もしもあなたがボクシングのジャッジなら… “採点基準”4つのポイント!

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もしもあなたがボクシングのジャッジなら… “採点基準”4つのポイント!

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2017年5月20日に行なわれた村田諒太選手とアッサン・エンダム選手とのWBAミドル級世界タイトルマッチ(東京・有明コロシアム)。

村田選手は、4Rにダウンを奪い、その後も的確にパンチをヒット。多くの人が村田選手の勝利を確信していました。しかし、結果は、1-2の判定負け。

この判定を巡っては、“疑惑” “不可解”といった声が上がり、WBAの会長が「日本のボクシングファンにおわびしたい」と、異例の謝罪声明を出すなど、大きな波紋が広がったのです。

では、なぜこのような結果になったのでしょうか?ジャッジは、試合中どこを見て何を評価するのか?ボクシングの採点基準を紹介します。

TOP画像:DoD News

ちなみに、レフェリーとジャッジの役割についてですが、簡単に言うと、試合中リングに上がり、試合を裁く審判=レフェリーです。例えば、選手が反則を犯した場合は注意をしたり、選手がダウンした場合、それが攻撃によるものなのか、スリップして倒れたものかを瞬時に判断したりします。試合中リングに上がれるのは選手2名とレフェリー1名の3人だけです。ジャッジは、試合の採点を行う審判のことです。リングの3面に3人が配置されます。

KO、TKO、判定…ボクシングの勝敗はどう決まる?

そもそも、ボクシングの勝敗は、どのようにして決まるのでしょうか?勝敗は、「KO」「TKO」「判定」、このいずれかで決まります。

KO(ノックアウト)…パンチによって一方の選手が倒れ、レフェリーがカウントを10数えても立ち上がることができない、あるいは、立ち上がったものの戦う意思を示せない(ファイティングポーズを取れない)場合です。

TKO(テクニカルノックアウト)…パンチによって一方の選手が傷を負ったり、ダメージが大きく、これ以上の試合続行は不可能と判断した場合です。

ルールブックにはもう少し細かく出ていますが、これくらいおさえておけば十分です。「KO」「TKO」は、勝敗が明白です。このいずれでも決まらない場合、勝敗は「判定」に委ねられます。

「判定」はどうやって決まる?3人のジャッジが10点満点で採点

試合の採点を行うジャッジは3人。リングの3面にそれぞれ配置されるので、他のジャッジがどんな採点しているのかは分かりません。ラウンド毎にそれぞれの選手を10点満点の減点法で採点。全ラウンド終了時に合計、例えば、世界戦は12ラウンドなので、全ラウンドで優勢であれば120点満点ということになります。3人のジャッジのうち、2人以上が支持した選手の勝ちになります。

ジャッジはどこを見ている?優劣を付ける4つの採点基準

  1. 有効打…相手にダメージを与えるパンチをどれだけヒットさせたか。
  2. 攻撃性…より攻撃的であるか。ただし、有効なパンチを伴わない単なる前進は評価の対象となりません。
  3. 防御…どちらがよりディフェンス技術を駆使して相手の攻撃を防いだか。ただし、攻撃に結びつかない単なる防御は評価の対象とはなりません。
  4. 主導権…どちらが試合のペースを掴み、支配していたか。戦術的に優れていたか。
  5. ジャッジは、この4つの基準を元に10点満点で採点、優勢な方を10、劣勢な方を減点します。ちなみに、4つの基準の優先順位は、団体やコミッションによって傾向が変わることもありますが、基本的には、①の有効打が重視されるのは間違いないでしょう。

    ではもしも、あなたがジャッジだった場合、どう採点すればいいのか?一般的には、一方が優勢の場合は、10-9。ノックダウンがあった場合は、10-8。2度のダウンやKO寸前の場合は、10-7。大抵はこの範囲に収まります。(10-6もありますが、WBAは、「3ノックダウン制」といって、3度ダウンした場合、その時点でKO負けになりますし、他団体の「フリーノックダウン制」でも、3度のダウンがあるような一方的な試合展開の場合、大抵はレフリーが試合を止め。TKOとなります。反則での減点ではなく、3回のダウンで10-6が付いた試合といえば、2011年のパッキャオ VS マルケスの1R。(詳しく知りたい方は、WOWOWのサイトを御覧ください。)

    もちろん、反則による減点があった場合や、ダウンの仕方、ダウン後の試合展開によって採点が上記の様にならないこともありますが、その辺はレアケースと考えてよいと思います。

    終わってみれば大きな差「10ポイント・マストシステム」の問題点

    上記のような4つの採点基準があるにもかかわらず、試合後の採点がジャッジによって大きく違ってしまうのはなぜでしょうか?

    例えば、村田選手とエンダム選手の試合では、ラウル・カイズ・シニア(アメリカ)が「117-110」で村田選手、ウスタボ・パディージャ(パナマ)は「111-116」、ヒューバート・アールシニア(カナダ)は「112-115」でエンダム選手を支持。シニアとパディージャの採点は真逆といっていいほどの差があります。

    この試合に限らず、ボクシングの判定では、終わってみれば大きな差がついていた、ということがあります。その要因として考えられるのが「10ポイント・マストシステム」です。

    同じ10-9でも…1点に隠された大きな差

    主要団体の世界戦では「10ポイント・マストシステム」が採用されます。必ず一方の選手に10点を付けるという採点方法です。例えば、同じラウンド中に両者1度ずつダウンがあった場合、8-8とはなりません。どちらかに必ず10点がつき、劣勢だと思われる方を減点します。

    問題は、ほとんど差がないラウンドで10-10にしたいところでも積極的に10-9の優劣を付けるという「申し合わせ」があること。10-10を付けることが禁止されているわけではありません。しかし、それを何回も採用するジャッジは呼ばれなくなります。細かい差を見抜いて優劣をつけてこそ優秀なジャッジということで、大した差がないラウンドでも、「半ば強制的」に10-9にしなければならない風潮があるのが現状です。

    つまり、ダウンは取れなかったものの一方的に攻めている10-9と、手数がなくどちらとも言えない10-9が同じ10-9になってしまうのです。もし、この微妙なラウンドが世界戦で12ラウンドあった場合、内容にはそれほど差がないはずなのに、フタを開けたら大きな得点差になっていたということにつながります。

    採点基準を明確にするための「オープン・スコアリング・システム」

    試合を見ていると途中で採点発表があるのに気がついたことはないでしょうか?現在、WBCが採用しているシステムで、4ラウンドと8ランド終了時に採点が公開されます。これによって、3人のジャッジがどのような傾向で採点しているかを把握することができます。観客も現在の優劣が明確にわかりますし、選手やセコンドは、その後の作戦を立てやすくなるなどのメリットがあります。一方では、大きな差がついている場合、勝っている選手が安全運転で判定勝利を狙うなど、アグレッシブさに欠ける試合になってしまうというデメリットもあります。

    採点方法は、時代とともに変化してきましたが、賛否両論あるのが現状です。団体や採点方法、ホーム、アウェー、アメリカでは西海岸、東海岸でもジャッジの傾向が変わると言われています。そういった部分も含めてボクシングの面白さととるのかは人それぞれ。いずれにしても、判定は、納得できる形であって欲しいですよね。

    参照
    日本ボクシングコミッション
    https://www.jbc.or.jp/info/howtobox/kiso.html

    WOWOW エキサイトマッチ 世界プロボクシング
    http://www.wowow.co.jp/sports/excite/


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