CNNスポーツアナウンサー・特派員のアマンダ・デイビーズ氏来日インタビュー!
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世界最大級のニュースチャンネルであるCNNで、スポーツアナウンサー・特派員として活躍するアマンダ・デイビーズ氏が3月に来日しました。
アマンダ・デイビーズ氏は2012年にCNNスポーツにアナウンサー・特派員として入社して以来、『World Sport』のアナウンサーを務め、オリンピックやFIFAワールドカップ、世界陸上競技選手権など国際的なスポーツイベントを現地取材してきました。フォーミュラ1世界チャンピオンのルイス・ハミルトンをはじめ、テニスのセリーナ・ウィリアムズ、フットボーラーのデイビッド・ベッカム、陸上のウサイン・ボルトなど、名だたるスポーツ選手たちにインタビューした経験を持ち、スポーツ界で注目を集めたFIFAの汚職スキャンダルやロシアのドーピング論争などの倫理的ニュースも取材するなど、精力的に活動しています。
Sportieでは、アマンダ氏が現在の活躍に到るまでの軌跡と、今後の展望まで話を聞きました。
このキャリアを選んだ理由
ーースポーツジャーナリストを目指したきっかけを教えてください。
12歳の頃から、自分が何をしたいのか、どうなりたいのかがわかっていました。父がスポーツジャーナリストの仕事をしていたので、小さい頃は父にサッカーの試合に連れて行ってもらい、プレス席で父の横に座っていました。そこで彼の仕事ぶりを見て、聞いて、彼の仕事相手とも会い、この仕事に惚れました。一般的な仕事ではありませんが、中学の頃からずっとその夢を実現させるための努力を積んで来ました。
ーー現在のCNNスポーツアナウンサー・特派員として活躍されるまで、どのような経歴を辿ってきたのでしょうか。
私は、与えられた全ての仕事においてベストを尽くすことで、周りの人々からの信頼を得てきたと思っています。最初は、Sky SportsとSky Sports Newsでプロデューサーになりました。そして、BBC(英国放送協会)に転職してスポーツ特派員になりました。それまでは出演してもローカルな番組が多かったのですが、BBC Worldという番組に出演したことで、いきなり数百万人の人の目に映るようになったのです。そして最終的にCNNに移り、雪だるま式により多くの人々に私の仕事ぶりを見てもらえるようになりました。
ーーCNNにいて、一番印象に残っているのは、どのような時でしょうか。
この仕事で好きな瞬間は、仕事につくとき、出張に出るとき、スポーツイベントに行くときなど、どのようなタイミングでも常に、一歩ひいて、その瞬間がいかにユニークか噛みしめる瞬間です。目撃する出来事は必ずしも楽しいことだけではなく、悲しいことや、心情的に流されてしまいそうになることもありました。今回の来日では、来年のオリンピックで聖火リレーが始まる、福島のJビレッジ*を訪れ、スポーツがどのように福島の震災復興に寄与しているか、オリンピックに向けて福島がどうやって再建しているのかを取材しました。
福島では、被災で家を追われた83歳の女性にも話を聞きました。私が2011年に開催されたFIFA女子ワールドカップのなでしこの話をした途端、彼女は満面の笑顔を私に向け、その瞬間が被災地にとってどれほど印象的だったのかを語ってくれました。このような話をしてくれたことを光栄に思いましたし、同様の話を世界中の人々から聞けることがこの仕事をしていて恵まれていると思える点です。
*Jヴィレッジは、1997年に日本初のサッカーナショナルトレーニングセンターとして開設以来、サッカー日本代表のトレーニング キャンプをはじめ、各種カテゴリーの大会・合宿等で多くのチームに利用されてきました。2011年3月に発生した東日本大震災に伴い、施設の営業は休止していましたが、2018年夏に一部営業再開を果たし2019年4月20日、8年の時を経て全面営業再開をいたします。
ーーJヴィレッジ公式サイトより
ーー日々仕事をするうえでモチベーションになることと、報道をする上で大切にしていることを教えてください。
CNNでは、実際に現場に足を運びます。最終的な私の役目は、見聞きし、経験したことを、オーディエンスに伝えて、先入観を崩すことです。これは昨年のロシアワールドカップで私が一番やりたかったことです。2013年以来、冬季オリンピック、コンフェデレーションズカップ、そして、ワールドカップなどで、ロシアを複数回訪れていました。それまで、これほど世界中のメディアでネガティブな報道をされていた事象をレポートしたことはなかったと思います。
