アスリート×美を伝える 花田 真寿美さんインタビュー
SUPPORTアスリート×美を伝える 花田 真寿美さんインタビュー
アスリートからモデルを経て、現在は現役アスリート、元アスリート達へメイクの仕方や立ち居振る舞い方などの指導を行う、アスリートビューティーアドバイザーとして活躍する花田さん。
ご自身の経験を生かし、内面外見両方からアスリート達を日々支えています。今回は花田さんの様々な活動について、お話を聞きました。
角刈りニキビの女子高生からモデルへの転身
—高校時代はどんな生徒だったのですか?
私はもともとおしゃれが好きでませた子供だったのですが、伝統をすごく大切にしている高校に通っていたため、バドミントン部に入って髪を伸ばしたままにしていたら、ある日キャプテンから呼び出され、覚悟を決めて角刈りにしなさいと言われました。周りはおしゃれをしているのに私は正反対のことをしているなと、泣く泣く髪を切りましたね。貧血もひどく、下宿生活が始まったことによる環境の変化で、肌荒れ、角刈りニキビの女子高生が出来上がりました(笑)。
見た目を変えたことで周りの反応がすごく変わって、通りすがりの男子高校生に、「キモッ」と言われたこともあります。その時に見た目で人はこんなにも変わるのか、と改めて思いました。
—見た目が変わったことで、何か自分の中で変わったことはありますか?
当時は自分の見た目に自信もなかったし、背が高かったので、あまり目立たないようにしようとしていました。でもバドミントンをやるからには、日本一になってやろうと覚悟を決め、人に判断される立場になると声をかけてくる人が増えていきました。
クラスの地味めな子が話しかけてきたときは、なんで自分に話しかけてくるんだろう、嫌だななんて思っていたのですが、話してみると以外と話が合うし、私も男子高校生と同じで人を見た目で判断していたのだと気付かされましたね。
花田 真寿美さん(画面左下)
高校ではバドミントン一色でしたが、大学に入ってから*バーンアウトしたことがきっかけで、外見へのコンプレックを克服するためにモデルへと転身します。高校時代はバドミントンに人生を捧げていたため、バドミントンをとったら自分に何が残るのかといった不安がずっとあったそうですが、モデルを始めたことで人生が楽しくなったとのこと。
体育教師などをしている、おしゃれとは無縁のまま社会に出た高校や大学時代の同級生達へ、メイクの仕方や、どうしたらおしゃれに見えるのかなどモデルとして役に立ったことを教えています。
*燃え尽き症候群
—モデルをやることで、気持ちの変化はありましたか?
モデルをやるようになってからも、自信は相変わらず持てませんでした。でもモデルを続けていく中で、徐々に身長が高いことは武器だと思えるようになり、人前に出ることでもっとキレイになりたいとも思うようになりました。ミスユニバースが目標だったので、目標に向かって進んでいく中で自分に自信がついていったのかなと思います。
—モデルをやることで選択肢が増えたとのことですが、選手達のセカンドキャリアについてはどう考えますか?
アスリート達は、自分のやっている競技に全力で取り組んでいるので、挫折をした時は本当に辛いだろうと思います。でも競技以外のところで自己肯定感を高められていれば、セカンドキャリアを考える時も、その取り組んできたことを仕事に繋げるなどの可能性が考えられます。
元アスリート達が楽しそうに仕事をしている姿を見て、その姿を無意識にでも頭の中にいれておくと、現役時代の不安は少なくなるのではないかと思います。アスリート達が競技以外でも日常で輝けるような、セカンドキャリアを考えられる流れを作りたいです。
内面も外見も磨いてアスリート達を輝かせたい
—アスリートビューティーアドバイザーとして、どのような活動を行っているのですか?
