MotoGPついに開幕!スピードに飢えたライダー達の戦いを見逃すな!
WATCHMotoGPついに開幕!スピードに飢えたライダー達の戦いを見逃すな!
例年であれば今頃MotoGPは、夏休みの一歩手前、ドイツGPを迎えている頃ですが、今年は新型コロナウイルスの世界的流行により、最高峰クラスに関してはいまだ開幕出来ていません。
しかし、MotoGPを統括しているドルナ・スポーツは、新たな開催スケジュールを発表し、今シーズンは7月19日にスペインのヘレス・サーキットで再開することになりました。
今回の記事は、MotoGP界が自粛期間中に行ってきた取り組みや、急遽動き出した来年のストーブリーグについても交えながら、今シーズンの流れを紹介します。
TOP写真: photo by Box Repsol
2020年 暫定MotoGP年間スケジュール(7月10日現在)
ドルナ・スポーツから発表された2020年のMotoGP年間スケジュールは以下の表の通りです。
世界中の国を転戦して行われるMotoGPですが、新型コロナウイルスの影響でシーズンは開幕戦以降ストップしています。自粛期間中に今年からカレンダー入りしたフィンランドをはじめ、イタリア、ドイツ、イギリス、オランダ、日本、オーストラリア、アメリカが開催中止を発表しました。
主に拠点であるヨーロッパをメインに開催日程が組まれており、アジアやアメリカ大陸など遠征しなければいけない国に関しては開催が困難と判断されたようです。
また、ヨーロッパ以外のアルゼンチン、タイ、マレーシアはいまだ開催日が明らかになっておらず、7月31日までに開催、もしくは中止の発表があるとアナウンスされています。
2020年シーズンは、開幕戦カタールGPを含む最大17レースが開催されることが決まっており、レースの開催日やそれに伴うイベント、観客の収容に関しては開催地の政府の承認が必要となっています。
自粛期間中でも激しいレースが勃発?
明日、31日(日)にバーチャルレース第5戦が開催されます🎮
日本人ライダーも多数参戦しますので、是非応援してください😄
今回こそ表彰台に上がるぞー👀Get set for another Virtual race, this Sunday the 31st of May at 15:00 (GMT+2) 🎮!#VirtualBritishGP 🏁 pic.twitter.com/ustZ0d5pdr
— Takaaki Nakagami (@takanakagami30) May 30, 2020
新型コロナウイルスの影響でレースの中断はもちろん、ライダーはジムや外でのトレーニングも制限されることになり、関係者、ファンは様々な我慢を強いられることになりました。
そんな中行われた試みが、MotoGPのオフィシャルビデオゲーム「MotoGP™20」を使用したバーチャルレースです。
市販されるゲームを使ってMotoGPライダーがオンライン対戦をするという企画は全5戦で行われ、ヨーロッパはもちろん、アジア、北米、中南米、オーストラリア、インドなど世界中に向けて発信されました。
また、バーチャルレース第3戦の『Red Bull Virtual Grand Prix of Spain』では、アフリカ諸国でオートバイを使って医療を届けるために活動している非利益団体『Two Wheels for Life』を支援するため、イベントを通じて寄付金を募るなどチャリティーイベントという側面もありました。
感染症対策の中で行われたこのエンターテイメントは、普段とは違うライダー達の素顔にも触れることが出来き、ファンにとっても楽しいひと時を送ることが出来たのではないでしょうか。
2020年開幕前に活発化した2021年ストーブリーグ
2020年シーズンがまだ開幕していないというのに、再来年に向けての動きが活発化しているMotoGPクラスの移籍話。真っ先に動いたのが、王者奪還を狙うヤマハのワークスチーム(メーカー直営のチームのこと)、Monster Energy Yamaha MotoGPでした。
ヤマハは、マーベリック・ビニャーレス選手が残留、昨年ヤマハのサテライトチームからMotoGPクラスのデビューを飾ったファビオ・クアルタラロ選手が、ワークスチームに加入することを発表し、フレッシュで勢いのあるふたりに2021年シーズンを託しました。
王者マルク・マルケス選手に対抗できるポテンシャルを持つビニャーレス選手と、ルーキーイヤーでいきなりマルケス選手を脅かしたクアルタラロ選手のコンビは大注目です!
