ブエルタ・ア・エスパ―ニャ2018事前解説・優勝のカギを握るステージは

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ブエルタ・ア・エスパ―ニャ2018事前解説・優勝のカギを握るステージは

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8月25日からスペインで開催されるVuelta a España(ブエルタ・ア・エスパ―ニャ) 。今年は、アンダルシアのマラガがスタート地点です。毎年グランツールの最後を飾るこのレースは、他の2大グランツールと比較するとリラックスした雰囲気の中で開催されるため、ブエルタに出走するのを楽しみにしている選手も多いです。

この記事では、今年のブエルタについての情報を中心に、優勝者を決めるであろうステージを解説します。(メイン写真 https://www.lavuelta.es/es/recorrido-generalより引用)

Vuelta a Españaとはどんなレースか。


2017 年のブエルタ・ア・エスパーニャの優勝者、クリス・フルーム。しかし今年は出走せず。(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

ブエルタ・ア・エスパ―ニャとは、スペイン国内を中心に開催される3週間の自転車レースです。各チーム8人の選手で構成され、今年は22チームが出場します。レースは21のステージからなり、最も合計時間の短いサイクリストがブエルタ・ア・エスパ―ニャの総合優勝者となります。

コース日程表
8/25 マラガ/マラガ (8km-TTI) 9/6 モンドニェゴ/ファロ・デ・エスタカ・デ・バレス・マニョン (181.1km)
8/26 マラベーリャ/カミニート・デル・レイ (163.5km) 9/7 カンダス・カレーニョ/バリェ・デ・サベリョ・ラ・カンペロナ (174.8km)
8/27 ミハス/アラウリン・デ・ラ・トーレ (178.2km) 9/8 システィエルナ/レス・プラエレス・ナバ (171km)
8/28 ベレス・マラガ/アルファカール・シエラ・デ・アルファグラ (161.4km) 9/9 リベラ・デ・アリバ/ラゴ・デ・コバドンガ (178.2km)
8/29 グラナダ/ロケタス・デ・マール (188.7km) 9/10 休養日(サンタンデール)
8/30 ウエカル・オベラ/サン・ハビエル・マール・メノール (155.7km) 9/11 サンティ・リャナ・デ・マール-トーレラベガ (32㎞-TTI)
8/31 プエルト・ルンブレーラス/ポゾ・アルコン (185.7km) 9/12 ゲッチョ/バルコン・デ・ビズカイア (157km)
9/1 リナレス/アルマデン (195.1km) 9/13 エヘア・デ・カバリェロス/リェイダ (186.1km)
9/2 タラベラ・デ・ラ・レイナ/ ラ・コバディリャ (200.8km) 9/14 リェイダ/アンドラ・ナトゥルランディア (154.4km)
9/3 休養日(サラマンカ) 9/15 アンドラ・エスカルデス・エンゴルダニー/コル・デ・ガリーナ・サントゥアリオ・カノリチ (97.3km)
9/4 サラマンカ-フェルモセイリェ・ベルミリョ・デ・サヤゴ (177km) 9/16 アルコルコン/マドリード (100.9km)
9/5 モンブエイ/リベイラ・サクラ・ルイントゥラ (207.8km)

https://www.lavuelta.es/es/recorrido-generalより筆者翻訳

今年のブエルタのコースは上記の表とTOPの地図の通りです。マラガからスタートし、イベリア半島を時計回りに進み、ピレネー山脈まで行ったあと、最終ゴール地点のマドリードへ到着します。

総合優勝者を決める山岳ステージ

例年、ブエルタの優勝者を決めるのは、スペインの山岳の登りであることが多いのですが、今年のブエルタにもなかなか厳しい登りがそろっています。

まず、第3ステージで今年最初の一級山岳の登りが現れます(Puerto del Madoroño)。その後も2ステージ山岳コースが続きますが、その後は比較的平坦なステージです。そして、第1週目最大の山場は、第9ステージのゴール地点La Covadilla(ラ・コバディーリャ)です。

