくつも上下します。

そのようなわけで、マウンテンバイクに不慣れの選手は悪戦苦闘でなかなかスピードが上がりません。難易度の高いコースになればなるほど、マウンテンバイクのテクニックによって差が大きくなります。

皮肉なことに、マウンテンバイクに不慣れな人ほど、安物の自転車を使っている傾向があります。マウンテンバイクの価格は安いものなら数万円、高価なものなら数十万円以上。当然ですが、性能も段違いに違います。

トレイルランは根性の勝負?

最後のトレイルランも過酷です。これがコースなのかとにわかには信じられないような悪路の上り坂が延々と続きます。気分としてはランというより登山に近いかもしれません。

朝8時のスタートでは涼しかった気温も、この時点ではだんだん暑くなってきています。つまり、遅ければ遅いほどますますきつくなるわけで、ゴールまで長く苦しい戦いが続きます。1位でゴールした人のタイムは2時間26分、最下位のタイムは4時間1分でした。

オフロード・トライアスロンは中高年向けのスポーツ?

この日、ロングコースに挑んだアスリートは男性53人、女性9人でした。年代別に分けると、20代9人、30代11人、40代24人、50代16人、60代2人。平均年齢は43.3歳でした。

意外なことに(意外ではないのかもしれませんが)、オフロード・トライアスロンの競技年齢は高いようです。ウェットスーツやマウンテンバイクなどと道具にお金がかかる上、フィールドに出かけるためには車も必要になりますので、そのせいかもしれません。

待ち遠しい日本での再開催。世界大会はハワイ。

「エクステラ・シリーズ」は世界中でレースを開催しています。そもそもがエクステラと言う名前自体が、当時スポンサーだった日産のオフロード車から取ったものです。以前は日本でもレースが行われていましたが、2018年現在はアジアでは韓国でしかないようです。

元々はハワイ州マウイ島で始まったシリーズで、現在も世界チャンピオンを決める最終大会は毎年マウイで行われます。