自分のランニングフォームを分析してみよう!

自分のランニングフォームを分析してみよう! DO

自分のランニングフォームを分析してみよう!

スポーティ

例年ならば“マラソンシーズンの真っ只中!”といった時期ですが、コロナ禍で目標を見失ってしまったり、モチベーション維持に苦しむランナーの方も多いのではないでしょうか。そんな今だからこそ、自分のフォームと向き合い、改善に繋げる機会にしてみてはどうでしょうか。

フォームを変える目的は前向きなものですが、慣れない走りをすることで今まで痛めたことのない箇所に痛みが生じるといったリスクもあります。なので、レースの機会がなかなかない今をフォームの分析と改善に使いながら、未来へのステップアップ期間に位置付けることで、大会出場が決まった際には記録の更新!それから、健康に長く走り続けるためにも土台となる力を手に入れておきましょう!

ランニングフォームのポイント

ランニングフォームは、オリンピック選手であっても同じフォームではないように、骨格や筋力などの違いによって、良いフォームは人それぞれに異なります。

例えば、着地方法(つま先、足裏全体、かかと)が違えばそれぞれにメリット・デメリットがあり、痛めやすい箇所も違います。あなたにとってどの着地方法がメリットの方が大きいのかということが重要になります。

基本的には、スポーツ障害(故障)が起こらないようならフォームを変える必要はないと考えますが、効率的なフォームにすることでスポーツ障害がより起こりにくくなることや、疲れにくく、スピードが上がりやすくなるという効果もあります。

効率の良い走りをしていてもオーバーワークによってスポーツ障害が起こることはありますが、自分のフォームの特徴やリスクを知っておくことで、適切なケアができスポーツ障害の予防に繋げることができます。共通するポイントや、走法の特徴についてみていきましょう。

◇体の軸

 耳、肩、腰が一直線上にあることが基本となります。この軸が安定していないと、体のある箇所への負荷が大きくなりスポーツ障害が起こりやすくなってしまいます。体の歪みや、体幹の弱さが原因のことが多く、痛みの出る場所はフォームによって足部や脚部、腰など様々です。

◇左右差

人には利き足や利き手があるように左右差があることは当然なのですが、左右差が大きいと、痛みが出るのはいつも決まった側ということが起こります。基本的には利き足でない方に痛みが発生しやすいので、トレーニング後には利き足と逆のあしをストレッチングやアイシング、マッサージなど、ケアをしっかりしてあげると良いでしょう。
また、スポーツ歴(テニスやバドミントンなど片側をたくさん使う競技)や怪我歴によって左右差が大きい場合もあるので、原因を把握しケアに繋げることが大切です。

◇着地方法

◎つま先着地(フォアフット走法)
陸上競技の短距離や中距離で多く用いられてきた走法で、最近では男子マラソン日本記録保持者の大迫傑選手が取り入れたことで、マラソンや長距離でも注目されています。着地位置は体の真下から、やや後方になります。

〇メリット:
・着地時にブレーキをかけずに、そのまま推進力へと移行できるため、効率的でスピードが出やすい。
・接地時間が短く、あし(足、脚)への負担が少ない。
・エネルギー消費を少なく抑えられる。
〇デメリット:
日本人の体形だと習得が難しく、無理に変えようとするとスポーツ障害が起きやすい(骨盤が後傾しやすく、重心がかかと側にあることが多いため)。
※スポーツ障害が起こりやすい箇所:アキレス腱、ふくらはぎ

◎足裏全体着地(ミッドフット走法)
陸上競技の長距離やマラソン以上の距離を走るのに比較的適した走法です。現在かかと着地で走っていて、膝に痛みが出てしまうランナーの方にオススメです。着地位置は体のやや前から、ほぼ真下となります。

〇メリット:
・着地の衝撃を足裏全体だけでなく全身で受け止めるため、膝関節などへの負荷が分散され、スポーツ障害が起こりにくい。
・体幹が安定し、上下動が少なくなることでエネルギーの消耗を抑えられる。
〇デメリット:
強いて挙げるとすれば、習得に時間がかかりやすく、慣れるまでスピードが上がりにくいことがある。
※スポーツ障害が起こりやすい箇所: スポーツ障害のリスクは低い。かかと着地に比べると、アキレス腱、ふくらはぎへの負荷が大きい。

◎かかと着地(ヒールストライク走法)
日本人ランナーの中では最も多い走法です。着地位置は体の前方になります。ウォ―キングではかかと着地が良いとされています。

〇メリット:
日本人の体形に合っているため習得しやすく、ランニング初心者でも取り入れやすい(骨盤が後傾しやすく、重心がかかと側にあることが多いため)。
〇デメリット:
接地時間が長く、着地時にブレーキがかかることで膝関節などへの負荷がかかり、重心移動が上手くできていないとスポーツ障害の原因となりやすい。
※スポーツ障害が起こりやすい箇所:膝、腰

