今さら聞けないアメフトの基本ルール(超初心者向け)
WATCH今さら聞けないアメフトの基本ルール(超初心者向け)
米国で最も人気があるスポーツは何?と問われたら、多くの人が野球じゃなくってアメフトでしょって答えるぐらい日本人は物知りです。米国4大人気プロスポーツと呼ばれるのは、NFL(アメフト)、 NBA(バスケットボール)、 MLB(野球)、 NHL(アイスホッケー)。ここまではよく知られています。
ですが、アメフトの人気が1番なのはわかっていても、他のスポーツに比べてどれだけ違うのかとなると、なかなか実感がわかないのではないでしょうか。
人気を測る格好のバロメーターであるテレビ視聴の統計を見てみますと、2018年に最も観られたスポーツ・イベントはNFLのスーパー・ボウルで視聴率は43.1%、 総視聴者数は約1億人でした。米国に住む人口の約3分の1が観たことになります。まさに国民的行事と言えるでしょう。
それでもまだピンとこないかもしれませんので、この数字を他のスポーツと比較すると以下のようになります。イベント名、視聴率、総視聴者数の順に並べてあります。
■NFL(アメフト):スーパーボウル、43.1%、約1億人
■NCAA(大学アメフト): 全米大学1決定戦、15.6%、約2千8百万人
■NBA(バスケットボール): ファイナル第2戦、10.3%、約1千8百万人
■MLB(野球):ワールドシリーズ第5戦、10.0%、約1千8百万人
■NHL(アイスホッケー):スタンレーカップ第5戦、3.9%、約7百万人
■サッカー:ワールドカップ決勝戦、不明、約1千8百万人
■フィギア・スケート:冬季オリンピック女子決勝、10.4%、約1千7百万人
■ゴルフ:マスターズ最終日、7.9%、約1千3百万人
■テニス:全米オープン女子決勝戦、1.9%、約3百万人
各スポーツの最大イベントにおけるテレビ総視聴者数(2018年)
出典:https://www.sportsmediawatch.com
ご覧の通り、NFLが断トツでトップなだけではありません。大学アメフトの試合でも, 他の人気プロスポーツを始め、ワールドカップやオリンピックのような世界的イベントよりも多く観られているのです。まさに米国のスポーツにはアメフトとそれ以外のものがあると言ってよいかと思います。
ところが、日本ではアメフトの人気はそれほど高いとは言えません。中には一度も観たことがないという人もいるのではないでしょうか。
オリンピック種目ではない、日本にプロ組織がない、NFLで活躍する日本人スター選手がいない、などと様々な理由が考えられますが、ぱっと見にルールがよくわからないということもその1つではないでしょうか。
そこで今回は、アメフトを初めて観戦する人のために、ごくごく基本的なアメフトのルールを紹介してみたいと思います。
試合時間
1クォーター(Q)が15分、それを4回行いますので、合計60分です。ただし、これはボールが動いている間に進んだ時間で、実際に試合が開始してから終了するまでには3時間ぐらいはかかります。
なぜならアメフトはプレイの合間に時計が静止している時間が長いスポーツだからです。加えて、2Qと 3Qの間にはハーフタイム・ショーが行われたりします。4Qが終わった時点で同点の場合は延長戦が行われます。
フィールド
単位にはヤードが使われます。1ヤードは約0.91メートルです。アメフトのフィールドの長さは100ヤード(約91メートル)で、サッカー(約105メートル)、ラグビー(約112メートル)と同じく長方形で少し短いサイズです。
10ヤードごとに長いラインが引かれ、さらに1ヤードごとに目盛りが引かれています。これはアメフトとはフィールド上の陣地を争う競技だからです。
試合人数
1度にフィールドに出るのは各チーム11人、合計22人です。アメフトでは野球のように攻撃側と守備側に分かれて、それぞれにポジションがあります。それに控え選手も加わりますので、実際には1チームが抱える選手数はずっと多くなります。
得点方法
• 攻撃側の選手がボールを持って、相手側のエンドゾーンに踏みこむことを「タッチダウン」と呼び、これが6点です。
• 攻撃側の選手が蹴ったボールが、ゴールポストの中かその上空を通ることを「フィールドゴール」と呼び、これが3点です。
• タッチダウンの後、キックを成功させると、1点が追加させます。キックではなく、エンドゾーン付近から1度だけのチャンスでプレイを選択して、成功すれば2点が追加されます。
• 守備側の選手が、自分のエンドゾーン内でボールを奪うことを「セイフティ」と呼び、この場合のみ守備側チームに2点が与えられます。
攻撃権
• 攻撃側のチームは、ボールを前方にパスをして捕球するか、あるいはボールを持った選手が、前に走ることによって、1ヤードごとの単位で陣地を前に進めます。
• 攻撃しているチームの選手が、ボールを地面に落とすか、守備側チームにタックルされて地面に倒れるとゲームが止まります。これを「ダウン」と呼びます。
• 攻撃チームには4回のチャンスが与えられ、それまでに10ヤードを進めないと、攻撃権が相手チームに移ります。10ヤード以上進めると、「ファースト・ダウン」となり、ダウンのカウントがリセットされます。
• ダウン数とファーストダウンまでのヤード数を表して、例えば「1st&10」、「3rd&5」などと表示されます。
• パスされたボールを守備側の選手が捕球することを「インターセプト」と呼び、この瞬間に攻守交替となります。
4回目の攻撃オプション
4回目の攻撃を失敗すると攻守が交替します。攻撃側のチームには3つのオプションがあります。
1. 「パント」と呼ばれるもので、ボールを敵陣地のなるべく遠くへ蹴ることです。
2. 通常の攻撃オプションで10ヤード前進かタッチダウンを狙う。10ヤードを進めなかった場合、相手チームの攻撃は、その地点から始まります。ギャンブルと呼ばれることもあります。
3. キックを選択してフィールドゴールで3点を狙う。ゴールに失敗すると、相手チームの攻撃はその地点から始まります。
アメフト観戦の醍醐味
アメフトはダウンごとに試合の時計が止まり、次のプレイまでの短い時間内に攻撃オプションの選択が行われ、守備側はそれを予測して対応を決めます。
ボールの位置、残り時間、点差など、プレイを決定する要素は複雑に絡み合い、戦略性というものが大きな比重を占めるスポーツです。ゲーム中に「間」があると言う意味において、日本人が好む野球やバレーボールに通じるものがあると思います。
観戦する方はあれやこれやと次のプレイを予想して、あるいは沈思黙考してもよいですし、ワイワイと仲間と騒ぎながら観るのも、また楽しいものです。
テレビ観戦もよし、試合会場に出かけるのもよし、ぜひ一度アメフトの試合を観てください。きっと新たな楽しみが増えると思います。