アザール移籍、補強禁止…フランク・ランパードはチェルシーを救えるか?
WATCHアザール移籍、補強禁止…フランク・ランパードはチェルシーを救えるか?
18歳未満の選手の海外移籍に関するルールに違反したとして、2019-20シーズンの2度のトランスファーウインドウで補強禁止処分となったチェルシー。
アブラモヴィッチオーナーとディレクターのマリナ・グラノフスカイア女史は、昨季の主力を全員プロテクトしたかったはずですが、6月上旬という早い時期にエデン・アザールがレアル・マドリードに移籍することになりました。
7月4日に監督として古巣に復帰したフランク・ランパードは、実績がある選手を残すかと思いきや、構想外の選手を容赦なく放出しています。8月5日にガリー・ケーヒルがクリスタル・パレスに入団し、デッドラインデーにはダニードリンクウォーターがバーンリーにローン移籍。
サッリ監督のチームで最終ラインを統率していたダヴィド・ルイスは、ライバルのアーセナルに売却しました。
シーズンが開幕した後、8月末にもザッパコスタ、バカヨコ、ババ・ラーマン、ケネディを他国のクラブに貸し出しています。4節までで1勝2分1敗と出遅れ、レスターやクリスタル・パレスを上に見る11位。
贅肉を削ぎ落したチームは、TOP4フィニッシュをめざせる選手層をキープできているのでしょうか。ランパード監督のチームづくりに迫ってみましょう。
メイン写真 photo by CFCUnofficial (Chelsea Debs)
ランパード監督にとって、カンテのリタイアは序盤戦における最大の誤算?(PHOTO by @cfcunofficial (Chelsea Debs) London)
DFの連携不足とカンテの不在に悩まされる序盤戦
1年2ヵ月前、ダービー・カウンティで指導者としての第一歩を踏み出したチェルシーのレジェンドは、チャンピオンシップにおいては28試合で4-3-3、19試合で4-2-3-1を採用していました。
チェルシーに長く在籍するベテランにとっては、いずれも経験があるフォーメーション。GKケパと最終ラインのアスピリクエタ、クリステンセン、ズマ、エメルソンが戸惑うことはなさそうですが、開幕からの4試合で9失点の守備陣は、CBとSBの連携がうまくいっていません。
開幕戦でマンチェスター・ユナイテッドにカウンターから4発を喰らった後は、ズマのポジショニングの悪さとアスピリクエタの軽率なチェックが3つの失点の原因となっています。
右サイドにおける苦戦は、カンテがいれば解決するのかもしれません。ジョルジーニョとコンビを組むはずだったセントラルMFは、開幕戦でベンチスタートと出遅れたうえに、ノリッジ戦とシェフィールド・ユナイテッド戦を負傷欠場。運藤量が豊富でインターセプトもタックルも得意なMFが戻ってくれば、ランパード監督の悩みはひとつ減るかもしれません。
DFの股間を抜くシュートが得意なタミー・エイブラハムは、サポーター待望の生え抜きストライカー(PHOTO by Sven Mandel)
大胆な若手起用が成功すれば、チェルシーは変わる!?
中盤のベストメンバーは、2センターにジョルジーニョとカンテ、2列めにプリシッチ、メイソン・マウント、ペドロでしょうか。
アンカーも攻撃的なポジションもこなすコヴァチッチをセントラルやトップ下に配し、20歳のメイソン・マウントを左サイドに配する形も悪くありません。ランパード監督の特徴のひとつは、若手の大胆な抜擢です。プレミアリーグ初采配のマンチェスター・ユナイテッド戦で、タミー・エイブラハムとメイソン・マウントを先発起用。
指揮官の信頼を感じてモチベーションが高まったタミー・エイブラハムは、ノリッジ戦から2試合連続2ゴールと結果を出しています。
4節のシェフィールド・ユナイテッド戦では、CBズマの相棒としてフィカヨ・トモリを起用しました。メイソン・マウントとフィカヨ・トモリは、ランパード監督がダービー・カウンティ時代にレンタルで獲得した選手です。
モウリーニョ、コンテ、サッリといった実績ある監督を招聘し、ワールドクラスに投資してプレミアリーグやCL制覇をめざしていたクラブは、レジェンドを監督に据えて若手育成で中長期的な強化を図るクラブに変化を遂げようとしています。
昨季のELで4ゴールを決めたカラム・ハドソン=オドイは、アキレス腱断裂の重傷が癒えていよいよ復帰間近(PHOTO by James Boyes)
新チームの軸となりうる負傷者の復帰で巻き返し必至!
8月の4試合は苦戦続きだったランパード監督のチームは、序盤戦をうまく乗り切れれば秋以降の躍進が期待できます。
9月中旬にはCBリュディガーと、快足ドリブラーのカラム・ハドソン=オドイが復帰予定。11月になれば、成長著しいロフタス=チークが戻ってきます。アスピリクエタ、エメルソン、リュディガー、カンテといった守備の主軸が調子を上げ、前線のオプションが充実すれば、取りこぼしは減るのではないでしょうか。
UEFAユースリーグで直近5シーズン中4シーズンで決勝進出を果たしたU-19のチームが、未来のチェルシーを支えるベースとなるのではないでしょうか。
欧州最強ユースで育った若手を目いっぱい起用したドリームチームを作ってみましょう。
GK:ケパ
DF:ドゥジョン・スターリング、フィカヨ・トモリ、アンドレアス・クリステンセン、エメルソン
MF:アンパドゥ、ロフタス=チーク、メイソン・マウント
FW:プリシッチ、タミー・エイブラハム、カラム・ハドソン=オドイ
ランパード監督が鍛えたヤングスターたちが、プレミアリーグとチャンピオンズリーグを席巻する日が来るのを焦らずに待ちたいと思います。