J1好調サガン鳥栖 背番号『17』がつなげるサガンティーノの絆
WATCHJ1好調サガン鳥栖 背番号『17』がつなげるサガンティーノの絆
サッカーにはサポーターナンバー『12』というものがあります。「サッカーは11人で行うスポーツで、応援しているサポーター(ファン)は『12番目の選手』」として、多くのクラブチームが背番号『12』をサポーターに与えているのです。
そのサポーターナンバーを『17』にしているクラブがあります。佐賀県鳥栖市を本拠地とする、J1昇格3年目のサガン鳥栖です。
佐賀県サッカー協会の元理事長で、サガン鳥栖の実質的な前身である鳥栖フューチャーズの誘致とサガン鳥栖の設立に奔走した坂田道孝氏の命日にちなんで永久欠番とされ、その番号がサポーターに与えられました。今では「サガンティーノ」と呼ばれる多くのサガン鳥栖サポーターが背番号『17』を背負い、スタンドから声援を送っています。
今回、はるばる東京まで応援に来ていたサガンティーノの新田さんと町田さんに、サポーターとしての活動やクラブへの想いを語ってもらいました。
仲間を増やすコツはアウェー観戦
——「サガンティーノ」として試合以外にはどんな活動をしてきましたか?
新田 J1昇格1年目は5位だったんですが、ホームとアウェーの勝ち数の差が極端だったんです。アウェーで勝てばもっと上にいけるんじゃないかと思って、県やクラブと連携してアウェー観戦に来てくれた人にプレゼントを渡したり、東京で関東在住のサポーターの人を集めて選手との交流会をやったりと、アウェーサポーターを増やす活動をしました。
——ホームが佐賀となると、アウェーでの応援は大変じゃないですか?
新田 移動はどうしても大変ですが、ご当地グルメを食べられたり仲間が増えたりと、結果的にプラスになることの方が多いんです。
町田 以前、アウェーの試合終わりに居酒屋を探していると、お店の中から相手クラブのサポーターの人たちが「おいで、おいで」って手招きをしてくれたのがうれしくて。その方々とは今でも交流が続いています。
新田 帰りの電車が一緒だと自然に話かけたり、話しかけられたりしますね。クラブは違っても活動内容に変わりはないので、サポーター同士は意気投合するのが早いんです。
ふるさとの誇りを胸に
——サガン鳥栖は佐賀県における唯一のプロのスポーツチームということもあり、ホームスタジアムでの応援も盛り上がっていますね。
町田 ホームのベストアメニティスタジアム(ベアスタ)はトラックがないサッカー専用のスタジアムで、ピッチとの距離がすごく近い。選手の声やボールを蹴る音が耳元で聞こえて、臨場感を味わえます。
新田 ベアスタに行けば、学校や職場で知り合えない人たちと出会えるのが魅力です。年齢や性別を越えてサガン鳥栖を中心に1つになれる。娯楽もあまりない県だけれど、ふるさとの誇りになっていますね。
町田 僕はサガン鳥栖というチームを通じて「鳥栖」という街にすごく魅力を感じて、わざわざ引越してきました。グラウンドの芝生30cm四方くらいは僕の税金で作られているって思うと、税金を納めているのも誇らしく感じます(笑)。
背番号『17』がつなげる絆
——今日、スタジアムに来ているサポーターの方を見ていても『17』を付けている人が非常に多いと感じました。
町田 『17』という数字はサガン鳥栖にとって意味のある番号。その番号をみんなで背負っているからこそ、サポーターと選手が繋がっていると強く感じます。
新田 僕は坂田さんの作った「佐賀県にサッカークラブを」と書かれたポスターがきっかけで、本格的にサッカーを見始めた。だから、ユニフォームには必ず『17』を入れますね。これを見て他のクラブのサポーターが声をかけてくれることもあるんです。「何でサガン鳥栖って17なんですか?」って聞かれたり。
町田 実は今日、ユニフォームを着たまま佐賀から飛行機に乗って来たんです。空港までのタクシーでも、運転手に『今日行かれるんでしょ?』と聞かれました。ユニフォームを着ているだけで、知らないサポーターの人とも挨拶できたりするんですよ。
新田 僕も家を出る時からスタジアムに行くまでの間、ずっと着ています。でも、サガンティーノの中にはまだユニフォームを着ていく文化がないのかなって思います。交流のきっかけにもなるので、みんなもスタジアムでこそこそ着替えずに、家から着て来てほしいですね。
——サガン鳥栖の試合を「見に行こうかな」と迷っている人や、「行きたいけれどひとりじゃ…」と思っている人にアドバイスを。
町田 サガン鳥栖に限らず、自分の地元が好きだったらぜひ一度、地元のチームの応援に行ってみてください。「地元を代表するチームをみんなで応援する」っていう喜びを知ってほしいです。
新田 「町内会のイベント」みたいな空気なんですよ。ご近所付き合いみたいな感覚で、気軽に来てもらえたらいいんじゃないですかね。最初はひとりかもしれないれど、いつの間にかひとりじゃなくなっていると思います。
少しだけ勇気を出してスタジアムへ足を運べば、熱いサガンティーノたちが暖かく迎えてくれるはず。背番号『17』を目印に声をかけてみてはいかがだろうか。