ウィンブルドンで4度目の復活を!!芝の王者ロジャー・フェデラー

ウィンブルドンで4度目の復活を!!芝の王者ロジャー・フェデラー WATCH

ウィンブルドンで4度目の復活を!!芝の王者ロジャー・フェデラー

スポーティ

6月27日から、テニスの四大大会の一つである、ウィンブルドンが開幕します。今回は史上最高のテニスプレイヤーとの呼び声が高く、特に芝のコートでの圧倒的な強さから”芝の王者”とも称されるロジャーフェデラーについて紹介したいと思います。

史上最高のテニスプレイヤーたる所以

ロジャーフェデラーは34歳となった今もランキング3位(2016年6月24日現在)と高ランクを維持しており、これまでの数々の輝かしい戦績からプロテニス界史上最高の選手といわれています。4大大会での通算17勝は歴代1位で、年間グランドスラムこそ達成していないものの、年間3冠を3回(2004,2006-07)、年間2冠を5回(2004-07,2009)は共に歴代1位の記録です。

他にも、”世界ランキング1位合計302週”や、”トップ10選手相手に24連勝”、”24連続決勝で勝利”など挙げたらきりがない程の単独記録を保持しています。

また、フェデラーが現在の錦織圭の年齢(26歳)の時には、すでにウィンブルドンと全英オープンで5連覇という前代未聞の記録を達成しています。このことからも史上最高と呼ばれるフェデラーの強さが伺えます。

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(Photo by Marianne Bevis)

こんな数々の記録を保持するフェデラーですが、人としての魅力もすばらしく、テニスツアー選手同士で選ぶ「ステファン・エドバーグ・スポーツマンシップ賞」を11度も受賞していて、対戦相手からも尊敬されています。

さらに、慈善活動への取り組みも熱心で、ロジャーフェデラー基金を設立してアフリカの子供達を支援したり、ユニセフの親善大使にも任命されています。

フェデラーが史上最高のプレイヤーとして評価されているのは、単にテニスにおける輝かしい戦歴や記録だけでなく、すばらしい人間性もあわせてのことなのです。

何度も引退の噂を吹き飛ばしてきたフェデラー

こんな素晴らしい戦績を持つフェデラーにも危機を迎えた時期が3度ありました。

1度目は2008年。全豪の準決勝で敗れ、4大大会の連続決勝進出記録(2005年ウィンブルドンから10大会連続)が途絶えただけでなく、全仏、ウィンブルドン共に当時2位のラファエル・ナダルに敗れてしまいます。さらに世界ランキング1位の座もナダルに奪われてしまい、2004年から続く世界ランキング1連続座位記録も途切れてしまいます。

同年の北京五輪ではダブルスで金メダルを獲得、全米オープンでは大会5連覇を達成しましたが、これまでと比べると平凡な成績(66勝15敗)であったので(それでもすごい成績ですが)、終焉の時が近づいたのではと噂されるようになりました。

2度目は11年。この年は、ジョコビッチが初めて世界ランキング1位となった年です。全豪オープン、全米オープン共にフェデラーは彼に敗れてしまいます。
また、全仏オープンではナダルに、ウィンブルドンではツォンガに敗退し、2002年以来となる4大大会無冠でシーズンを終えました。世界ランキングもジョコビッチに抜かれ、2004年以降初となる3位にまで後退しました。


3度目は13年で、ウィンブルドンで2回戦敗退、全米オープンでは4回戦敗退など4大大会で一度も決勝に進めず、またしても無冠に終わります。怪我の影響もあり、過去10年間で最も戦績の悪い年(45勝17敗)となってしまいます。ランキングもトップ4から陥落し、一時は7位になるなど低迷。多くの選手が30歳前後で引退しているプロテニス界において、フェデラーの年齢も32歳になったことから、引退の危機が最も高まった年となりました。

ところが、フェデラーはこのような危機から立ち直り、翌年には前年の成績を大きく上回る結果を残してきていきます。12年には、ウィンブルドンで優勝し、サンプラスの保持していた1位在位記録を更新。また、ロンドン五輪では、初のメダルとなる銀メダルを獲得しています。

14年では、同年のツアーで最多となる決勝進出11大会、マッチ勝利73勝を記録し、世界ランキングも2位にまで復帰します。その他にもデビスカップ初優勝に貢献するなど、復活を印象付けた年となりました。

特に09年は、念願であった全仏オープンに初優勝。1968年の四大大会オープン化以降4人目のキャリアグランドスラムを達成し、改めて史上最高のテニスプレイヤーの称号を手にします。

なお、これまでのフェデラーの世界ランキングの推移は、ATPの公式サイトから見ることができます。

強さの秘訣は飽くなき探究心、そして新戦術SABRの開発へ


フェデラーの凄さは、すべてのプレーのレベルの高さにあります。ストロークとサーブでは、コースと球種を自在に打ち分けることができ、特にフォアハンドは歴代最高という評価があります。他にも、ボレーとそれを支えるフットワーク、メンタルの強さなども高い評価を受けています。

プレーの凄さもさることながら、フェデラーの強さの秘訣はテニスに対する飽くなき情熱でしょう。34歳になった今も新たな戦術を編み出し、ランキングも3位に位置しています。

引退間近と考えられていた14年には年齢から来る体力の衰えをカバーするために現役時代サーブ&ボレーの名手で元世界ランク1位のステファン・エドベリ氏をコーチとして迎え入れ、サーブ&ボレーに取り組み、新たな領域を開拓し、世界ランク2位に復帰しました。

15年には練習中に編み出した新戦術SABR(セイバー)が話題になっています。SARBとは、「Sneak attack by Roger(ロジャーの秘かな攻撃)」の略で、相手のセカンドサーブのときに使われる戦術です。相手がサーブを打つ瞬間にすっと前に出ることで、ハーフバウンドのボールを拾い、そのままネットに詰めます。意表をついて前に出るので、相手にプレッシャーを与えることができます。最近のフェデラーのサーブ&ボレーを使った体力勝負を避ける戦術とピッタリはまっています。


フェデラーの新しい戦術”SABR”。リターンやボレーの技術が高い彼だからこそできる戦術

今シーズンフェデラーは、全豪オープン終了後に受けた膝の手術の影響で2カ月以上の間ツアーから離脱しました。その後も故障が相次ぎ、全仏オープンも欠場。シーズンの折り返しを迎えている現在も大会出場は未だ6大会にとどまっています。そのため、世界ランキングこそ3位を維持しているものの、以前の記事で紹介した「ATP Race To London」では12位(2016年6月24日現在)と低迷しています。

27日から開幕するウィンブルドンは、フェデラーが10回の決勝進出と7度の優勝を誇る、まさに得意とする大会。今シーズンの不調も、これまでと同じように乗り越えてくれることを期待しながら、フェデラーのウィンブルドンでの巻き返しに注目です!

(Photo By Justin Smith and Marianne Bevis)

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