悪路が舞台の冬の自転車レース「シクロクロス」

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悪路が舞台の冬の自転車レース「シクロクロス」

スポーティ

自転車競技の本場のヨーロッパでは、冬にもレースが開催されます。特に冬に盛んになる自転車レースの一つが、シクロクロスです。

この競技では、選手たちはコース上にある障害物を自転車で超えながら、あるいは、自転車を担いで走りながら、ゴールを目指します。

そんな選手たちが走るレースのコースは、コンクリートで舗装されていない土の上。そのため雨が降ると、サイクリストはもちろん、観客も泥だらけになりながらレースを観戦するのです。

今回は、スペイン北部のバスク地方で開催された「シクロクロス」のレースの様子をレポートします。

メイン写真 photo by Yukari TSUSHIMA

Copa de España de Ciclocrós(コパ・デ・エスパーニャ・デ・シクロクロス)


レースのスタート直後。(Photo by Yukari TSUSHIMA)

自転車レースが盛んなスペイン。冬場に開催されるシクロクロスは、サイクリストだけでなく、多く自転車ファンも楽しみにしているレースです。

スペイン国内で最も重要なシクロクロスの大会の一つが「Copa de España de Ciclocrós(コパ・デ・エスパ―ニャ・シクロクロス)」と呼ばれるものです。スペイン内外のトップレベルの選手が集まり、スペイン各地を転戦しながらレースを繰り広げます。

第2戦目のレースが開催されたElorrio(エルオリオ)には、プロの選手だけでなく、ジュニアやマスターズの選手たちが集まり、レースを繰り広げました。レースの参加者は、全部で約500人。前日から降り続く冷たい雨は、レース当日になっても止むことはなく、絶好の「シクロクロス日和」となりました。

ちなみにこのレースは国際大会で、スペイン国外からも数多くのプロの選手が参加しています。ヨーロッパで、シクロクロスの強い国は、ベルギーやドイツ、オランダのような北ヨーロッパに近い国です。

シクロクロスのコース


レースの見どころの斜度35%の坂を横断する選手たち。(Photo by Yukari TSUSHIMA)

今回のエルオリオでのコースは、全長2600メートル。そのコース上には、砂場や階段、ヘアピンカーブの等の様々な障害物がサイクリストたちを待ち構えます。「とにかく非常にテクニカルでタフなコース」というのがレース前の多くの関係者の意見でした。

そんなこの日のコースの見どころの一つが、スタートして最初にある斜度35%の坂です。選手たちは、この坂のある場所を100mほど横断しなくてはいけません。この場所の足場は、コンクリートで舗装されていないため、自転車のコントロールはもちろん難しく、例え自転車を担いで移動しても転倒する選手が続出します。

自転車競技を良く知っているバスクのファンは、この難所にあつまり、選手たちに声援を送ります。そんな観客の中に、転倒した選手が転がってくることも珍しくはありません。しかし、そんなこともバスクの自転車ファンは慣れたもの。転倒に巻き込まれないように、上手に避けながら選手を応援し続けます。

シクロクロスの魅力


レース後半になると、選手はこのぐらい泥だらけになります。(Photo by Yukari TSUSHIMA)

シクロクロスの魅力の一つは、やはりこのような悪路や障害物を乗り越えて走るサイクリストを見ることです。泥だらけになりながらも、ゴールを目指し、全力疾走する姿は、他の競技ではなかなか見られないものです。

また、シクロクロスのサイクリストたちは、本当に自転車のコントロールが上手です。自転車に乗る人は、彼らのテクニックを見るだけでも、学ぶべきものが多いのではないでしょうか。

実は、ヨーロッパのプロのロードレースの自転車選手の中には、シーズンオフの冬季に、シクロクロスの大会に出ている人が少なくありません。もちろん、気分転換を兼ねて楽しみながらレースを走っているので、本物のシクロクロスの選手に彼らが勝つことは、ほとんどありません。

しかし、自転車を上手にコントロールするためのテクニックを見につけるという点で、シクロクロスが、ロードレースの選手のトレーニングに役立っていると言えるでしょう。

そして、この競技、選手と観客の距離が本当に近いのです。そのため、選手同士が会話をしている声も十分聞き取れますし、なにより、選手の表情をよく見ることができます。


観客はコースのすぐ横で観戦。(Photo by Yukari TSUSHIMA)

またこの競技では、各チームのコーチや監督がコースの外で、直接サイクリストに「ここを走れ!」等のレースの戦略を指示している場面に出会うことも珍しくありません。これも、レース中の選手と観客との距離が非常に近いことからできることです。

もし、言葉の問題がなければ、コーチがどのような指示を選手たちに出しているのかということを注目するのも、シクロクロスを観戦するときの興味深いポイントです。

シクロクロスの選手の特徴


男子エリート部門の優勝者、Vincent Baestaens(ビンセント・バエスタエン)選手。(Photo by Yukari TSUSHIMA)

今回のエルオリオの大会では、男子エリート部門をベルギー人選手のVincent Baestaens(ビンセント・バエスタエン)選手が制し、女子はスペイン人のAida Nuño(アイーダ・ヌーニョ)選手が優勝しました。

ロードレースの選手と比較すると、シクロクロスの選手は、背も高く、筋肉質の選手が多い傾向があります。女子選手も比較的長身の選手が多いことに気が付きます。自転車競技と一口にいっても、競技によって、選手の体型それぞれ異なるので、そのような点も注意しながら観戦すると楽しいかもしれません。

ちなみにこの日、スペインのマスコミ関係者数人と、日本のシクロクロス事情について話す機会がありました。彼らは、日本のベテラン・サイクリストの小坂正則選手について良く知っており、また小坂選手が日本でトップレベルの選手として長い間活躍していることについて、「ほんと尊敬に値することだよ」と強く感銘を受けていました。

シクロクロスの観戦方法


女性サイクリストも数多く参加しています。(Photo by Yukari TSUSHIMA)

自然が相手のシクロクロス。往々にして足元は泥だらけになります。そのため、シクロクロスを生で観戦する場合には、ゴム長靴を着用したほうがよいでしょう。

エルオリオのレース会場では、観客はもちろん、カメラマンまで長靴を履いて仕事をしていました。加えて、暖かな手袋と帽子は必須アイテムです。

シクロクロスは日本でも大会が開催されていますので、ぜひ、レースを生で見に行くことをお勧めします。選手との距離が近く、スリリングなレースを堪能することができますよ。


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