ジェフL 山崎円美が語る仕事とサッカーの両立

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ジェフL 山崎円美が語る仕事とサッカーの両立

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“仕事とサッカーの両立”をテーマにしたこの企画では、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下:ジェフL)の選手にスポットを当てるこの企画。第5弾は、山崎円美選手(28)に登場をしてもらいました。

今シーズンからジェフLに加入した山崎選手は、寝ても冷めてもサッカーがすべてで「サッカーにすべてをかけている」と口にします。なでしこリーグで上位進出をするためには、彼女の出来にかかっていると言っても過言ではありません。だからこそ、自らに課すのは目に見える結果です。期待が高まる背番号「19」に、後半戦に向けての意気込みを訊きました。

働く機会に感謝を

ーー現在の仕事の内容、そして1日の予定や1週間の流れを教えてください。

株式会社千葉ステーションビルのペリエ海浜幕張で勤務しております。早番(7時45分から)と、時短勤務(9時から)を、それぞれを2日間、週4日勤務を行っています。業務内容については、早番時は店内の入口の扉を開け、明るく爽やかに挨拶をし、お客様のお迎えをおこないます。その後は各ショップの前日の売上チェックを行い、午後には他の館へ資料等を届けたりしています。また、店舗内でトラブル等が発生した場合は駆けつけ対応します。

ーー現在の仕事をしている中で、心がけていることを教えてください。

これまで色々なチームに所属してきたことで、そこで社会人として働いてきました。現在の職場では一人の社会人として扱っていただき、責任ある仕事を任されています。例えば、私が早番時に遅刻をしたらお店がオープンできなくなり、お客様やショップにご迷惑をかけることになります。また、時にはお金も扱うので緊張感をもってやっています。とてもやりがいがありますね。

ーーピッチの上とは打って変わり、会社ではスーツを身に纏っていますね?

そうですね(笑)。スーツを着て仕事をする機会も今まではありませんでした。身だしなみにも注意をしています。お客様の前に立つのでしっかりとした服装でなければいけません。

ーーでは、オンとオフの切り替えは?

今まではオフがいらない感じでした。私、趣味がないんです(笑)。サッカーだけでここまできてアルビレックス新潟レディース時代(以下:新潟L)やAC長野パルセイロ・レディース時代(以下:長野L)には、オフの時には筋トレばかりをしていました(笑)。前のプレーを引きずる時もあります。次の戦いのために筋トレをして“良し”と納得をする性分なので、プレーが上手くできずにいると“遊ぼう”とは思えないです。オン・オフの切り替えは下手かもしれません。ジェフLに来てからはさらに拍車がかかり、サッカーのことを考えない日はありませんね(笑)。

ーー山崎選手がサッカーを始めたきっかけを教えてください。

7歳の時に兄の影響でサッカーを始めました。中学ではクラブチームに入り、高校1年、2年の時には、ちふれASエルフェン埼玉(以下:エルフェン埼玉)で練習をさせてもらい、3年の時には浦和レッドダイヤモンズのユースに入りました。大学時代から新潟Lでお世話になって7年半プレーをした後、長野Lに移籍。そしてジェフLに加入をしました。今年でサッカー人生11年目です。実は小学生の頃は、女子サッカーの存在を知りませんでした。中学の時に進路を迷っていた時に、担任の先生のお父さんがエルフェン埼玉の監督で「入ってみないか」と誘ってもらったんです。そこで初めて、なでしこリーグには1部と2部があること、そして日本女子代表もあることを知りました。

ーーしっかりと仕事に取り組めていると思いますが、周りのスタッフの理解はどう感じていますか?

練習でも試合でも快く送り出してくれます。会社の方も結果を気にしてくれています。「またドローだったね」と言われる機会が多くなってしまい申し訳なく思っています。

ーーでは、仕事とサッカーの両立について、苦労している点、充実している点を教えてください。

仕事を覚えることは大変でしたが、ジェフLでサッカーをしていなければ、こうして働く機会を得られませんでした。仕事をさせてもらえる環境があることに感謝をしています。充実度という言い方が正しいか分かりませんが、大きな責任をもって行うことは初めての経験でもあります。世間と関わり、色々な観点から仕事を見ることもできて勉強になっています。


味方からパスを引き出す

ーー今のプレースタイルが築かれたのは、いつ頃ですか?

