スーパーアスリート「F1ドライバー」という職業
WATCHスーパーアスリート「F1ドライバー」という職業
300km以上というスピードの世界で戦うF1ドライバー達。きっとF1ドライバーに憧れを持っている方も多いことでしょう。そこで、今回はF1ドライバーにスポットを当て、F1ドライバーになるにはどうすればいいのか、そして気になる年俸も紹介します。険しい道の先に夢とロマンが待っているのです。
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F1ドライバーへの険しい道のり
モータースポーツの入り口とも言えるのがカートです。カートレースは年齢制限がないので、小さな子どもでもレースに参加することができます。世界で活躍しているレーサーは、カートから始めているレーサーが多く、早いドライバーだと3歳や4歳から始めます。
入り口であるカートでもお金がかかり大変ですが、スピードへの慣れや、クルマの運転技術の向上、更にレースバトルの駆け引きを学べるので、カートで腕を磨くことはレーサーにとって大きなプラスになるでしょう。
カートで成績を残すなど経験を積んだら、いよいよフォーミュラへステップアップ。ジュニアフォーミュラのチームでは、ドライバーのオーディションも行われているので、常に情報を張り巡らせておいたほうが良いでしょう。大金持ちでない限り、個人でフォーミュラカーレースに参戦するのはほぼ不可能と言われています。チームに所属できるように、レースやオーディションで結果を残さなければ先へは進めません。
大手メーカーのドライバー育成プロジェクトの多くは、カートなどレース経験者しか参加することができないものが多いのが現状です。そのため幼い頃からレース活動をしているに越したことはありません。しかし鈴鹿サーキットで行われている「鈴鹿サーキットレーシングスクール」は経験が無い人にもチャンスがあります。もちろん周りはレース経験者ばかりで厳しいことに変わり無いですが、可能性はあることを紹介したいと思います。
レースを始めてたった5年でF1に行った男「佐藤琢磨」
ここではF1のモナコGP、ル・マン24時間耐久レースと並び、世界三大レースと呼ばれるインディ500で、アジア人初の優勝に輝いた日本を代表するレーシングドライバー、佐藤琢磨選手について紹介します。
幼い頃からレースを経験しているレーサーがほとんどですが、佐藤琢磨選手はそれに当てはまりません。10歳の頃に鈴鹿サーキットでF1を観戦し、モータースポーツに強い憧れを抱いていたものの、高校時代までは自転車競技に身を置いていました。
高校卒業後、早稲田大学に進学しますが、「鈴鹿サーキットレーシングスクール」ができることを知ると休学してカートを始めました。そしてカートを半年しただけのわずかなレース経験で、鈴鹿サーキットレーシングスクールを受験することになります。しかし、当時の合否決定は書類選考で行われていました。「これではレース経験が無い自分がまず最初に落とされる」と考えた佐藤選手は、審査方法を面接に変えるよう直談判を行います。それが功を奏して選考方法が書類選考から面接に変わり、佐藤選手は見事合格を勝ち取るに至ります。
そこで受講生、時には講師よりも速く走るなど、どんどん成長していき、翌年首席で卒業しました。卒業後は、首席で卒業して手に入れたスカラシップでイギリスに渡り、レース活動を開始。ジュニアフォーミュラで経験を積み、F1の登竜門、F3に参戦します。
初年度は、年間3位になり、翌年2001年には見事チャンピオンを獲得。レベルが高いイギリスF3において、日本人で始めてチャンピオンになりました。同年に行われたF3世界一決定戦の「マカオGP」でも日本人として初優勝を達成し、勢いそのままにF1のシートを掴みました。
佐藤選手のような経歴は、本当に稀なケースですが、こうしてF1ドライバーになったレーサーもいるのです。ほとんどの人が手の届かない世界で、努力したからといって必ずなれるものではありません。ただ、「レーサーに絶対なる!」と強い意志を持って、チャンスを掴むために努力することで、夢を叶えた日本人がいることを知って欲しいと思います。
アスリートとしての「F1ドライバー」
モータースポーツはスポーツです。常にトレーニングし、強靭な肉体を手に入れなければ、レースに耐えられないのです。
速いスピードでマシンを走らせると、ドライバーにはGフォース(重力)がかかります。F1では体に5Gの力が加わるので、ドライバーの体重が70kgなら、ドライバーの体には350kgの力が押し寄せることになります。レーサーが必ず鍛えなければいけないのは首です。首が弱いと強いGフォースに耐えきれず、むち打ち状態になってしまいます。
レースは約2時間あります。レーシングスーツやヘルメットを身につけたドライバーは強烈な暑さの中、強いGフォースに耐え、その中でマシンを操り、細かい微調整を行い、なおかつ他車とバトルをしなければいけません。持久力、瞬発力、筋力、体感、冷静な判断力、高い運転技術、マシンのわずかな違いを読み取れる感性など、ドライバーに求められる能力は数多いのです。
F1ドライバーの年俸
F1ドライバーはサッカーや野球、NBAの選手に負けないくらいの超高給取りです。F1には優勝賞金というものがなく、年間の契約で年俸金額が決まっています。テレビ放映料やチケット売上から、前年の成績に応じてチームへの分配金として支払われる仕組みです。その中からドライバーの給料が支払われます。
年俸は公開されていないため正式なものではありませんが、F1ドライバーの推定年俸を海外スポーツメディアのTSM SPORTZが以下のように報じています。
セバスチャン・ベッテル(Ferrari) | 6000万ドル(約67億5000万円) |
ルイス・ハミルトン(Mercedes) | 5000万ドル(約56億2400万円) |
キミ・ライコネン(Ferrari) | 4000万ドル(45億円) |
フェルナンド・アロンソ(Mclaren) | 3000万ドル(約33億7500万円) |
バルテリ・ボッタス(Mercedes) | 1200万ドル(約13億5000万円) |
マックス・フェルスタッペン(Red Bull) | 1000万ドル(約11億2500万円) |
ストフェル・バンドーン(McLaren) | 700万ドル(約7億8700万円) |
ダニエル・リカルド(Red Bull) | 600万ドル(約6億7500万円) |
ニコ・ヒュルケンベルグ(Renault F1) | 550万ドル(約6億1800万円) |
セルジオ・ペレス(Force India) | 500万ドル(約5億6200万円) |
ロマン・グロージャン(Haas F1) | 445万ドル(約5億円) |
エステバン・オコン(Force India) | 300万ドル(約3億3700万円) |
ケビン・マグヌッセン(Haas F1) | 250万ドル(約2億8100万円) |
ランス・ストロール(Williams) | 180万ドル(約2億円) |
セルゲイ・シロトキン(Williams) | 100万ドル(約1億1200万円) |
カルロス・サインツ(Renault F1) | 75万ドル(約8400万円) |
マーカス・エリクソン(Sauber) | 50万ドル(約5600万円) |
ピエール・ガスリー(Toro Rosso) | 40万ドル(約4500万円) |
ブレンドン・ハートレー(Toro Rosso) | 35万ドル(約4000万円) |
チャールズ・ルクレール(Sauber) |
15万ドル(約1700万円) |
世界最速の称号を賭けて戦い、大金を稼ぐF1ドライバーたち。年俸を見てもF1ドライバーには夢があります。