新たな独立リーグが発足 -北海道ベースボールリーグ-

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新たな独立リーグが発足 -北海道ベースボールリーグ-

スポーティ

今年は新型コロナウイルスの影響により様々なスポーツやイベントの中止や延期が相次ぎました。野球も例外ではなく高校野球が春夏ともに中止(センバツ及び夏の各地区大会は代替大会が開催予定)になり、プロ野球の開幕が6月19日と約3か月遅れになりました。

そんな中、国内で最も早く開幕したリーグがあります。北海道ベースボールリーグです。日本で4番目となる独立リーグで、予定より1か月近く遅れ5月30日に無観客試合として開幕しました。今回は北海道ベースボールリーグを紹介します。

選手もマスク着用で整列

日本国内で最も早く開幕

練習風景

日本列島が梅雨空に覆われる季節になりましたが、ここ北海道は爽やかな気候で野球をプレーするのには最適のシーズンです。平日の昼過ぎ、仕事を終えた選手たちが球場へやってきて試合準備や練習を始めます。平日の試合開始は15時30分、土日は13時です。

北海道ベースボールリーグに所属する選手たちは、協賛企業で4時間程度働いてから球場に向かい練習、試合に挑みます。各選手の就労先は地元のスーパーや工業、農業などの地元企業が中心で、地域の人材不足を補うという地域貢献の一つでもあります。

北海道ベースボールリーグのユニークな試みはまだあります。現在リーグに所属している球団の美唄ブラックダイヤモンズとレラハンクス富良野BCはともに監督がいないのです。しかし、全く指導者が不在というわけではありません。

リーグ代表の出合祐太さんによると、外部講師が指導に当たっているとのことで、選手個々を育成していくのを目的にしているためです。チーム内に監督を置くとその指導方針に束縛される恐れもあり、また、短期間で監督が交代することで指導方針が目まぐるしく変わってしまうことを防ぐ意味合いもありそうです。あくまで地域での人材育成を最優先という方針なのです。

2球団で運営するも今後は新球団も加入予定

試合風景

創立初年度となる現在は美唄ブラックダイヤモンズとレラハンクス富良野BCの2球団での運営ですが、来季には石狩市に本拠地を置く新球団、石狩レッドフェニックスの加入が決まっています。近い将来には6球団程度まで増やす方針です。出合さんによると、協賛企業と行政が共同して立ち上げていくため、球団を立ち上げるハードルはさほど高くないといいます。

今後の球団増も踏まえて北海道ベースボールリーグは、8月10日に美唄市営球場でトライアウトが予定されています。
>>「トライアウトに関するお知らせ」

現在の選手契約は「レギュラー選手枠(専属契約)」と「育成枠」のみですが、来季からは「プロフェッショナル枠」が導入される予定です。より高いレベルの選手を受け入れるためでもあります。

試合に出場することで選手を育てる

美瑛 山田雄煕投手

美唄ブラックダイヤモンズが本拠地を置く美唄市は札幌からJR函館本線の特急列車で旭川方面に向けて30分余りの距離にある自然豊かな町です。かつては炭鉱の町として栄えた歴史を持っています。そんな美唄市営球場は同市郊外にあります。

試合前、美唄ブラックダイヤモンズの練習でノッカーを務めるのは松本涼太さん。実は、松本さんはリーグ審判部長を務めています。練習中は選手たちとともに汗を流しながら、練習が終わると審判員としてグラウンドに立つ準備をしなければならず、かなり忙しそうに見えます。出合さんは「(ここでは)なんでもしなければならないんですよ」と言います。リーグや球団にかかわるスタッフの野球に対する熱意が伝わる練習風景でした。

そんな2つの球団に所属する選手は、美唄ブラックダイヤモンズが14人、レラハンクス富良野BCが19人です(取材当時の人数。このうちレラハンクス富良野BC の7選手が6月15日に退団するも同21日には新たに2選手が入団し計14人に)。道外出身の選手が多いのも特徴です。四国アイランドリーグplus出身の選手も在籍しています。

選手数が非常に少ないように思いますが、選手に出場機会を与えるためです。出合さんはその理由として、「選手数が多いとベンチにいることが多くなってしまう。選手を育成するのが目的だから」とその理由を説明してくれました。

今季はコロナ禍で開幕が遅れ、且つ2球団での同一カードのみですが、9月下旬にかけてみっちりと73試合ものスケジュールが組まれています。選手は確実に試合に出場する機会が保障されています。こうして育てられるという点が北海道ベースボールリーグの魅力なのかもしれません。

成長が期待の選手も在籍

富良野 輪田涼投手

筆者が現地を訪れた際に開催された試合では、両チームのエースである美唄ブラックダイヤモンズの山田雄煕投手、レラハンクス富良野BCは輪田涼投手が先発し、投げ合いを見せました。山田投手は日本体育大出身の23歳、一方、輪田投手は釧路公立大出身の同じく23歳です。

両投手ともに粗削りながら積極的に攻めていくピッチングを見せてくれました。実戦経験を重ねることで成長する可能性を秘めた選手だといえます。2~3年後には育ってくる選手が出てくることは間違いありません。

筆者が訪れた時点ではまだ無観客での試合開催でしたが、6月13日から観客をスタンドに入れての試合が開催されています。まだ新型コロナウイルスは収束していないものの6月19日から都道府県境を跨いでの移動もできるようになりました。

これから夏にかけての季節は、北海道での観光を兼ねて新しいリーグを観戦してみるのもいいかもしれません。新しい試みに取り組んでいる北海道ベースボールリーグに注目です。

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