トレーニング効果を高めるトレーニングの7原則とは?
DOトレーニング効果を高めるトレーニングの7原則とは?
競技パフォーマンスを高めるためにはさまざまなトレーニングを積み、体を作り上げ、技術を磨く必要があります。
しかし、無駄な努力をしても競技パフォーマンスを高めることができません。例えばマラソン選手が筋肉をつけすぎてしまったら、体が重くなり、逆にパフォーマンスが落ちてしまいます。
また、いつも同じトレーニングを行っていると、トレーニング効果が頭打ちになったり、全く体格が違う人が同じトレーニングを行っていると、一方で負荷が小さすぎたり、一方では過剰に負荷がかかることになってしまいます。
このように、トレーニングの内容は、競技特性や個人の違いを考慮して決めなければなりません。そこで重要となるのが、「トレーニングの7原則」と言われるものです。
今回は、トレーニングの7原則とは一体どういうものなのかを紹介していきます。
1.強い負荷を与えよ「過負荷の原則」
過負荷の原則は、強い負荷を与えないとトレーニング効果は得られない、という原則です。トレーニングと聞くと、きつい、しんどい、といったイメージを持つ方も多いと思います。しかし、きつくないことをしていてもトレーニングの効果は得られません。
例えば、ダラダラと走っていたり、軽い重りで筋トレをしていても持久力はつきませんし、筋肉も大きくなりません。ある程度の強度でトレーニングを行うことによって初めてトレーニング効果が得られます。
トレーニング効果を得るには、つらいことをしなければならない、ということを伝えているのが「過負荷の原則」です。
2.徐々に強度を高くせよ「漸進性の原則」
ある程度の強度でトレーニングを行っていても、ずっとその強度のままトレーニングを行い続けるとそれ以上パフォーマンスは伸びません。どこかで頭打ちになってしまいます。そうした状況を打ち破るには、強度を高める必要があります。これが漸進性の原理です。
自分がどのレベルにいるのかを常に確認し、トレーニングの内容を見直しながら強度を高めることで、より高いパフォーマンスを発揮できるようになります。
漸進性の原理は、同じ強度では頭打ちになるので、状況に応じて負荷を高める必要があるということです。
3.トレーニングを続けよ「継続性の原則」
当たり前のことかもしれませんが、1回のトレーニングだけではパフォーマンスを高めるほどの効果は得られません。毎日トレーニングを継続してこそパフォーマンスが高まります。
継続性の原理は、継続的にトレーニングを行うことでトレーニング効果が得られる、ということを言っています。
4.目的に合わせよ「特異性の原則」
トレーニングには様々な種類があります。例えばマラソンのように走り続ける持久的トレーニングや筋力トレーニング、低酸素トレーニングなどが挙げられます。
一言にトレーニングと言っても、これらのトレーニングで得られる効果は全く違います。持久的トレーニングでは最大酸素摂取量が高まるのに対して筋力トレーニングでは筋肥大が起こります。低酸素トレーニングでは血液性状の変化も起こります。そのため、目的に合わせたトレーニングを行う必要があります。
例えば、マラソン選手にとって持久的トレーニングや低酸素トレーニングは、パフォーマンスを高めるためには有効です。筋力トレーニングもある程度は必要です。しかし、無駄に筋肉をつけすぎると体が重くなり、パフォーマンスが低下してしまいます。
サッカー選手の場合、長時間走り続ける能力に加え、ボールを持っている時や追いかける時はダッシュする必要があります。また、360°どの方向にも切り返しができるようにしておく必要があります。
野球選手の場合は、素早く飛んでくるボールを目で捉え、追いかけるという能力も必要となります。
こうした能力を鍛えるには、そのためのトレーニングを行わなければなりません。目的に合わせてトレーニングを決定すべきだというのが、特異性の原理です。
5.バランスを意識せよ「全面性の原則」
全面性の原則とは、全ての項目をバランスよく鍛えよ、という原則です。スポーツを行うには基礎となる運動能力に加え、そのスポーツ特有のスキルが必要となります。これらを細かく分けると、持久力や筋力、パワー、スピード、敏捷性、柔軟性、バランスなどの項目に分けることができます。
全面性の原理は、これらの要素全てをバランスよく鍛える必要がある、ということを言っています。特に成長期の子供の場合は全面性の原則は重要となります。全ての項目をしっかり鍛えておくことで、色々なスポーツに適性が生まれます。
6.個人差を考慮せよ「個別性の原則」
個別生の原理は、人はそれぞれ違っているので、その人に合ったトレーニングを実施すべきだ、という原則です。強度はもちろんですが、トレーニングそのものを見直す必要があります。マラソンのタイムは同じでも、持久的な能力が高く、走るフォームが悪い人と、フォームは良くて持久的能力が低い人ではトレーニングの内容が異なってきます。
同じ人でも、その日の健康状態を考慮しトレーニングを決定する必要があります。風邪気味なら強度を落とす必要がありますし、いつもよりフォームが乱れていたらフォームを矯正する必要があります。
体格やトレーニング歴、トレーニング目的は人それぞれ違うので、その人に合わせたトレーニングを行うことでパフォーマンスが高まるというのが、個別性の原理です。
7.目的を持って鍛えよ「意識性の原則」
意識性の原理は、どうしてそのトレーニングを行うのか、トレーニング中にどの筋肉を使っているのかなどを意識してトレーニングを行うべきだという原則です。
コーチがトレーニング目的を把握していても選手に正しく伝わっていなければ、選手は本来意図していたトレーニング効果を得られない可能性があります。また、しっかり伝わっていたとしても、選手本人がそのことをしっかり意識してトレーニングに取り組まなければ効果は小さくなってしまいます。
トレーニングの実施目的や実施方法、そのトレーニングにより得られる効果などを意識して初めて大きなトレーニング効果が得られる、というのが意識性の原則です。
ここまで7つのトレーニングの原則についてお話してきました。様々なトレーニングがありますが、どのトレーニングにおいても今回紹介してきた原則は重要です。
トレーニングを行う選手も、トレーニングを構築するコーチや監督も、このことを忘れずにトレーニングに取り組む必要があります。