自分の中ではいくつかの変化があって、年齢を重ねることで、考えてプレーをすることや経験値も増えています。今までの自分に経験をマッチアップさせています。

ーー今シーズン、ジェフLに加入しましたが、これまでのプレースタイルとチームのスタイルをどう合わせようと考えていますか?

以前からの知り合いも多く、チームメイトのおかげで、早い段階から馴染めたことはプラスでした。私はジェフLでプレーをしたい、“ここで”という思いが強くありました。ジェフLは、気持ちの入ったプレーをする点において、魅力を感じていました。走ることをベースにしてきたチームに、藤井奈々監督は、『個の判断や個の成長』をレベルアップさせてくれています。個の成長の先にチームの成長があります。判断を伴った走りという部分では、個人として考えるようになりました。これまで感覚や本能の部分を大事に、プレーをしてきましたが、監督の求めることとしっかりと折り合いをつけ、その中で自分の持ち味を発揮したいと思っています。

ーー藤井監督からは、どんなことを求められていますか?

フォワードとして、前線での動き出しや仕掛けること、ディフェンスラインと駆け引きをすることですね。まだ合格点には達していませんね。

ーー具体的にジェフLに加入して進化をしている点を教えてください。

頭を使うプレー、考えることが以前よりも増えました。相手との駆け引きや味方がやりやすいように動くこと、今までなら“自分にパスを出して”という感じだったのですが、今は“味方が出せるタイミングで動くこと”を意識しています。

ーーチームとして、そして個人として、シーズンのここまでを振り返ると?

結果的に言うと、引き分け(10月1日時点で5勝5分3敗)が多いと考えます。負けが少ないのはプラスに捉えて良いと思います。それは守備力が高いということで、一人ひとりの粘り強さ、相手に仕事をさせていないことが大きいと感じます。しかし、得点力の部分はシーズン当初からの課題です。守備はどんどん良くなっている実感はあります。攻撃陣としては、守備陣が結果を出してくれているので、申し訳ない気持ちで一杯です。個人としては、ホーム開幕戦で得点できたことは良かったと思いますが、チームを勝利に導くゴールが少ないので「その試合で自分が出たら何ができるのか」を突き詰めて行くしかありません。

ーー試合を取材する中で、リードをしている試合でも受け身になり過ぎてしまう印象もあります。

前半戦は2-0で勝っている中で追いつかれる試合がありました。その後みんなで話し合いを重ねて、後半戦では勝ち切れる試合が増えているのは成長をしている部分です。結果として勝点1と3では違うので勝ち切れるのは自信になります。

ーー得意とするゴールの形はありますか?

個人的にディフェンスラインの背後に飛び出して、ゴールキーパーとの1対1を仕留めることが好きです。今は、そのシーンが少ないので、それをどう引き出すか、自分の動きさえ良ければパスは出てくるので練習から積み上げたいです。

ーー得点力不足のチームにとって、山崎選手の活躍は欠かせませんね。

自分の強みは得点を取ることだと思っています。とにかく得点を取ることを考えて試合に臨みます。得点を取るための動き出し、得点を取るために味方の良さを引き出すこと、その動きを突き詰めたい。得点にこだわりたいと思います。

ーー参考にしている選手はいますか?

原口元気選手(ドイツ1部リーグ:ハノーファー96所属)ですね。守備でも攻撃でもめっちゃ頑張っている。昔、やんちゃだったのも自分に重ねてしまうものがあります(笑)。

ーー山崎選手の夢とは何でしょうか?

恥ずかしいのですが、秘めているモノはあります(笑)。23歳の時に初めて日本女子代表に選出されました。最終目標はその舞台にもう1度戻りたいという思いがあります。今、心の固いカギを開けましたよ(笑)。

ーー最後に今シーズンの目標を教えてください。

最低でもリーグ3位以内には入りたいです。自分が得点を取ってチームを勝利に導けるようにしたいです。守備は最小失点に抑えられているので2得点を取ったら勝てます。1試合2得点以上を取れるように、相手に怖いと思われるような攻撃をして得点を取り切ることを突き詰めて行きたいです。個人としてもゴールランキングの上位に、せめて3本指に入れるように努力をして行きたいと思います。