私は、ロシア訪問の間、主催者側や、街のフットボールファンたちから話を聞いて、どのようにロシアの人がワールドカップを見て、それについて何を考えているのか、実際のロシアを伝えようとしました。そこで、ワールドカップ開催期間中、毎週“ロシアン・ラウンドテーブル(勉強会/討論会)”を開催し、ロシア人や外国人ジャーナリスト、そしてサッカーファンや活動家と話し、ワールドカップが人々にどのような影響を与え、未来にどのような影響を及ぼすのかを議論する機会を設けたりもしました。
私は、仕事をする際、主に、自分のことをたまたまテレビに映っているジャーナリストだと考えるようにしています。人々に尊敬され、均衡の取れたジャーナリストになれるように、一生懸命努力をしています。
ーー立派な特派員になって、今後どのようなキャリアの発展をお考えでしょうか。
スポーツ界の一番いいところは、新しいスーパースターや議論が発展するような興味深いトピックが常に出てくることです。今後は、大坂なおみ選手に直近12ヶ月の進展に関して取材したり、ラグビーワールドカップや東京オリンピックを追いながら日本の文化に触れることもしていきたいです。
スポーツの一番の魅力は、結果の裏にあるストーリー
ーー日本ではラグビーワールドカップやオリンピックを控えていますが、どんなことを期待しますか?
どちらのイベントも、これまでの開催地と比べて予定通り準備が進んでいる印象です。日本では、2つの全く異なるイベントが開催されます。まず、ラグビーワールドカップに関しては日本全国11会場で開催され、インターナショナルな観点から見ても、とても多くの人が観戦に訪れると聞いています。私のCNNの同僚も20年間勤務していて、一ヶ月の休みの間、家族と過ごすのではなく、来日してラグビーを観戦すると言っていました。
オリンピックに関していうと、なでしこジャパンの練習を観てきましたが、彼女たちは、今夏フランスで開催されるFIFA女子ワールドカップにメインで集中するか、2020年のオリンピックで金メダルを取ることに全力を注ぐかでジレンマを抱えていました。
他の競技に関しても、スケートボードなどの新しいスポーツで、どのような選手が出場するのかに注目していきたいと思っています。また、空手のような歴史的なスポーツとスケートボードのような比較的新しいスポーツがどのように融合するのかを見るのが楽しみです。特に注目しているのはスピードクライミングです。スピード種目は、スパイダーマンのような見た目で、テレビ映像という視点から見ても非常に印象的な種目です。また、サーフィンも映像的に興味深いでしょうし、長きにわたって確立されてきたスポーツで、男女の賞金金額に差をつけないことで男女平等がしっかりと実行されているので、注目しています。
また空手のような歴史的なスポーツからスケートボードのような比較的新しいスポーツまで、広く新種目が追加されたりと、様々なスポーツが交差する場所になってきています。特に注目しているのはスポーツクライミングです。スピード種目はスパイダーマンのような見た目で、テレビ映像という視点から見ても非常に印象的な種目です。また、サーフィンは男女の賞金の額も平等で、長きにわたって確立されてきたスポーツです。
ーースポーツの一番の魅力は何でしょうか。
感情的な動きが一番の魅力です。スポーツでは、世界記録を更新したり、金メダルを取るために予想外のことをしたりと多くの特別な瞬間があります。しかし、私にとって、それらの瞬間と同じくらい大切な瞬間が、オリンピックに出場するだけでもすごいのに、オリンピックまで行き着いた事実だけではなく、その裏にある話を聞くときです。例えば、平昌オリンピックの際にインド代表として冬季オリンピックに初めて出場したルージュ選手のシヴァ・ケシャバンにインタビューをしたことがあります。当たり前ですが、インドでは雪が降らないので、通常のトレーニングができず、代わりにスケートボードを使用したという話を聞きました。また、あるアイスホッケーの選手は背骨を骨折して競技に戻れないと言われていたのですが、18ヶ月後、リンクに復帰しました。こういったストーリーが全ての選手にあります。スポーツの魅力は、記録などの結果だけを語ることにあるのではなく、その結果の裏にあるストーリーを語ることにあると思うのです。
INFORMATION
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写真:郷原麻衣