與那嶺恵理選手も出走。セラティツィ・マドリード・チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ2020レースレポート

與那嶺恵理選手も出走。セラティツィ・マドリード・チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ2020レースレポート WATCH

與那嶺恵理選手も出走。セラティツィ・マドリード・チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ2020レースレポート

スポーティ

毎年ブエルタ・エスパーニャと同時開催されている女子のレースであるセラティツィ・マドリード・チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ(Ceratizit Madrid Challengeby La Vuelta)。このレースに今年も、日本の與那嶺恵理選手が出走しました。11月上旬に開催されたこのレースの様子をレポートします。

TOP写真:第1ステージのスタート前にチームメイトとおしゃべり中の與那嶺選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.

初日の最大の敵は、トレドの強風。

第1ステージスタート前のアレ・BTC・リュブリアナ。Photo by Yukari TSUSHIMA.

今年最後の女子のUCIロードレースとなったセラティツィ・マドリード・チャレンジ・バイ・ラ・ブエルタ。今回は3日間の開催となり、第1ステージはスペインの古都トレド(Toledo)でのレースとなりました。

トレドの郊外に設定されたスタート地点に集まったのは16チーム。すでにシーズンオフに入ったチームも少なくなかったため、出走選手も84人というこじんまりした大会となりました。

初日は、トレドをスタートしエスカロナ(Escalona)をゴールとする、基本的に平坦ですが、ゴール前の400mは登りゴールとなる85kmのコースです。加えてこのレースの日は時速60kmの強風が終始吹きつけるというコンディションとなりました。

この日から3日間のレースに出走する與那嶺恵理選手にとって、この日のレースは約1ヶ月ぶりのレース。所属チーム内で新型コロナの感染者が出たため1ヶ月自宅待機となっていた與那嶺選手でしたが、久しぶりのレースとなったこの日は、笑顔でスタートラインにつきました。

レースは、スタート直後から風が強く吹きつけたためか、すぐには逃げる選手が現れません。最初に集団から飛び出す選手が現れたのは、スタートして25km地点を過ぎてからでした。しかし、メイン集団は優勝候補を抱えるワールドツアーチームがしっかりとコントロールしており、逃げる選手に決定的なタイム差を与えることなく、有力選手は一団になったままレースが進みます。

レースの途中で、オーガナイザーがコースを間違えたり、終盤で多くの選手が巻き込まれる落車が発生するなど、落ち着かない状態でのレースが続きます。

そして、エスカロナの町入った集団は、ゴール前の最後の上りに差し掛かります。この上りを一番最初に駆け上がってきたのは、オランダのロレーナ・ビベス選手(Lorena Wiebes/TeamSunweb)。與那嶺選手も無事にメイン集団でゴールし、この日のレースを終えました。

個人タイムトライアルは、昨年と同じコースで同じ優勝者

タイムトライアルをスタートする與那嶺選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.

第2ステージは、マドリード郊外のボアディーリャ・デル・モンテ(Boadilla del Monte)という街が舞台となった約9kmの個人タイムトライアル。昨年のこのレースで使用された同じコースを、今年も選手たちが走ることになりました。

この日も、コース周辺の空は暗い雨雲に覆われ、強風が吹きつけます。レース前半にもっとも厳しい上りを走ったあとは、広大な原野の中を走るこの日のコースでは、風が選手たちに与える影響が心配されました。

レースは、11時からスタート。この日は比較的早めの出走となった與那嶺選手。レース中に一瞬雨がぱらつきましたが、路面をぬらすほどのものではなかったため、順調にコースを走り、この日のレースを終えました。與那嶺選手も雨がいつ降るのかかなり気にしていたようで、ゴール後最初の一言は、

よかったぁ。雨振る前にゴールできて。

レースも中盤になると風は弱まるものの、雨が降りはじめます。路面はしっかりと濡れてしまったため、後半にスタートする選手はかなり神経質なレース展開となりました。

この日のステージを制したのは、昨年もこのステージを優勝したリサ・ブレンナウアー選手(Lisa Brennauer /Ceratizit-WNT Pro Cycling)。雨が降っている中でのスタートだったにもかかわらず、いつもどおりの実力を発揮。そしてこの日ブレンナウアー選手は総合順位でもトップになりました。

雨が降っていたから、カーブでは気をつけてブレーキをかける必要があったけど、うまく走れてよかったと思います。雨が降る前にスタートした選手たちが気にはなりましたが、自分の与えられている情況で精一杯ベストを尽くそうと思いました。

とブレンナウアー選手は、レース後のインタビューに応えました。

最終日は平坦コースのサーキットレース

第3ステージを走る與那嶺選手。Photo by Yukari TSUSHIMA.

レース最終日は、昨年同様マドリードでのサーキットコース。しかし今年はマドリードを南北に貫くルートだけが利用されるコースとなったため、標高差がほとんどないサーキットコースで距離は98km。ハイペースのスプリンター向けのレースになることが予想されました。

朝11時のスタート直後に1人の選手が転倒するも、その後は逃げる選手も現れず、大集団のままレースが進みます。

レースが中盤を過ぎたころ、この時点で総合2位につけていたエリサ・ロンゴ選手(Elisa Longo/Trek)が、スプリントポイントでのボーナスタイムを狙って集団から飛び出し、しばらくの間1人で逃げ続けます。しかし、彼女の逃げもレースの終盤に、メイン集団に吸収されることになりました。

ゴールまで残り5kmとなったころ、與那嶺選手がチームメイトのスプリンターであるマルタ・バスティアネリ選手(Marta Bastianelli)のアシストするために、メイン集団の前方に位置します。そして最後のカーブを曲がると、ほぼ一直線のスプリント。

このスプリント合戦を制したのはエリサ・バルサモ選手(Elisa Balsamo/Valcar – Travel&Service)。今年8月のヨーロッパ選手権のアンダー23で優勝した選手が、この最終ステージの優勝者となりました。

総合優勝のブレンナウアー選手は、男子の総合優勝者プリモ・ログリッジ選手とともにポディウムへ。Photo by Yukari TSUSHIMA.

総合順位は、昨年優勝したブレンナウアー選手の2連覇。安定した強さをほこるブレンナウアー選手の強さが十分に発揮された形で、今年最後の女子のレースが幕を下ろしました。