まず、この日の選手たちは、La Covadillaにたどり着く前に、3級山岳から1級山岳すべてを超えてなくてはいけません。そして、La Covadillaは平均斜度8%・最大斜度16%の超級山岳です。


https://www.lavuelta.es/es/etapa-9より引用

第2週目の山場は第15ステージ。自転車ファンにはおなじみのLago de Covadonga(ラゴ・デ・コバドンガ)の登りが待ち構えます。ここの特徴は、わずか17kmの距離で1000m登るという、その急勾配です。


https://www.lavuelta.es/es/etapa-15より引用

第3週目の山場は第20ステージにあります。ブエルタの終了直前に、アンドラでの獲得標高4000mの登りがサイクリストたちを待ち構えます。距離は97㎞と短いのですが、距離が短いということは、それだけ登りが厳しいということなのです。


https://www.lavuelta.es/es/etapa-20より引用

また、今年のブエルタの特徴の一つとして、チーム・タイムトライアルのステージがないことが挙げられます。一方。個人タイムトライアルのステージは、第1ステージ(6㎞)と第16ステージ(32㎞)の2回設定されています。ともにアップダウンの少ない比較的平坦なコースではありますが、登りが得意な総合優勝候補の間で意外とタイム差がついたりしますので、気の抜けないステージであることも事実なのです。

総合優勝候補*¹

*1:8月20日時点

今年好調のアレハンドロ・バルベルデ。ブエルタで狙うのははステージ優勝か、それとも総合優勝か。(Photo by Yukari TSUSHIMA.)

今年の話題の一つは、TEAM MOVISTAR(チームモービースター)がNairo Quintana(ナイロ・キンタナ)とAlejandro Valverde(アレハンドロ・バルベルデ)の両エースを、ツール・ド・フランスに続き、ブエルタにも出走させると決めたことでしょう。ミケル・ランダに関してはクラシカ・サンセバスチャンでの落車による負傷の影響でブエルタは走れませんが、この2人はツール終了後から問題なくブエルタに向けて調整できている様子です。

今年好調のMichelton-ScottoはAdam Yetes(アダム・イェテス) とSimon Yete(サイモン・イェテス)の兄弟がブエルタへの出走を表明しました。若きスペイン人サイクリストのCarlos Verona(カルロス・ベローナ)も、今シーズンよい働きをしているので、もしもブエルタを走るならYetes兄弟にとっては、頼もしいアシスト役になるでしょう。

TEAM SKY(チームスカイ)は、Chris Froom(クリス・フル―ム) とGeraint Thomas(ゲラン・トーマス)の2人はブエルタに出走しないと表明しました*² 。そうなると若きスペイン人サイクリストのDavid de La Cruz(ダビッド・デ・ラ・クルス)がエースナンバーを背負うことになるかもしれません。
*2:http://www.ciclo21.com/froome-y-thomas-no-estaran-en-la-vuelta/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=facebook

Bahrain-Merida(バーレンメリダ)からはVincenzo Nibali(ビンセンソ・ニバリ)がブエルタ出走を表明しています。彼はLiquigas(リクイガス)所属時の2010年のブエルタで総合優勝しています。ちなみに、この時のスタート地点もアンダルシア地方でしたし、ラゴ・デ・コバドンガの登りゴールもありました。今年のブエルタのコースは、ニバリにとって相性の良いコースであるようです。また、同じチームのIon izagirre (ヨン・イザギーレ) も出走を表明しています。

Astana(アスタナ) からはコロンビア人サイクリストのMiguel Ángel López(ミゲル・アンヘル・ロペス)が出走予定です。また、今年好調のツールでもステージ優勝をしたOmar Freire(オマール・フレイレ) も、ブエルタ出走を表明しています。

BMCからはRichi Porte(リッチー・ポルテ)がブエルタ参戦を表明しました。このチームが得意とするチーム・タイムトライアルがないことは少々残念ですが、それでも有力な優勝候補の一人と言ってもよいでしょう。

今年のブエルタはの総合優勝争いは、若干の混戦模様というのがスペイン人自転車ジャーナリストの共通した見解です。2018年最後のグランツールを楽しみましょう。