好調クラブはGKがすごい! プレミアリーグの守護神たちのビッグセーブ集

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好調クラブはGKがすごい! プレミアリーグの守護神たちのビッグセーブ集

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世界最高水準のGKが揃うプレミアリーグ

マンチェスター・ユナイテッドのデ・ヘア、アーセナルのチェフ、チェルシーのクルトワ、エヴァートンのハワード、マンチェスター・シティのジョー・ハート…。

2014年のワールドカップで活躍した世界一といわれるゴールキーパー、マヌエル・ノイアーこそいないものの、プレミアリーグのGKは世界一の水準といわれています。今季は、ベゴヴィッチが移籍した後のストークのゴールマウスに立つジャック・バトランドが急成長を遂げており、夏に開催されるユーロでは、イングランド代表の正GKジョー・ハートもうかうかしてはいられません。

これだけ素晴らしいGKが、ひとつのリーグで活躍しているとなると、こんな興味が湧いてきませんか?「最高のGKは、誰なのか?」と。

イギリスメディア「スカイスポーツ」が、1月7日にプレミアリーグのゴールキーパーに関する興味深い記事を掲載していました。

「Who has been the Premier League’s best goalkeeper so far this season?(今季のプレミアリーグで、ここまで最高のGKは誰か)」。

この記事では、20節終了時点でのGKにまつわるさまざまな数字を算出。

セーブ数、セーブ率、ゴールにつながるミス、ボールを落としてしまった回数、パスの精度。これらを見ると、それぞれのGKの活躍ぶりと特徴がわかり、冒頭の問いに対する答えに近づけるのです。

最も興味深い数字は、「セーブ率」です。

これは、「ゴールの枠内に打たれたシュートのうち、何本をセーブしたのか」を示すものですが、1位はストークのジャック・バトランド。22歳と若く、今季初めてレギュラーポジションをつかんだGKは、78.6%という高い数字でリーグのトップに立っています。

2位は、チェルシーのジョン・テリーに「彼は勝ち点を15は上乗せしてくれる」とまでいわしめたペトル・チェフの78.1%。3位はリーグ最少失点を続けているトッテナムのウーゴ・ロリスで76.6%。以下、ウェストハムのアドリアンが75.3%、ダヴィド・デ・ヘアの74.1%と続いています。

ここで、今シーズンのジャック・バトランドのビッグセーブの数々を見ていただきましょう。彼の魅力は「判断力とポジショニングのよさ」。プレイを見ると、派手なダイビングはさほどないのに、普通はなかなか止められないシュートを枠の外に弾きだしているのがわかります。


プレミアリーグ22節のストークVSアーセナルは、まさにGKの競演。バトランド、チェフともビッグセーブを連発し、両者譲らないまま0-0のドローで終わりました

セーブ率が高いGKがチームの失点を減らしている

セーブ率ランキングが興味深いのは、クラブ別の失点数とリンクしているところです。

20節終了時の失点を見ると、いちばん少ないのがトッテナムの16、2位がマンチェスター・ユナイテッドで17、3位アーセナルが18、4位クリスタル・パレスの19、5位がマンチェスター・シティとストークの21となっています。

クリスタル・パレスにはアレックス・マッカーシーというGKがいるのですが、彼は秋までは開幕当初の6試合で素晴らしいプレイを披露し、セーブ率3位につけていながら、秋に負傷してしまったために「10試合以上出場したGKで算出」という今回の基準から漏れてしまったのです。一方で、セーブ率4位のアドリアンが所属するウェストハムは、失点の少なさでは全体の8位と上位につけており、GKのセーブ率の高さがチームの失点数に大きな影響を与えているのが見て取れます。

2本めのビッグセーブ集は、アーセナルを変えたとまで絶賛されているチェフのプレイです。彼の凄さは、「守備範囲の広さと統率力、冷静さ」。

シュートを打たれる際に、後ろに逸らさないように体で面を作るプレイスタイルは、アマチュアのGKの参考になります。DFの選手への指示は、ベジェリンやモンレアルにはスペイン語、コシールニーはフランス語、メルテザッカーはドイツ語、その他の選手は英語で出しているそうで、語学力をベースとした彼の統率力が、アーセナルの最終ラインに安定をもたらしているのです。


アーセナルの試合を見ると、味方ボールのときのチェフはハーフライン近くまで上がっていることもしばしば。ハイボールに強く、果敢な飛び出しでDFのマークミスを拾っています

ミスの少なさやキックも合わせた総合力ではチェフとデ・ヘア?

