裸足で走ってケガ知らず!? ランニングの常識を覆すベアフット・ランニング

裸足で走ってケガ知らず!? ランニングの常識を覆すベアフット・ランニング DO

裸足で走ってケガ知らず!? ランニングの常識を覆すベアフット・ランニング

スポーティ

2014年2月に開催される東京マラソン2014の抽選倍率が約10.3倍と発表されるなど、根強い人気を誇るランニング。休日ともなれば皇居や神宮などランニングスポットはランナーでいっぱいで、最近ではシューズやウェアにもこだわったランナーも増えてきました。その一方で裸足、あるいはそれに準ずる裸足感覚シューズで走るベアフット・ランニングにも注目が集まっています。

スポーツショップには様々なメーカーの裸足感覚シューズが並んでいるものの、ランニング暦やペース、目標タイムなんかを店員さんに伝えても勧められるのはクッション性の高いものばかり。なので本格的に走っている人向けに作られたものだと思っていたのですが、「実は初心者にこそ向いているんですよ」と教えてくれたのは日本ベアフット・ランニング協会の代表理事で“裸足王子”の愛称で知られる吉野剛さん。初めて聞く説にビックリです!

ベアフット・ランニングは人間本来の走り方

日本ベアフット・ランニング協会代表理事 吉野剛さん

日本ベアフット・ランニング協会代表理事 吉野剛さん

吉野さんによると、初心者はランニングの癖がそんなについていない分、上級者よりもベアフット・ランニングに転向しやすいのだそうです。それってつまり、ただ裸足になるだけではなくて、走り方自体が違うってことなんですか?

「ベアフット・ランニングは、人間本来の走り方に即したものだと思ってください。走っていて膝を痛めてしまうランナーが増えていることはご存知ですか? 本来は膝って曲げ伸ばしをする場所であって痛くなるところではないんです。それがどうして痛くなるのかといったら、正しい使い方ができていないからです」

つまり、筋肉を正しく使って走るのがベアフット・ランニングということなんですね。でも、膝への衝撃がダイレクトに来るのでケガのリスクが高いように感じます。

「それもよく誤解されるんですけど、実はまったくの逆。クッション性の高いシューズよりも裸足で走った方がケガのリスクが低いって研究結果も出ているんですよ」

足の裏は天然のクッション

吉野さんの足の裏。正しく走れているかどうかは、土のつく位置でもわかるそうです。

吉野さんの足の裏。正しく走れているかどうかは、土のつく位置でもわかるそうです。

これまた初めて聞く説にビックリしていると、「足の裏ってすごいんですよ。圧力を感知してからだにかかる負担を調整する感覚器の役割を果たしているんです。要するに、天然のクッションということですね」と吉野さん。大昔、まだシューズのない時代に人類が裸足で駆け回って生活できていたのは、足の裏の感覚器としての機能をちゃんと使えていたからなんだそうです。

「ランナーの膝のケアにもなるし、現代病に挙げられている外反母趾やハンマートゥといった足指の変形も、裸足だったらまず起こらないですよね。これって大きなメリットだと思いませんか?」

よく見ると、吉野さんの足指はまっすぐ。扁平足気味だった足の裏も、ベアフット・ランニングを続けているうちにしっかりとしたアーチが形成されたそうです。

吉野さんの足。指がまっすぐ伸びているのがわかります。

吉野さんの足。指がまっすぐ伸びているのがわかります。

「地面からエネルギーをもらう」やわらかい走り

からだにいいことばかりのベアフット・ランニング。いくら初心者ランナーなら癖がついていないと言われても、本当に正しく走れるものなのか不安です。どこをチェックすれば、正しく走れているとわかりますか?

「一番わかりやすいのは接地ですね。よく『ベアフット・ランニングってつま先で着地すればいいんでしょ?』と言われますけど、それだけではありません。足の前方でフワッと降りたあと、足を引き上げて前へ進む。地面からエネルギーをもらって走るイメージですね」

そう言って、正しいベアフット・ランニングと間違えた走り方を実演してくれました。比べてみて最も違いを感じたのは足音。正しく走っている時は、まるで忍者のようにほとんど足音がしません。「大事なのはやわらかく走ることです。よくランニングで『地面を蹴る』って言いますけど、そうではなくて足をスッと引き上げる。伸張反射と言って、筋肉の伸び縮みを利用しながら走るんです」

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うまく走るためにはふくらはぎのヒラメ筋をしっかり使う必要があるそうですが、普段から使っていないと慣れるまでは筋肉痛になってしまいそうです。「初めての方は、まずは裸足で歩くところから始めてみましょう。これだけで足の機能を取り戻すためのリハビリになって、関節が正しく動くようになるはずです」

裸足で外に出るのに抵抗があれば軽量でソールの薄いサンダルを履いても良いそうなので、ウォーキングからならハードルが低く感じます。そうして筋肉を正しく使えるようになってきたら、まずは5〜10分ほど走ってみることがおすすめ。スムーズにベアフット・ランニングへ移行できるそうです。

裸足王子おすすめのシューズとは

上:ニューバランス NBminimus MR00(BK)下:イノヴェイト BARE-X 180

上:ニューバランス NBminimus MR00(BK)
下:イノヴェイト BARE-X 180

一口に裸足感覚のシューズと言っても、ベアフット系、ナチュラルランニング系など色々とあってどれを選べば良いのか迷ってしまいます。吉野さんは「サポート機能が最小限のシューズを選んでくださいね」と、いくつかモデルを紹介してくれました。

「一番おすすめなのはビブラムファイブフィンガーズ。あとはニューバランスのminimus00とか、イノヴェイトのZEROモデルですね。必要な筋肉が使われて、関節の可動域も広がっていることを感じられると思いますよ。マラソン大会への出場を目指すなら、半年かけて5km、1年かけて10kmというペースで足を慣らしていってくださいね」

ところでずっと気になっていたのですが、裸足だと夏場はアスファルトが熱くないのでしょうか?

「アスファルトはさすがに熱いです(笑)。でも路肩や白線など熱くなっていない場所って意外とあるんですよ。そういうところを見つけて、無理なく始めてみてください」

夏場はアスファルトにご注意を。

夏場はアスファルトにご注意を。

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