クアルタラロ選手のヤマハワークス入りが確実になり、MotoGPのアイコンともいえる存在、バレンティーノ・ロッシ選手のヤマハワークスチームの離脱が確実になりました。
長らくヤマハのワークスで戦ってきた最年長ライダーは、来年以降のMotoGP参戦も望んでいることを発表。まだ正式な発表はありませんが、クアルタラロ選手が在籍するサテライトチーム、Petronas Ymaha SRTに移籍することが予想されます。
2015年にMotoGPに復帰して以降、着実に進化を続けているスズキ。スズキのワークスチームであるTeam SUZUKI ECSTARは、アレックス・リンス選手とジョアン・ミル選手の残留を発表。若く有望なふたりのライダーでチャンピオンを狙います。
チャンピオンチームであるホンダのワークスチームRepsol Honda Teamは絶対王者マルク・マルケス選手のチームメイトとして昨年のMoto2王者であり弟のアレックス・マルケス選手を迎え入れました。
しかしまだ開幕されていない中、来年のラインナップに加わるのはアレックス選手では無く、KTMのエースライダーであるポル・エスパルガロ選手という情報が飛び交っています。
そんなKTMも来年のラインナップを発表し、ワークスチームであるRed Bull KTM Factory Racingはブラッド・ビンダー選手を継続参戦させ、KTMのサテライトチームRed Bull KTM Tech3のミゲル・オリベイラ選手をワークスチームに昇格させることに決めました。
また、今季からRed Bull KTM Tech3に参戦するイケル・レクオーナ選手は2021年も継続参戦し、ドゥカティのワークスチームからダニーロ・ペトルッチ選手が電撃移籍することなりました。
そのため、KTMのワークスで活躍していたポル・エスパルガロ選手のチーム離脱が決定。まだ正式発表はありませんが、Repsol Honda Teamへの移籍が確実視されています。
ペトルッチ選手が抜けたドゥカティワークスは、ドゥカティのサテライトチームであるPramac Racingからジャック・ミラー選手の昇格を発表。ドゥカティのエースであるアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手はいまだチームとの契約交渉が進んでおらず不透明な状況です。
ドヴィツィオーゾ選手の残留か、はたまた他のライダーが残り1席しかないワークスの座を掴み取るのかにも注目が集まります。
開幕戦の勢いそのままに!Moto2クラス参戦の長島哲太選手に大注目!
最高峰クラスであるMotoGPはキャンセルされたものの、開幕戦が行われたMoto2クラスとMoto3クラス。Moto2クラスでは、私たち日本人にとって最高の結末が待っていました。それが今年トップチームであるRed Bull KTM Ajoに移籍した長島哲太選手の初優勝でした。
2014年にMoto2クラスへのフル参戦を開始した長島選手は、この年に負った怪我の影響で満足にレースを戦うことが出来ず、その後はFIM CEVレプソル選手権を戦い、2017年にMoto2へ復帰を果たしました。
しかし、昨シーズンまでのベストリザルトは、5位で優勝はおろか表彰台の経験もありませんでした。そんな中トップチームへの移籍というチャンスを掴んだ長島選手は、いきなり開幕戦で強さを見せつけました。
予選ではミスがあり14番手と後方からのスタート。しかし、決勝日の朝のウォームアップ走行ではトップタイムを記録します。決勝は日が暮れた夜に行われるのでウォームアップと路面の状況が違うとはいえ、ウィークを通じて長島選手はアベレージが高く、安定したペースを刻んていており決勝に向けて着実に準備が出来ている印象でした。
レースは序盤から積極的に攻めてどんどん順位を上げていき、残り3周のホームストレートエンドで一気に2台をオーバーテイクしトップに浮上。そこからは後続を突き放し見事GP初優勝を達成しました。
優勝した長島選手は、ウィニングランで、天に人差し指を指さしていました。この長島選手の優勝が、より一層感動的になったのには理由があります。
今から10年前、同じくカタールで行われたMoto2クラスの開幕戦で富沢祥也選手が圧倒的なスピードを披露し初優勝を果たしています。
長島選手の2歳年上の富沢選手は、幼少期から長島選手の友人でした。富沢選手は、その年のサンマリノGPで命を落としてしまいましたが、富沢選手の優勝から10年後、同じカタールの地で優勝した長島選手の姿は、我々日本人ファンだけでは無く、世界中のファンが心を震わせたのではないでしょうか。
優勝という目標を達成した長島選手。今年のチャンピオン争いの主役としてどのような走りを見せてくれるのかに注目しましょう!
次世代を担う6人の日本人ライダーが参戦するMoto3クラスも見逃せない!
日本人ライダーが6人が参戦するMoto3クラス。優勝経験のある鈴木竜生選手や鳥羽海渡選手に加え、4年目を迎える佐々木歩夢選手、参戦2年目の小椋藍選手、今年のルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙う山中琉聖選手と國井勇輝選手が今シーズン激しいMoto3クラスで戦います。
開幕戦では参戦2年目の小椋藍選手がいきなり3位表彰台を獲得し、鈴木選手もポールポジションを獲得、決勝は5位入賞と日本人ライダーが常にトップ集団にいる状態が当たり前になってきました。
開幕戦終了後は、新型コロナウイルスの影響で辛い自粛期間を過ごした選手たちですが、各トレーニングを積み、状態はしっかりと仕上がっている様子。
今年は、日本GPが中止になってしまい、母国GPで日本人ライダーが表彰台を独占、という夢が無くなってしまいましたが、日本人ライダー同士で優勝を争うというレースが今年何度も行われるのではないでしょうか。
チャンピオン獲得、表彰台、ルーキー・オブ・ザ・イヤーと獲るなど様々な目標に向かって6人の日本人ライダーが今シーズンに向けて調整しています。今年は例年以上にMoto3クラスに注目が集まりそうですね!
観戦方法
今年のMotoGPは基本的に無観客で実施される予定で、毎年栃木県にあるツインリンクもてぎで行われる日本GPが中止になってしまいました。今年に関しては、観戦はテレビやインターネットがメインになります。お家で気軽にMotoGPが楽しめることが出来ますので、視聴方法やチャンネルなど確認してみてください!