競技連盟や実業団から依頼があり、競技中やメディア向けのメイク方法、インタビューの際の立ち居振る舞い方などの講座を開いています。
また最近では産婦人科系の方達と、女性の身体について知識を得る機会のないアスリート達のためにプログラムを作る予定です。
アスリート達は自分の競技に人生をかけているので、子供が産めなくなってもいいから続けたいと言うほど意志が強く、本当に調子が悪くなってから病院に行ったりするんですよね。
ただ、そうなってから後悔しては遅いので、現役の時に知識を入れてしっかりと自分の身体のことを考えられるようにしていきたいです。
—アスリート達はメイクに対してどのような印象を持っていますか?
今までメイクをする機会があまりなかったから、自分に手をかけることがすごく面白いみたいです。
自分のメイク道具を持ってきてと言っても、全然みんな持っていなくて、逆にすごい持っている人もいるんですけど(笑)。
興味はあるのにメイク道具を買いに行くこと自体ハードルが高く、まず何を買ったらいいかわからないし、使い方もわからない状態で。また自分一人だけが興味があっても、他のチームの子達が興味が無いととても浮いてしまうので、チームのみんなに教えられたらいいなと思います。
アスリート達は、目標に向かっている姿、そのままで美しいので、良い部分や気持ちを引き出すようなメイクをしたいです。
—メイクや立ち居振る舞いを正すことによって、アスリートにどのような効果がありますか?
現役のアスリート達はメイクをすることがスイッチとなり、ちょっとした気持ちの変化が積極的なプレーに繋がったりします。インタビューで、堂々と答えられるようになったとの声もいただきました。
選手達へのファンを増やしたいということで企業側からも依頼があります。以前、視覚障害のあるブラインドサッカーの選手に、髪型の清潔感アップの方法や写真を撮られる際の姿勢、表情、笑顔の作り方などを指導したのですが、自分には見えないけどカッコよく見られていると思うと自信を持ってフィールド立てる。前より自然に背筋が伸びるとおっしゃっていました。
—メイク以外でもアスリート達のここを育てたいという思いがあれば教えて下さい。
現役の選手にとって、自分に自信を持つのはとても大切なことです。
私はバドミントンを全身全霊でやっていたので、チームに入れなかったことで自分をすごく責めてしまったことがあります。努力をしても報われないとまで思うようになって、努力をしている人を見ると報われることなんてないのに、と思うほど気持ちが落ちてしまった時期がありました。アスリートはストイックになりすぎるところがあるので、自己肯定感を育てたいと思っています。自分をまず好きになって、内面も外見も磨いていくことが大事ですね。
—今後はどのような活動をしていきたいですか。
この活動をもっと知ってもらいたいです。全国的にサポートできる支部、チームを作って、アスリートビューティーの育成をして、アスリートビューティー協会を作りたいです。
挫折した経験も力にし、様々な立場に立ってアスリート達をサポートしている花田さん。車椅子のバドミントン選手のサポートをした際、「一緒にやってよ」と選手から言われた一言をきっかけに、一度は止めたバドミントンを再開したとのこと。様々な人と関わることで、自分自身も勉強をさせてもらっていると、やる気に満ち溢れた素敵な笑顔を見せてくれました。
今後も多くのアスリート達に美しさを与え、自身に満ち溢れた姿のアスリート達を生み出していく花田さんに期待します。
INFORMATION
花田 真寿美(はなだますみ)
1987年生まれ。富山県富山市出身。
元バドミントンアスリート。(全国高校選抜団体三位、全国優勝するメンバーと共に親元を離れ下宿生活をする。東海学生新人選手権大会ダブルス準優勝、全日本学生選手権出場)
高校時代はバドミントン一色だったが、大学でバーンアウトしたことがきっかけで、見た目のコンプレックスを克服するためにモデルへと転身。
モデルとして経験し学んできたことを基に、「アスリート×美」を伝える活動を行う。現役・元アスリートを中心に、また一般女性に対して、心から幸せになることを”応援する”「Precious one」を設立。