自転車ロードレースシーズンの開幕を告げるレース「チャレンジ・マヨルカ」とマヨルカ島―常春の島と自転車の関係とは―

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自転車ロードレースシーズンの開幕を告げるレース「チャレンジ・マヨルカ」とマヨルカ島―常春の島と自転車の関係とは―

スポーティ

地中海に浮かぶスペイン領の「マヨルカ島」。毎年1月の最終週には、この島に沢山のプロサイクリストが集まり、自転車ロードレースのシーズン開幕を告げます。

今回の記事では、2023年の1月に開催されたマヨルカ島でのレースの様子と、マヨルカ島と自転車ツーリズムの関係をご紹介します。

TOP写真: 悪天候の続いたチャレンジ・マヨルカで2日間連続で優勝したコーベ・ゴーセンス選手(インターマルシェ・シルクス・ワンティ、写真左から2人目)写真撮影:對馬由佳理

「チャレンジ・マヨルカ」の存在


写真撮影:對馬由佳理

毎年1月末になると、地中海に浮かぶマヨルカ島にたくさんのプロサイクリストが集結します。その理由は1月最終週に開催される自転車レース「チャレンジ・マヨルカ」に参加するため。
1DAYレースが5日間続くこのレースは、長年ヨーロッパの自転車ロードレースシーズン開幕を告げるレースとして、広く知られています。

今年のチャレンジ・マヨルカには、全部で21チームが参加し、5日間のレースを戦いました。ちなみに、このチャレンジ・マヨルカは5日間1DAYレースが続く形のレースなので、出場するチームは毎日出走メンバーを入れ替えることもできますし、逆にメンバーを5日間固定したままよいという、少々変わった形の自転車レースとなっています。

悪天候に強い選手やチームが大活躍


初日のレースで優勝したルイ・コスタ(インターマルシェ・シルクス・ワンティ、写真右から2人目)も、防水手袋で雨対策。写真撮影:對馬由佳理

チャレンジ・マヨルカは1月25日のトロフェオ・カルビアからスタートしました。この日からマヨルカは大雨と低温にみまわれ、選手たちも厚着をしてレース会場に姿を見せました。

この日は距離は150kmと比較的短いものの、レース中は絶えず上り下りを繰り返すコースです。レース前、選手たちは「雨が降っているから、下りで落車するのが怖いよね」と口々に話していました。この初日のレースで優勝したのは、ベルギーのプロチームであるインターマルシェ・シルクス・ワンティ所属のルイ・コスタ選手。レースの早い段階で主要選手の残る集団から抜け出し、最後は雨の中のスプリントを制して今季初勝利となりました。

2日目のレーストロフェオ・セス・サリーナス・アルクディアは、スプリンターが活躍するだろうと予測されるような比較的平坦なコース。
この日のスタート地点では曇り空で雨はふらないものの、気温は低い状態でのスタートとなりました。しかし、レース中に雨が降ったため路面が滑りやすくなり、落車する選手が続出します。ゴール前では、事前予想通り集団スプリントとなり、マリジェン・バン・デン・ベルグ(エデュケーション・ファースト)が優勝しますが、悪天候に強いオランダ人選手のスプリントを見せつけた形になりました。

3日目になると、マヨルカ島の天候は一気に悪化します。
冷たい雨が昼夜を問わず振り続け、気温も下がる一方という最悪のコンディションの中で開催されたトロフェオ・アンドラッチ・ミラドール・エスコロメールは、マヨルカ島の北東にある山の上がゴール地点。ゴール地点にたどり着いた選手たちはみな寒さに震える事になったこの日、優勝したのはインターマルシェ・シルクス・ワンティ所属のコーベ・ゴーセンス選手。寒さに震えながらの表彰式となりました。

この数日のマヨルカは天候が悪く雨が降り続いたため、島の東側にあるセッラ・デ・タラモンターニャでは雪が積もっていました。

実は4日目のレースは、当初このセッラ・デ・タラモンターニャがレースの舞台となる予定だったのですが、雪のためレースのコースが変更され、その結果距離が132kmに短縮されました。それでも、この日のレースはとにかく寒く、低体温症に苦しむ選手も出るような環境の中、4日目のレースを買ったのは前日と同じインターマルシェ・シルクス・ワンティ所属のコーベ・ゴーセンス選手。ベルギー人選手らしく、悪天候に対応する強さを見せつけました。

最終日のレースはマヨルカ島の中心地であるパルマ・デ・マヨルカがレースの舞台となりました。気温の低いマヨルカ島の海岸通りをこの日先頭でゴールしたのは、イギリス人スプリンターのエーサン・ベルノン(ソウダル・クイックステップ)。50人以上の選手が一度にゴールになだれ込む大スプリント合戦で、今年のマヨルカの5日間のレースが終わることになりました。

気温が低く、雨の降ることが多かった今年のチャレンジ・マヨルカでしたが、悪天候に慣れているベルギー人のゴーセンス選手の活躍が目を引いた5日間となりました。

マヨルカ島は、「シクロツーリズモ」の一大拠点

今回5日間レースの舞台となったマヨルカ島は、ヨーロッパ各国から自転車乗りが集まるリゾート地として有名な場所です。
選手たちが宿泊していたホテルの隣には、レンタルサービスもしている自転車ショップが並びます。

またホテルも自転車の保管場所をホテル内部に設置したり、自転車の修理用の工具やスペースを確保したりするなど、サイクリストが気軽に自転車を持って来ることができる環境が整のえています。マヨルカ島内には、このようにサイクリストの需要に対応できる設備を持つ宿泊施設が大小合わせて100以上あります*¹。

年間で20万人以上のサイクリストがこの島を訪れており、2022年10月から2023年4月までの約半年間で3億ユーロの経済効果が見込まれています*²。

こうしたサイクリストたちがマヨルカ島でのサイクリングの拠点とするが、島の北東部にある街です。リゾートホテルが立ち並ぶこのあたりは、マヨルカ島の山岳地帯にも近く、海辺をのんびり走るだけで美しい景色を楽しむことができます。

また、春から秋にかけては様々な自転車レースや自転車イベントがマヨルカ島内で開催されており、こうしたイベントに参加するサイクリストが数多く訪れる島でもあります。

こうしたマヨルカ島の自転車ツーリズモのなかで、今回の「チャレンジ・マヨルカ」が30年以上も続けて開催されているのです。

*¹:https://www.mallorca.es/es/cicloturismo
*²:https://www.ultimahora.es/noticias/local/2022/10/16/1810895/cicloturismo-mallorca-isla-destino-lider-para-cicloturismo-europeo.html

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