ムエタイ・キックボクシング大会『REBELS』が面白い

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ムエタイ・キックボクシング大会『REBELS』が面白い

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会場で涙する者、高揚感に浸っている者、試合について身振り手振りを交えて熱く語る者…その会場を後にする観客の顔は、応援していた選手の勝敗に関わらず、満足感に溢れています。筆者の周りの格闘技好きな人たちからも「神興行だった」「REBELSにハズレ無し」そんな評価を受けているのが、「REBELS」です。世界最高峰のキックボクシングとムエタイを主とした大会で2010年に旗揚げされました。

再び、熱が戻ってきた日本の格闘技において、立ち技格闘技「REBELS」の魅力を、創設者で代表の山口元気さんとREBELS-MUAYTHAI ライト級王者、良太郎選手に語ってもらいました。

REBELSの魅力を生み出す“柔軟性”

まずは、「REBELS」代表、山口元気さんに聞きました。

ーーキックボクシングの興行は、ざっと10以上ありますが、他との差別化をどう考えていますか?

REBELSは、柔軟性があるのかなと思います。こうでなくてはいけないっていうものがあると、やっぱり限界、壁を作っちゃうので。もちろんその時に応じてはあるんですけど。一番分かりやすい例でいうと、REBELSのエース的立場だった日菜太をK-1へ出すことによって、新たな扉が開かれるという。自分が触れていいものは良いなぁって素直に思いますね。見習うべきものもありますし。

ーー他の興行へ行った例で言うと、REBELSを主戦場にしてた梅野源治選手は、KNOCK OUTへ行きましたが再び戻ってきました。その辺もREBELS山口代表の柔軟性にありますね?

梅野君自身の意思で、KNOCK OUTに行ったんですけど、求められているスタイルと合わなかったんですかね。それでウチに戻ってきて、梅野君は再生をテーマにしています。梅野君に限らず、どうしたら、この選手が光るかなというのは常に考えています。

ーー去年11月の大会では、メインイベントのインディートーン戦での衝撃KO劇でした。まさに再生の一戦となったのではないですか?

4R肘一閃、あのKOは凄かったですね。梅野君のモチベーションが戻ってきて、発言も変わってきましたよね。それでいうと良太郎君もそうだと思うんですよ。2016年11月の雅 駿介選手との試合で判定負けはしましたが、顎を割られながらも壮絶な打ち合いを演じました。会場も大いに盛り上がって、あの試合から彼は、一皮向けた気がしますね。

勝った選手も負けた選手も輝けるリングを

ーー良太郎選手は、会見でもよく言っていますが、REBELSへの思いが一際強いですよね

去年11月のトーナメント(MUAYTHAI ライト級王座決定トーナメント)でも優勝しましたが、ベルトへの強い想いが、最後の差に出たのかなって思いますね。

ーーファンを沸かせるマッチメイクにもこだわっていますか?

状況によりますよね。KNOCK OUTが出てきて、選手がみんな行ってしまった状況で、さらに日菜太もK-1に行った中で、残された選手達で、まずREBELSというモノを固めていく必要がありました。REBELSで頑張りたいという子を中心に起用して。その中から光る子がでてきたというか。負けた子も、勝った子も、どちらも光らせるというのは、常に考えているんですけどね。

ーーREBELSは、ひとつの大会の試合数が多すぎず少なすぎず、かつ、試合進行のテンポ感が抜群だと思います。その辺りの演出はどうお考えですか?

試合によっては、2人の選手を同時に入場させていますからね。選手は、やっぱり個別で入場したいと思うんですけど。でも、お客さんはそうでない部分もあるので、その辺はなるべくスピーディーに。特にムエタイは5Rあるので、今はスピード感を意識して、飽きさせないようにしてますね。

ーーキックボクシングだけでなく、ムエタイを楽しめるという意味で、REBELSは、独自のカラーがありますが、ムエタイならではの面白さについてはどう思いますか?

ムエタイは、立ち技格闘技の原点なので、凄く面白いとは思うんですが、ただ、どうしても初めて見る人にとっては、理解しづらい部分はすごくあって。噛み合わせが悪いと膠着する試合もあるでしょうし。そんな中でも、選手のインタビューなどで、そのバックボーンを知ったうえで、試合を見るとまた違うと思うので、そういったところも含めて楽しんで欲しいですね。インタビューによって、選手のモチベーションも上がりますし。あと、難しいんですけど、できるだけREBELSを主戦場にしてくれる人を中心に大会をやっていきたいなと。ただ、それだけだと興行が成り立たないので、他もいれて協力してもらうというかたちをとりたいですね。

REBELS10周年への展望

ーー2017年11月のスーパーライト級王座決定トーナメント、ライト級王座決定トーナメントは、REBELSで初の試みですが、今後もそういった新しい試みをしていく考えはありますか?

そうですね、特にライト級の選手は、それまではトップ選手じゃなかったと思うんです。良太郎君がいて、大谷君、津橋君、そこに外国人のサンタナが入って。でもこの子たちは、モチベーション上げれば光るというのはあったので。だからそれは、逆にやってみてモチベーション上げて、学んでいければと思うし。僕もやりながらですね。

ーー2018年のテーマはありますか?

