スペイン版“仕事の流儀”でメッシ・グティの素顔を垣間見る

スペイン版“仕事の流儀”でメッシ・グティの素顔を垣間見る WATCH

スペイン版“仕事の流儀”でメッシ・グティの素顔を垣間見る

スポーティ

スペインでサッカーの試合をテレビ観戦していると、英語訛りが強いスペイン語の解説が聞こえてくることがある。

その声の主の名はマイケル・ロビンソン。アイルランド代表経験もある元サッカー選手の彼は、現役引退後、キャリアの晩年を過ごしたスペインでスポーツコメンテンターに転身。サッカーに限らないスポーツ全般への造詣の深さや英国紳士らしい穏やかな語り口でスペインのお茶の間の心を掴み、イギリス人ながらサッカー中継やスポーツ関連番組に引っ張りだこの人気物となった。

そんなマイケル・ロビンソンがパーソナリティーを務めているのが、スペインの大手有料チャンネル『Canal +(カナル プルス)』で放送されているスポーツドキュメント番組『Informe Robinson(インフォルメ ロビンソン)』だ。

日本からも無料で視聴可

2007年から続くこの番組の内容は、いわばスペイン版の『プロフェッショナル~仕事の流儀~』。毎回、旬のスポーツ選手やスポーツ界の知られざる裏側を丁寧な取材やインタビューで掘り下げている。スペインの番組だけあって、やはりサッカーに関する特集が多いがテニスやハンドボールといったスペインで人気の高いスポーツの特集も多く組まれている。

そんな『Informe Robinson』だが、公式ホームページに番組開始の2007年から放送した全てのプログラムのアーカイブが残っており、日本からでも無料で視聴することができるのだ

スペイン語の放送で英語字幕などもないため、番組の内容全てを理解するのは難しいかもしれないが、番組で取り上げている選手やスポーツに馴染みのある人であれば、選手のプライベートの様子や故郷の風景などを興味深く見ることができるだろう。

以下に日本でも人気・知名度の高い選手の特集を紹介する。

■LIONEL MESSI -リオネル・メッシ-(2007年2月放送)

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今から7年前に放送されたFCバルセロナのアルゼンチン代表FWリオネル・メッシのドキュメンタリー。当時19歳のメッシはバルセロナで出場機会を増やし、期待の若手から世界最高の選手への階段を昇り始めていたところ。

番組はそんなメッシのルーツを探る内容となっており、故郷アルゼンチンのロサリオでの家族や友人たちのインタビューを中心に、今や史上最高の選手となったメッシの幼少期の様子や彼がサッカーを始めたグラウンドなどが紹介されている。

番組後半ではバルセロナ入団の経緯も語られる。メッシのプレーに一目で惚れ込んだ当時バルセロナ監督のカルロス・レシャックが、入団テスト直後に紙ナプキンで即席の契約書を作って父親にサインさせた、という有名なエピソードがあるが、この番組内で、その即席契約書の現物を拝むことができる。

■El SUEÑO DE EUROCOPA –夢のユーロ制覇-(2008年10月放送)

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オーストリア・スイス共催のユーロ2008で優勝したサッカースペイン代表。番組では、44年振りに主要国際大会を制したチームの軌跡を選手たちやルイス・アラゴネス監督のインタビューで振り返っている。

番組内では試合前のロッカールームやピッチへの入場トンネルでのチームの様子など、貴重な映像が多く見られるが、何よりチームの優勝までの歩みを嬉しそうに語る選手たちの表情には、言葉は理解できなくても熱い気持ちにさせられるのではないだろうか。特に優勝カップを掲げる瞬間を振り返るキャプテン、イケル・カシージャスの表情には「大仕事を達成した男の充実感」が溢れ出ている。

■TODO SOBRE GUTI -グティについての全て-(2010年1月放送)

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元レアル・マドリーの天才MFグティを追ったドキュメント。

日本でグティといえば、整った顔立ちや奇抜なヘアスタイルから、華やかなキャリアを送ったというイメージがあるかもしれないが、番組は相手チームのファンか「Guti,maricón!!(グティのオ○マ野郎!!)」というチャントを浴びるという強烈なシーンから始まる。

ムラ気が強く、天才的なプレーでファンやメディアから大喝采を浴びたかと思えば、翌週には痛烈に叩かれる、ということの繰り返しだったグティだが、番組ではそんな彼の半生を本人や母親のインタビューで振り返るとともに、プライベートを完全密着で追った内容になっている。

故郷のマドリッド州トレホンで初めてスパイクを買ったスポーツ屋や母校の小学校を訪れたり、休日に息子のサッカーの試合を見に行って“パパ友”と談笑したりと、日本では中々見られない彼の穏やかな一面が見ることができる。

と同時に、ケガのため自宅観戦となったアウェイでのクラシコを見ながら「もっとしっかり(パスを)繋げ!」「セルヒオ(ラモス)絞っとけよ!」と思わず声を出す彼の姿には、純粋なるサッカー選手としての一面も垣間見ることができるだろう。

■MILOS RAONIC-ミロシュ・ラオニッチ-(2011年5月放送)

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今年の全米オープンや楽天オープンで錦織圭と死闘を演じたことも記憶に新しいカナダ人テニスプレーヤー、ミロシュ・ラオニッチも2011年5月に『Informe Robinson』で特集されている。

2010年10月から2011年2月までの4ヶ月間でATPランキングを160位から25位にまで一気に上げたラオニッチを追ったこの特集では、彼の練習風景やインタビュー、更には本人や彼の父親が語る幼少期の様子などが紹介されている。

今や世界トップ10プレーヤーのラオニッチだが、テニスを始めた当時を振り返った父親は「プロテニス選手になれるなんて思ってもいなかった」と語るなど、子供の頃は決して飛び抜けた選手ではなかったという。しかし、「毎朝6時前に起きて練習に行った」「11歳から13歳の間は毎日サーブの練習を200本していた」など惜しみない努力を重ねてその才能を開花させたエピソードはスポーツファンなら必見の内容だ。

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上記の動画はアップされているアーカイブのほんの一部。これを見て番組に興味を持った人は、アーカイブを探って、自分が関心のある特集を見つけてみると良いのではないだろうか。

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