アスリートの育て方【vol.1】 サッカーコンサルタント・幸野健一さんによる「サッカー選手」の育て方

サッカーコンサルタント・幸野健一さんによる「サッカー選手」の育て方 SUPPORT

アスリートの育て方【vol.1】 サッカーコンサルタント・幸野健一さんによる「サッカー選手」の育て方

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「自分の子どもにスポーツ選手なってもらいたい」そう願う親は、いつの時代にも多いことと思います。ですが、実際にスポーツ選手として生きていける人は、ほんの一握り。

では、スポーツ選手として生きていくのに必要なこと。それは才能でしょうか? 努力? それとも運? そのどれもが必要なことです。

しかしもっと大切な要素は、親や家庭環境ではないでしょうか。

ゲームで“負けず嫌い”を育む

サッカーコンサルタントとして活動する幸野健一さん(52)は、現在ジェフユナイテッド市原・千葉に所属するプロサッカー選手、幸野志有人選手(21)の父親です。

「僕が大人気ない負けず嫌いなだけだと思いますが、オセロやカードゲームなどどんな小さなゲームでも子ども相手に手を抜いたことはありません。いつも志有人が泣いて終わる。負けず嫌いな性格は、意図したわけではないけど、そういった日々の生活の中で育まれていったのかもしれませんね」

スポーツ選手になるにあたって必要なもの。それは誰にも負けたくないという気持ちだと幸野さんは言います。

「自分が好きなことを仕事にするには、とにかく誰よりも取り組むほかありませんよね。僕自身がサッカーを愛して、そういう生き方をしてきたので、間近に見ていた志有人はそれを自然と身に付けたのでしょうね」

自分で選択し、自分で責任を取る

幸野さんは子どもに対して、直接的に何かを教えたり、“ああしろ、こうしろ”と言わないようにしてきました。自分で選択するように仕向けてきたと言えばいいのかな。とにかく自立した人間になるように、子どもが小さい頃から大人と同じように接してきたという幸野さん。そういった考えはどこから来ているのでしょうか。

「僕自身、17歳の時にしたイギリスでのサッカー留学がキッカケです。親や社会から何でも与えられる日本の教育とは違って、イギリスでは自分で選択しなければいけなかった。しかもその選択は自分で責任を取る。言わば子どもを大人と同様に扱っていたのです。その時に感じたことが今に通じています」

育成年代において“至れり尽くせり”というのは、子どもの成長にとってよくないと語る幸野さん。

「親は子どもの困難が予想できる。それを取り除きたくなるのは、親として当たり前。だけど、それを我慢することが成長に繋がるのだと確信しています」

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「サッカー選手になりたい」

至れり尽くせりが好ましくないとはいえ、親が子どもにできることは何一つないわけではありません。

「サッカー選手になりたいと言っていた志有人とともに、様々な美術館や展覧会に行きましたね。彼も僕もそういった芸術が好きだったこともあるけれど、サッカーしか知らない人間にはなってほしくなかった。また、サッカーに必要な“クリエイティブさ”を養うためにとても良いことだと思っていましたから。特にサッカーで海外に行った時でも、積極的にその国の美術館を巡りました」

子どもに対して、判断や選択の材料を与えてあげることは必要なときもあると言います。

「志有人が12歳のとき。様々な選択肢がある中で、彼は『JFAアカデミー福島』という日本サッカー協会が推進する育成機関を選択しました。この時に私がしたことは、理想と現実のギャップを埋めてやることでした。12歳の頭では、やはり想像が行き届かないところがあります。それをなくすため、住むはずの寮や、通うはずの学校といった“現場”を見せることはしました」

悩みにぶつかったときには

時には子どもが壁にぶつかることもあります。サッカーであれば、監督とウマが合わないこともあるでしょう。そんな時にはどんな声を掛けたのでしょうか?

「どんな社会であれ、理不尽さは必ず存在します。そういった困難を受け入れたうえで、やっていくしかない。そういったことはよくあります。しかし、どうしても納得がいかない時には、自分の意見を伝えないといけないと伝えました。その時には、どんな相手に対しても、リスペクト(=尊敬の念)を絶対に忘れてはいけないとも言いました」

幸野さん自身、「迷ったら人と違う道を選ぶ」という信条で生きてきたと言います。それを自身の生活で体現してきたら、子どもも同じような生き方をするようになっていたと言います。もしかすると、言葉で何かを教えることよりも、親である自分の姿を見せることが一番の教育なのかもしれません。


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