エンリック・マスが13日間リーダージャージをキープし、総合優勝を決める―ブエルタ・ア・エスパーニャ2026―
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エンリック・マスが13日間リーダージャージをキープし、総合優勝を決める―ブエルタ・ア・エスパーニャ2026―
8月22日から9月13日までの日程で、ブエルタ・ア・エスパーニャ(以下、ブエルタと省略)が開催されました。今年はモナコからスタートし、スペインのグラナダをゴールとする、イベリア半島南部が3週間のレースの舞台となりました。スペイン人サイクリスト、エンリック・マス(モビスター)の総合優勝で幕を閉じた今年のブエルタの様子をリポートします。
TOP写真:最終第21ステージスタート前に観客からの完成に笑顔で応える、エンリック・マス。Photo by Yukari TSUSHIMA
総合リーダーだったポカチャルが落車、ブエルタを棄権
第8ステージのゴールで、当時リーダージャージを着ていたポカチャルを待つファン。しかし、ポカチャルがこの日のゴールに姿を見せることはなかった。Photo by Yukari TSUSHIMA
今回のブエルタには、今年のツール・ド・フランスで優勝したタデイ・ポカチャル(UAEエミレーツ)が出走していました。多くの人が予想した通り、ブエルタ初日からリーダージャージを着たポカチャルは、第1ステージ・第4ステージ・第6ステージの3ステージを勝利し、総合タイムでも当時2位のマスに3分以上の差をつけていました。しかし、第8ステージのゴールまで33kmの地点で、ポカチャルが落車。骨折等の大けがを負い、ブエルタを棄権することになりました。
ブエルタでもサポートに入るShimanoのベテランメカニックは「レース中に起こる深刻な落車のほとんどは、まったく難しくない、簡単な普通の道で発生する。」と言います。この第8ステージは上りもほとんどなく、見ている人によっては「今日は移動日だね。」と表現するほど、難しくないコースでした。
タイムトライアルでマスの優勝が確実に
第18ステージのタイムトライアルでゴールするマス。Photo by Yukari TSUSHIMA
ポカチャルのリタイアによって、総合優勝争いは激しさを増します。しかし、それでも、ポカチャルのリタイア直後から最終ステージまでリーダージャージを守ったのは、スペイン人選手のエンリック・マスでした。
山岳ステージでのマスの強さは知られていますが、その一方で総合優勝に向けた一番の山場となったのは、第18ステージの個人タイムトライアルでした。
マスを追う優勝候補の一人である、プリモシュ・ログリッジ(レッドブル・ボーラ・ハンズグロー)は、タイムトライアルを得意とする選手で、この第18ステージでマスとのタイム差を急激につめてくる可能性がありました。
前日第17ステージが終わった時点で、マスは報道陣に「自分はやれることをやるだけ。」と応えていましたが、翌日タイムトライアルではログリッジに約30秒タイム差を詰められます。その結果、ログリッジとのタイム差が1分37秒差になったことに関して、マスは「このチーム(モビスター)なら、1分37秒のタイム差があれば大丈夫。」とタイムトライアル後に話しました。
その言葉通り、最終的には2分以上の差をつけて今年のブエルタを総合優勝したマス。そして、21日間マスを支えたモビスターの選手たちは、表彰式の間中、ずっと笑顔のままでした。
エキーポ・ケルン・ファルマがチームが消滅へ
第21ステージのゴール後のエキーポ・ケルン・ファルマの選手たち。Photo by Yukari TSUSHIMA
2020年に設立された自転車チームのエキーポ・ケルン・ファルマが今年いっぱいで消滅することが発表されたのは、今年の夏前のことでした。若い選手の成長をバックアップすることを目的に設立された同チームは設立当初から注目を集め、若い選手が次の段階へステップアップするための舞台になっていました。
チーム消滅の発表に対し、ブエルタ最終日に総監督のホアンホ・オロス監督は「この7年間でこのチームが達成してきたことを、とても誇りに思っています。でも、志半ばでのチーム消滅となってしまいましたね。」と語り、インタビュー後には、涙を見せていました。
また、今年ブエルタに初出走し、最終第21ステージまで走り切った同チームのイニーゴ・エロセギは「僕の役割はチームが必要な時に前に出て、レースを引っ張ることでした。毎日高温で厳しい3週間だったけど、このチームの選手として今年のブエルタを完走できたことを誇りに思います。」と語りました。
来年以降の契約が決まっていない選手も少なくないという不安定な状況にもかかわらず、ブエルタの間は常に選手たちに「プロとして戦う姿勢」を持ち続けることを求めていたオロス監督。こうした名監督やチームが消えてしまうことは、スペイン自転車界において大きな衝撃となっているのです。
ゴールで選手を迎える、エキーポ・ケルン・ファルマのオロス監督(写真左)。Photo by Yukari TSUSHIMA
2027年のブエルタは、スペイン・ガリシア地方からスタート
2027年のブエルタは、スペインのガリシア地方からスタートすることが発表されました。スペイン国内がブエルタのスタート地点になるのは、 2023年以来となります。
一方ゴール地点については、マドリードとするブエルタのオーガナイザー側は希望するものの、同じ週末にマドリード市街でF1のレースが開催される可能性があるため、最終ゴール地点についてはいまだに流動的な状況が続いています。
なお、2027年のブエルタのコースは、今年の12月あるいは2027年1月に正式発表される予定です。