◇プロネーション

着地時に衝撃を分散するために足首が内側に倒れ込む(土踏まずのアーチが潰れるようにして衝撃を分散する)動きを“プロネーション(回内)”と言い、適度な角度で倒れ込んだ状態を“ニュートラルプロネーション”と言います。これは人体にとって必要で自然な動きなのですが、角度によってはスポーツ障害の原因となることがあります。下記はいずれもスポーツ障害のリスクがあります。

〇オーバープロネーション
足首が内側へ倒れ込む角度が大きい状態です。過回内とも言います。
・起こりやすいスポーツ障害:足底筋膜炎、腸脛靭帯炎、アキレス腱炎、シンスプリント、腰痛、扁平足、外反母趾など
・改善方法:体幹や臀部、足首や足裏の筋力、後脛骨筋を鍛える。足首を内側へ返すトレーニングを行う。オーバープロネーション向けのシューズやインソールを使用する。

〇アンダープロネーション(サピネーション)
オーバープロネーションとは逆に足首からかかとが外側に倒れ込む状態です。過回外とも言います。O脚気味のランナーに多く、ハイアーチになりやすい傾向があります。
・スポーツ障害が起こりやすい箇所:腰、股関節、膝、足首、足裏など
・改善方法:足首を外側へ返すトレーニングを行う。アンダープロネーション向けのシューズやインソールを使用する。

◇ピッチ走法・ストライド走法

走るスピードは“ピッチ×ストライド”で決まり、速く走るにはピッチかストライド、もしくはその両方を上げる必要があります。トレーニングを重ねることでどちらも自然と伸びていくことが多いですが、それぞれの特徴を知り、自分の方向性を見付けられると良いでしょう。

〇ピッチ走法
歩数、足の回転数を上げる走法で、ランニング初心者や、マラソンなど長い距離を走る際に比較的向いています。
・メリット:あし(足、脚)への衝撃が少ないため、スポーツ障害のリスクが低い。
・デメリット:スピードが上がりにくく、速く走るためには心拍数が上がりやすくエネルギーの消耗が大きい。
  
〇ストライド走法
歩幅を大きくとって走る走法で、陸上競技のトラック種目などスピードが必要な種目に比較的向いています。
・メリット:スピードを出しやすい。ピッチ走法に比べてエネルギーの消耗を抑えることができる。
・デメリット:あし(足、脚)への衝撃が大きく、スポーツ障害が起こるリスクが高いため、腸腰筋や大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、ふくらはぎなどの筋力や、股関節の柔軟性が必要となる。

◇膝とつま先の向き

着地時に膝とつま先が同じ方向を向くことが大切です。バラバラの方向を向いていると、膝関節や足部に様々なスポーツ障害が起きてきます。原因は骨盤や足関節の歪みや股関節を動かす筋肉などが考えられます。
・起こりやすいスポーツ障害:腸脛靭帯炎、鵞足炎、シンスプリント、足底筋膜炎など
・改善方法:股関節周りのストレッチング、臀筋群のトレーニング、足底筋のトレーニングなど

フォームチェックしてくれるシューズの紹介

フォームを自分だけで分析したり評価するのは簡単ではないですが、映像に録って自分の走りを見てください。思っているよりも足が上がっていなかったり、背中が丸まっているなど、自分の感覚とは違う部分を発見できるかも知れません。この気付きが大切です。また、専門家に見てもらうのも良いでしょう。

最近では、履いて走るだけでフォームを可視化して評価・アドバイスしてくれるシューズも発売されているので紹介します。

ランナーの目標達成をサポートするスマートシューズORPHE TRACK

◇計測できる指標
・着地位置(つま先、足裏全体、かかと)
・プロネーション角度
・ストライドの高さ、長さ
・ピッチ数
・接地時間
・着地衝撃力

ORPHE TRACKは、データを計測するだけでなく、評価・アドバイスもしてくれるので、誰でもフォームの改善に活用しやすくなっています。

走るペースや、コースの状況(平地、上り坂、下り坂など)によってフォームは大きく変化するので、ORPHE TRACKの数値や評価も変わってきます。

様々な目的・内容の練習でORPHE TRACKを活用しながら、ご自分の走りを分析してみると変化が見えて、多くの発見があると思います。坂道が苦手という方や、後半苦しくなってから粘れないという方も、フォームの変化を知ることで意識すべき箇所や、必要なトレーニング(改善策)が見付かるかも知れません。