サポーターの信頼は絶大!復活の吉田麻也 「7年目の現地評価」
WATCHサポーターの信頼は絶大!復活の吉田麻也 「7年目の現地評価」
プレミアリーグに所属する日本人プレーヤーが、軒並み苦しんでいます。ジェームズ・マディソンという22歳の新星にレギュラーポジションを奪われた岡崎慎司は、18試合中17試合が途中出場でノーゴール。8節のマンチェスター・ユナイテッド戦で初ゴールを決めた武藤嘉紀は、センターで戦えるフィジカルがないと見なされ、ベンチにも入れない日々が続いています。
サウサンプト所属の吉田麻也もまた苦しんでいる選手の1人だと言えるでしょう。現地評価では一体どんな声が上がっているのでしょうか。
メイン写真 photo by Светлана Бекетова
「ヨシダを出せ!」復活を求めるサポーターが続出
サウサンプトンで7シーズン目を迎えた吉田麻也も、序盤戦は苦境に陥っていました。ワールドカップ出場の影響で開幕までにコンディションが上がらず、マーク・ヒューズ監督はウェズレイ・フートと新戦力のヴェステルゴーアを重用。ベドナレクとスティーブンスもいるなかで、4番手以下の扱いとなり、カラバオカップで出番を得るのが精一杯でした。
プレミアリーグ初登場は8節のチェルシー戦でしたが、セインツは無敗の強豪に0-3で完敗。「ジルーに圧倒され、存在感がなかった」と、吉田自身の現地メディアの評価も芳しくありませんでした。
次節のボーンマス戦から3試合はベンチが定位置で、再度起用されたのは12節のワトフォード戦。前節でマンチェスター・シティに6-1で大敗したのが、吉田復帰のトリガーとなったのではないでしょうか。
オフサイドポジションでチャーリー・オースティンのシュートに関与したと見なされた疑惑のジャッジが話題となった一戦でしたが、フートとともに最終ラインを安定させたと守備の評価は上々。「ヨシダが恋しかった」「なぜ干されていたのか、まったく理由がわからない」と、サポーターからはレギュラーに推す声が続出しました。
既にチームの顔となっている吉田麻也も、序盤戦の主戦場はカラバオカップでした。(PHOTO by Baldassi y Pezzotta)
圧巻のパフォーマンスだったチェルシー戦
1-1で引き分けた試合で指揮官の信頼を取り戻した日本代表CBは、フラム戦とマンチェスター・ユナイテッド戦で先発起用されたものの、チームは2試合で5失点を喫して10試合連続で勝利なし。12月3日にマーク・ヒューズ監督が解任となり、2日後にはハーゼンヒュットル監督の就任が発表されました。
新しいボスに認められなければベンチに逆戻りするところでしたが、アーセナル戦とハダースフィールド戦で出場機会を得た吉田は、最終ラインを統率して今季初の連勝に貢献。「後ろは吉田が中心」「前監督時代と見違えるような活躍」「アジア大会の前に彼の代役が必要」と、現地の評判はさらに高まりました。
セント・メリーズに集まる熱狂的サポーターの信頼を得るのは簡単なことではありません。(PHOTO by David Ingham)
今季の吉田のベストパフォーマンスは、年明け初戦のチェルシーとのゲームでしょう。アザール、カンテらのシュートチャンスを的確なタックルで潰し、サイドから上がる多くのクロスが日本代表CBによって跳ね返されました。マン・オブ・ザ・マッチに推した「スカイスポーツ」は、「プレミアリーグで経験を摘んだCBがチャンスの芽を摘んだ。圧巻のパフォーマンス」と絶賛。強豪相手のスコアレスドローのキーマンだったと振り返っています。
ハーゼンヒュットル監督は、「最高の状態とはいえないね。1月の終わりまでマヤを欠くのだから」とコメント。ようやくチームの中心となったベテランCBにはアジア大会が待っており、プレミアリーグ4試合とFAカップ2試合を欠場することになりました。
アジアカップが終わってチームに合流すると「寂しかった」「ヨシダのプレイが観たかった」とサポーターが歓喜(PHOTO by Светлана Бекетова)
メディアとサポーターはリーダーシップを評価
2月上旬にチームに復帰したものの、吉田を欠いた*¹セインツは、2勝2分と絶好調。多くのサポーターが、「スティーブンスよりヨシダ」「マヤは出場すべき」といっていたのですが、指揮官は「ヴェステルゴーア、スティーブンス、ベドナレクの3バックは今は変えられない」と慎重な姿勢を崩しませんでした。
*¹: サウサンプトンの愛称
出番がまわってきたのは、カーディフとアーセナルに連敗した後のフラム戦。チェルシー戦以来のクリーンシートとなる2-0勝利に貢献した吉田について、現地メディアで「彼こそが真のリーダー。その経験を過小評価してはいけない」「イングランドに戻ってきた彼をすぐに起用すべきだった」と称えました。
マンチェスター・ユナイテッド戦ではルカクに翻弄され、決勝ゴールを許してしまいましたが、「彼のコーチングは必要」「毎週出してほしい」「レジェンドのひとり」と、根強いファンの支持が揺らぐ気配はありません。
強豪国の代表クラスが集まるプレミアリーグで、ワールドクラスのストライカーやチーム内のライバルたちと戦い続け、7年もの長きに渡ってクラブとサポーターの信頼を得ている選手はさほど多くはありません。プレミアリーグで最も成功した日本人プレーヤーは、愛するクラブでキャリアを終えるのでしょうか。
アグエロ、ハリー・ケイン、ルカク、イグアイン、オーバメヤンといった錚々たる顔ぶれのストライカーたちを体を張ってストップし続ける背番号「3」の姿を、できるだけ長く見続けていたいと思います。