セーブ率の次に、「ゴールにつながるミス」のデータを見てみましょう。

「いちばんポカが多いGK」は、ノリッジのラディとボーンマスのボルツで、それぞれ3回。不安定と批判が多いリヴァプールのミニョレと、ビッグセーブもミスもそれなりにあるロリスが2回で続き、チェフやデ・ヘア、ジョー・ハートなどの名手が1回で並んでいます。20クラブのGKのなかで、ノーミスのGKはひとりだけです。誰あろう、ジャック・バトランド!ここまでの数字からは、「最高のGKはバトランド」と結論を出したくなります。

しかし、そのジャッジはまだ早いようです。「ファンブルしてボールを落とした回数」では、3回のバトランドは、4回落としたボルツとスウォンジーのファビアンスキに続く3位。パスが通る率は15位と、下から数えたほうが圧倒的に早いポジションに甘んじています。ストークには、クラウチやアルナウトヴィッチといった高く強い選手が多く、ロングパントを前線に蹴り込むことが多くなり、キックの精度が落ちるという事情はあるにせよ、1位のロリスの64%に対して47.4%は低すぎるでしょう。

パス成功率のでロリスに続くのは、ミニョレ、ファビアンスキ、デ・ヘア、チェフ。バトランドが将来性のあるGKで、代表チームの先輩であるジョー・ハートをしのぐ結果を出しているのは間違いありませんが、総合力で見ると、どの部門でもいいほうから5位以内に入っているチェフとデ・ヘアを上とするのが妥当なのかもしれません。

横のボールへの強さとキックのうまさは、デ・ヘアはプレミアリーグNo.1ではないでしょうか。並みのGKなら触れないような至近距離からのシュートを信じられない瞬発力でストップし、オールド・トラフォードのサポーターを沸かせるのは日常茶飯事です。超絶ビッグセーブを堪能できる動画をご覧ください。


2013-2014シーズン、2014-2015シーズンと2年連続でチームの年間MVPに選ばれたデ・ヘア。不振のチームを何度救ったことか

「スカイスポーツ」は、前半戦のほとんどを負傷で棒に振ったため、ランキングに入らなかった守護神を忘れてはいけないとばかりに取り上げています。チェフからレギュラーポジションを奪った男、チェルシーのティボ・クルトワ。彼のよさは、総合力と安定感。ボールに対してぎりぎりまで動かず、見極めがしっかりしているところです。ストライカーとしてはどこに蹴れば決められるのかがわかりにくく、1対1の大チャンスをブロックされるシーンが目立ちます。シュートをキャッチするのか弾き出すのかの判断が速く、プレイにメリハリがあるので、手に当てたボールを詰められて決められるシーンが少ないGKでもあります。


23歳と若いクルトワは、伸びしろも充分。ベルギー代表は、この先10年はGKで苦労しないといわれています

プレミアリーグのGKは個性派揃い。2014年ワールドカップブラジル大会の決勝トーナメント1回戦、対ベルギーで1試合16セーブの新記録を出したエヴァートンのアメリカ代表GKティム・ハワード。クルトワのいない間、安定したプレイでチェルシーのゴールを守ったアスミル・ベゴヴィッチ。マンチェスター・ユナイテッドで活躍した父譲りのダイナミックなセーブでサポーターを沸かすカスパー・シュマイケルなど、プレイや特徴を紹介できなかったGKにもまだまだ名手が控えています。

試合を見る際にはボールを追うだけでなく、味方に指示を出しながら最適なポジションを取り続けるGKの動きをチェックして、ワールドクラスのビッグセーブがどういうプレイから生まれるのかを愉しんでいただければと思います。

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