テーマは、良太郎君のような、REBELSを背負ってくれる選手を育てたいですね。やっぱり背負っている人の方が、応援しがいがありますし、お客さんを惹きつけるんですよね。いい試合もしますし。今までだと、REBELSの看板を背負ってる子が中々いなかったので、残された選手達でREBELSを固めていくことですね。今年は、6大会やります。2月18(日)の大会だけ週末で、あとは平日。割と平日の方が良いというサラリーマンの方が多くて。土日に、家族の時間を減らされるよりは、仕事帰りにちょっと寄る感じで見に行く、コンサートとかオペラとかを見るのと同じ感覚です。2018年は、平日に満員にしていくのが目標です。今年は、後楽園だけで6大会。そこでREBELSというのをしっかり構築したいですね。

ーー来年は、REBELSを立ち上げて10周年になります。そこに向けての展望はありますか?

10周年の来年は、大きい会場、例えばTBCとか。そこに向けては、やっぱり人づくりですかね。浮かれないようにしなければいけないですね。とにかく、今年の後楽園6大会をストーリーづけて行きたいと思っています。それには、選手達がやる気を出して、技術、レベルを上げて盛り上げていくのが大事かなと思います。

REBELSを背負える選手を育て、その選手達が、熱い試合を展開することによって、REBELSをより面白いものにしたいという山口代表。その表情からは、確かな自信も伺えました。では、実際にREBELSのリングに上がっている選手は、どんな思いがあるのでしょうか。

山口元気代表がインタビュー中、REBELSを背負える選手の一人と語っていた、良太郎選手(池袋BLUE DOG GYM所属、team AKATSUKI代表)にREBELSの魅力を聞いてみました。

REBELS叩き上げのチャンピオン

ーーまず、良太郎選手のREBELSでのキャリアはどのくらいになりますか?

僕は、キックボクサーとしてプロデビューして8年になりますが、REBELSさんには2014年4月20日から参戦させて頂いてます!!キャリア25戦のうち半分を超える11戦がREBELSさんで戦ったものです。BLUE DOG GYMに移籍してからは、ほぼずっとREBELSさんなので、REBELS育ちの叩き上げです(笑)。REBELSさんに育てて貰ったという思いは強いですね。

ーー良太郎選手は、会見の度に「REBELSさんのベルトへの思い入れは、僕が一番強い。」とコメントしてきました。選手からみて、REBELSのリングにはどんな魅力があるのでしょうか?

格闘技初心者が、入りやすい興業だと思いますね。REBELSは、一つの興業で、必ず心に残る試合がある。頑張っている選手をちゃんとピックアップしてくれるし、マッチメイクにストーリーがあると思います。ストーリーも何も無い選手同士を戦わせても、そんなマッチメイクは盛り上がりに欠けますし。僕は、プレーヤーとして試合を盛り上げたいという思いでやっています。

プロとして試合以外の部分でも魅せる

ーー盛り上げるということに関して言えば、試合以外の部分でもお客さんを楽しませようとしているのは十分伝わってきます。去年9月の大会では、トーナメントの決勝で、戦うことになったサンタナ選手へのメンチ切りがありました。

昔の血が騒ぎましたね(笑)。決勝で戦う相手が、津橋選手に勝ったサンタナに決まった試合をリングサイドで見ていたのですが、気が付いたら、リングに上がって、メンチ切ってました(笑)。日本語で「なんだテメー!」って。リングに上がって、爽やかに次戦に向けてのマイクアピールでも良かったのかも知れませんが、僕がそれをやってもね。お客さんも盛り上がったし、よかったのかなと思います。

ーー良太郎選手といえば、キャッチコピーは“千の職質を受けた男”。試合前のインタビューでもエピソードに事欠かないですよね?

やっぱり、プロとして面白く、お客さんに楽しんでもらいたいという思いがあります。試合で魅せる事だけでなく、リング以外でお客さんに興味を持ってもらうのは大切だと思います。元々しゃべるのは好きですし、普通に話して、普通に試合しても、つまらないじゃないですか。僕の役割はそこじゃないと思いますから。僕のコメントが、REBELSに興味をもってもらうきっかけになれば嬉しいし、それで盛り上がればといいなと思っています。

ーー山口代表が「良太郎くんのような選手を育てたい」とコメントしていましたが、それを聞いて率直にどう思いますか?

逆に自分は、REBELSさんに育てて貰ったと思っているので、そう言って頂けるのは本当に光栄です。想いの力は、見ている人にも伝わると思うので、より一層、自分はREBELSさんの看板を背負っているんだと気が引き締まりました。

ーー今後、良太郎選手がREBELSのリングで見せたいものは?見てほしいところは?

“良太郎”という自分でしか出せない色を出していきたいです。リングの中だけの結果だでなく、そこに至るまでの過程が、観てくれるお客さんをより熱くするので、そう言った所もプロとして盛り上げたいです!

REBELSのリングを面白くしたい、もっと盛り上げたいという選手たちと、REBELSのリングで輝いて欲しいという山口代表。互いが生み出した熱は、確実にお客さんの心を掴んでいます。REBELSが日本の格闘技界に大きなうねりを生み出すことになるかも知れません!

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